こんばんわ(。>ω<。)ノ 

シンイロミジュリ、やっと最終話です!

 

パラレルOKな方はどうぞ〜♬

 

 

 

 

 

 

 

 —————誰かが、呼んでる

 

 誰だろうか。やけに胸が締め付けられる。

 

 —————泣かないで。

 

 そう言いたいのに、泥のように重い体はピクリとも動かない。

 

 —————ああ、待って…

 

 抱きしめてあげなきゃ…そう思うのに、意識は黒く霞んでいく。

 

 

    —————ウンス—————!

 

 

 声が響き、さぁっと黒く広がる霞が—————霧散した。

 

 

 —————ああ、戻らなきゃ…あの人が

 

 

 ——————————呼んでる

 

 

 

信義のロミオと不屈のジュリエット 8(最終話)

 

 

 ふっと、ウンスは目を開けた。

 体が思うように動かず、頭がぼんやりとする。

 

 ————ここは?……ああ、そうか。私…

 

 「ウンス…?」

 

 ゆっくりと瞬きをして、重い頭を無理やり横に向けると、ひどく焦燥したヨンの顔があった。その手には自分の手がしっかりと握られていて。

 

「ひどい…顔ね」

 

 そう言って笑おうとしたのに、ふっと息を吐くだけになってしまった。

 

「言った…でしょ。ちょっと…天界に行って…すぐ…戻るって」

 

 ヨンの震える手がそっと頬に添えられると、ウンスはその温もりにすりと頬を寄せる。その仕草に、ヨンは思わずと言ったように掠れた声でウンスの名を口にした。

 

「…っウンス!」

 

 大丈夫たと伝えたくて、重い手をどうにか持ち上げヨンの頬に触れると、その上から手を握られぐいと身体ごとヨンに抱き込まれた。体が起こされたことで、幾分か楽になった呼吸に大きく息を吸う。

 

「—————夢の中で…貴方の声を聞いたわ」

「俺の?」

「貴方の声が、泣いているように…聞こえて」

「…泣いてなど」

「うん。心配…かけて、ごめんなさい」

 

 顔を上げると、ヨンの瞳と目があった。その瞳は赤くなり薄っすらと濡れている。そっと目尻を拭い、もう一度ヨンの胸に寄りかかる。

 

「俺を置いて逝ったら、どのようにして叱ろうかと…悩んでおりました」

「やっぱり…怒られるのね」

「当たり前です」

「ふふ」

 

 暖かい温もりに、とろりとまぶたが重くなる。

 

「ウンス?」

「ん…」

 

 とんとんと背中を叩かれる。ポタリ、とウンスの頬に冷たい感触が落ちてきた。

 

 —————ああ、もう大丈夫だから…泣かないで…

 

 微笑みを浮かべようとしたが、うまく出来たのか…その後の意識はもうなかった—————。

 

 

 

 

 

***

 

 

「んー!」

 

 ウンスは窓から差し込む光に目を覚まし、硬くなった体を伸ばすように腕を上げた。体は少し重いが、なぜだかやけにスッキリしている。

 

 —————なんか、すごい熟睡したみたい

 

 と、そこまで思って「あっ!」と声を上げた。自分がした事、そして昨日の記憶が蘇る。

 

「ウンス?」

「あ、あの…おはよう、ございます」

 

 頭上からした声にそろりと顔を上げると、心配そうに自分を見るヨンと目が合った。が、その目にはくっきりと隈ができていて。

 

「どこも痛くは?」

「ねぇ、もしかして寝てないの?」

「一晩程度、寝なくとも平気です。そんなことより、どうなのです?」

「私は大丈夫…」

 

 昨日意識は戻って、もう大丈夫なことは分かったはずだ。なのに何故寝ていないのか。そう思っていると、するりとヨンは寝台から降り、ウンスの背に手を添えて起こしてくれた。

 同時に、コンコンと扉を叩く音がしてチャン医師が部屋へと入って来る。

 

「チャン先生!」

「おはようございます。お加減は?」

「ちょっとだるいくらいで、大丈夫そうです。先生、あの…」

「あなたの計画通りですので、ご安心を」

 

 計画はどうなったのかと問う前にチャン医師は答えてくれて、その答えにホッとする。無事に自分は亡き者になったらしい。死んでいて無事にという表現はおかしいかも知れないが。

 チャン医師はウンスの手首を持って脈を取ると「もうしばらくは安静が必要ですが、解毒は成功です」と小さく微笑んだ。

 

「ヨン殿は寝ずに、ウンス殿に異常が起きないか見ていたのですよ。大丈夫だとお伝えしても、寝られない…と」

 

 そう言われて、ウンスはちらりと少し疲れたようなヨンの顔をみる。一体どれほど心配したのだろうか。そこは申し訳なく思うが、自分がやったことに後悔はしていない。何度同じ境遇に立たされたところで、自分は同じ選択をするだろう。

 

