こんばんは(。>ω<。)ノ
シンイロミジュリ、第ヨン話です♪
どうぞ!
「いかん!チェ家だけは認めん!」
「いい加減にしてよ!喧嘩の理由だってわかってないくせに!」
「駄目なものは駄目なのだ!」
「こ、この頑固親父!!」
「何を言うか!それに医者になりたいだと?!女が馬鹿を言うな!」
「誰が馬鹿ですってぇ!?」
「良いか?お前の結婚相手は儂が決める!」
「絶対にいやよ!いい?私は医者になって、チェ・ヨンと一緒になるわ!」
ユ家ではふんっと踏ん反り返ったウンスと、ウンスの父が睨みあっていた。
信義のロミオと不屈のジュリエット 4
あの夜からもウンスとヨンは医者に通いながら、そして夜にはヨンが忍んできて、逢瀬を重ねた。
毎回警護のダメ出しをされるが、ユ家の護衛だってそれなりに優秀なはずだ。毎度その目をくぐり抜けられるヨンの方が異常だとウンスは思っている。最初こそ、見つからないかとハラハラしていたが、もはやあまりのダメ出しの多さに、いつか捕まえてやれと警護の方を応援してしまうくらいだ。
「このような警護では…何かあっては遅いのです。ご自身でも対処できねば」
そう言ってヨンが差し出したのは小刀で。
「何?これ?本物!?」
「護身用です。怪我しませぬよう、取り扱いにはご注意を」
恋人からの初めての贈り物が、まさかの小刀だ。色気のかけらもない。
—————女心がわかってない!
じとっとヨンを見るが、ヨンはあくまで真剣だ。その顔に思わず、半分呆れて「あなたらしいわ」と笑ってしまう。
くすくすと笑うウンスに釈然としないものを感じたのだろう。ヨンは「心配させるからです」と言いながらウンスを引っ張り、自分の胸に押し付けて力を込めた。
「ちょっと!苦しい!苦しいってば!」
「笑うからです」
こんな小さなやり取りが、色を持って日々を彩る。そんな日が、続いていた。
ところがある日、ウンスに縁談の話があったのだ。
その良縁に両親がすっかり乗り気だったものだから、慌ててヨンに相談したところ、いっそのこと互いの家に言ってしまおうという事になった。
「ウンス、俺は貴方を誰かに譲るつもりも、離すつもりもありませぬ。故に隠すのはもうやめましょう」
「でも…なんて言ったら」
「家など関係なく、心に誓った相手と—————婚約する…と」
「え?」
「俺は武士である故、家督は継ぎませぬ。ゆえに、貴女が医者になる夢も止めませぬ。だから俺と、一緒になってくれぬか」
「チェ・ヨン…」
涙を目に溜めながら、コクリと頷いたウンスをヨンは優しく抱きしめてくれて———
そうして、正直に言う以外に策などないと言い切るヨンに唖然となったが「何があっても、離しませぬ」と言ってくれた。
「説得しても駄目だったら?」
「その時は、貴方を連れて逃げます」
「逃げられるの?」
「たかが追っ手に、俺が負けると?」
決して負けはしないというヨンの自信に、笑ってしまった。
「負ける姿は想像つかないわね」
「何かあればチャン医師がかくまってくれるとのことです。そこで様子を見て、国外にいる所縁の者を頼ります。禄の蓄えも有ります故、しばらくの心配はいりませぬ」
「国外!?」
「怖いですか?」
「…怖い?私が?貴方がいるのに?」
「上等です」
「でも…」
「でも?」
「ううん、なんでもない」
ウンスは笑って見せた。
—————そんなこと、私が絶対にさせない
だって、貴方の方が逃亡なんてできないでしょう?一緒に逃げてくれるって気持ちを疑うわけじゃない。けどもし何かあったら、貴方はきっと自分を責めるわ。
貴方はとても責任感が強い人だから。国を、隊を、部下を本当に大事にしている。
—————貴方の大事なものは、私にとっても大事なの
だったら私は、貴方がその選択をしなくてすむようにするだけよ。
そうしてウンスは家に全てを打ち明け、冒頭に戻る。
「だいたい、その相手なんてもういい歳の親父じゃないのー!」
「このバカ娘は!何を言うかー!」
***
一方その頃、チェ家—————
「何言っているの?!ユ家と婚姻など許すわけないでしょう!」
「許されなくとも」
「貴方、自分が何を言っているか分かって?!」
「もとより武の道を選んだ時点で覚悟の上。後継は兄上がいらっしゃる」
「何故、よりによって…ユ家だなんて!」
「家同士の諍いなど、いつまでそのようなくだらぬことしておるのです」
「貴方…今何て」
「くだらぬと申した」
わなわなと震える母を前に、ヨンはため息をついた。
—————こうも頑なとは…
だが、どれだけ時間がかかろうと、必ずウンスとの事を認めさせる。
ずっと側で笑っていてほしい。もしチェ家に嫁いだとしても、医者になりたいと言うウンスを止めることは、誰であろうと許さない。
真っ直ぐな強い瞳で自由に生きるウンスが、何よりも愛おしいのだ。
一緒にと望んだ時のウンスを思い出し、ヨンはふっと口元を綻ばせた。涙を瞳に浮かべてコクリと頷き、嬉しそうに笑ったウンスの顔は、いつ思い出してもヨンの心を暖かく満たす。
しかしああは言ったが、ヨンとて決して逃げるのを前提にしているつもりではない。あくまで最終手段だ。
自分は良い。どこに行ってもやっていける自信はある。だが、ウンスにとって国を、家族を捨てるのは辛い選択になるだろう。
だからこそ、何か手を探さなくては—————。
と、その時まではそう思っていた。
***
「チェ・ヨン。貴様に横領の告発があった。これより後に査問会となるが、それまでその身を拘束する。
そう言って兵がヨンの身柄を捉えたのは、数日後のことだった。
続
次回、それいけ!アンドロメダおじさん٩( 'ω' )و!