 一通り診察が終わるとチャン医師は「薬を調合してきますので」と告げて部屋を出て行った。

 

 音のなくなった部屋の中、ウンスは改めて自分を支えて座るヨンに顔を向けると、ヨンはじっと探るようにウンスを見つめていて。

 

「本当にもう、大丈夫なのですね」

「———ええ」

 

 そうウンスが答えると同時に、ヨンは堪り兼ねたようにウンスの肩を掴み正面から抱きしめた。しばらくそうしていたが、やがて勢いよくウンスを離すと声を荒げた。

 

「貴女は…毒を飲むなど、どれだけ俺が!」

「待って!チェ・ヨン。貴方に心配かけたことは謝るわ。でも、後悔はしてないし、もうしないとも言えない。何度同じことがあっても、私は多分同じ選択をするわ」

 

 叱られることは分かっていたが、自分だって考えての行動だったのだ。

 

「何故、俺を待たなかった!俺が何も手を打たなかったと思うたか?勝手に毒を飲むなど…そんなに俺は頼りないか!?」

「じゃあ貴方は待てる?私が死にそうな時に、じっとしていられる?!」

「されど!」

「私には出来ない!それに貴方はきっと、私を助けようとする。そうして全てを失う貴方を黙って見てろって?!」

「では、俺がウンスを失って平気でいられると!?」

「そうは思ってない!でも貴方には…!」

「俺には…なんだと言うのです?」

「貴方には、失って欲しくなかったのよ。貴方が大事にする…国も、人も、んっ」

 

 続けようとしたウンスの唇を己のそれで塞ぐ。愛しすぎて、だからこそ失う恐怖が大きいのだ。ウンスを永遠に失っていたかもしれないと思うと、もう限界だった。

 何よりも大事なのはウンスなのだと、何を失ってもウンスだけは失えないのだと、どうすれば分かってもらえるのか。

 

 はっと息を吐いたウンスの目を見つめ、ヨンは続けた。

 

「後悔はないとおっしゃいましたね」

「ええ」

「では、ウンスが死んだと聞いた時、俺が何を考えたが分かりますか?」

「え?」

「どうしたら貴女のところに行けるのか…と。俺が自ら死を選べば、ウンスはきっと怒るだろう。されど貴女のおらぬ世界で、どのようにして生きよと…?いっそ、だれか俺を殺してくれぬかと…そう考えました」

「わ、私はっ」

「分かっている。されど、二度と許しませぬ。俺より先に逝こうとするなど…。あなたに害を為す者は、それが例えウンス自身であろうと、決して許さぬ」

「チェ・ヨン…」

「ウンス、何があっても俺が必ず守ります。側におります。だから—————お願いだから…

 

 

 —————俺を置いて、逝かないでくれ」

 

 

 それを聞いたウンスの瞳が、大きく開かれた。

 

 —————今、何て…

 

 痛いほどの想いに、気づいてしまった。

 

 —————わ、私はなんてことを…

 

「ご、ごめんな…さい」

 

 ウンスの瞳から涙がじわりと溢れ、やがてポタリ、ポタリとこぼれ落ちた。

 

 自分のしたことに後悔はなかったはず…なのに。それでも、ヨンにとって自分はやってはならないことをしたのだと、やっと理解した。もしこの計画が失敗したら?彼はどうなっていたのだろうか。先ほどのヨンの言葉は、彼の心の咆哮だった。あれほど強い彼が、守るからいくなと命じたのではなく、自分に懇願したのだ。逝かないでくれ————と。

 

 彼の心を護ることができずに、何が彼のためか。彼にとって自分を失くすことが、どれだけ恐怖だったのか、分かっていたつもりで分かっていなかった。愛する人を失う恐怖、それは自分も同じだったのに。

 

「貴方を、助けたかった…でも…ご、ごめんなさい…ごめんなさっ」

「もう良いから、もう泣くな。分かったから。本当に———よく戻って来た」

「も、もう…しないわ。貴方を一人には、しないからっ」

 

 そう言ったウンスを引き寄せ、力強く抱きしめる。その暖かな体温が、トクンと響く心臓の音が、ウンスは生きているのだとヨンを安心させた。

 

「ウンス…俺はもう、貴女が愛しすぎて、どうしたら良いのか分からぬ」

 

 涙で濡れた頬に手を添えて上を向かせ、涙を拭うようにウンスの目尻に唇を寄せた。

 

「約束…してくれ。ずっと、俺の側に—————」

「い、いるわ。貴方の、側に」

 

 コクコクと頷くウンスが濡れた瞳でヨンを見つめると、引き寄せられるようにヨンの指がウンスの唇をそっと撫でる。

 その熱にウンスが小さく微笑んでふっと息を吐き—————

 

 

 互いの吐息が—————心が—————

 

 

 

「「愛してる」」

 

 

 

 —————重なった。

 

 

 

 

 

 

 

エンダアアアアアイアアアア!

ウィルオオオオルウェイズラアアブユウウウウウウ!(゚∀゚)!!

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