みなさま、おはようございます(。>ω<。)ノ 

「雪の降る夜」の更新です。

 

リク企画もやってます( *´艸`)♪先着ですので、ご興味ある方はリンクからぜひ♬

クリスマス&正月

*クリスマス話のリクは締め切らせていただきましたm(_ _)m

 引き続き、お正月・その他のリクは受け付けておりますヾ(●′ω`)ノ 

 

それでは、どうぞ〜。

 

 

 

 

 

10

 

 

 クリスマスソングが其処彼処から奏でられ、煌びやかなイルミネーションが目の前に広がっている。ライトアップされた噴水がパシャりと音を立てて水しぶきをあげ、水滴がイルミネーションの光を反射してキラキラと輝いている。

 

「あー、今日はほんっとうに楽しかった!こうしてイルミネーションも堪能できたしね」

 

 デパートが立ち並ぶ広場の前を歩きながら、ウンスはイルミネーションからヨンへと満面の笑みを向けた。光がウンスの顔を優しく照らしており、ヨンも自然と柔らかく笑う。

 

「貴方からのクリスマスプレゼントも貰えたし?」

「あれを私からの贈り物と言うて良いものか分かりませぬが…」

「いいのよ、私が良いって言ってるんだもの」

 

 雪の結晶をモチーフにしたネックレスがウンスの胸元を飾っている。非常に似合うそれは、確かにヨン自身が選んだものだ。だがヨンは物を買うことなどできないのだから、贈り物と言えるのかは疑問だ。だがウンスがそう言って笑うならば、これ以上は何も言うまいとヨンは諦めることにした。

 

 ————もうすぐ、か…

 

 今日はウンス曰くクリスマスとやらで、ウンスと共に朝からこうして街を巡っていた。今日は一日休みなのだそうだ。ウンスは「これまで使ってなかった有給で、もぎ取ってやったわ!だからデートしましょ」と言っていたが、デートの意味は教えてもらっていない。

 

 いつもより少しだけ着飾り、お気に入りの髪留めを着けたのだと話していた。その髪飾りは黄色い花をモチーフにした簪で、ウンスの赤い髪によく映えている。ご機嫌で少し前を歩くウンスを眩しく見ながら、ヨンは数日前の出来事を思い出した。

 あの日、数日前にウンスと歩道橋に行って、家に帰った後のことだ。

 

 

**

 

 

 ウンスはひどく真剣な表情で携帯を見つめてヨンに言った。

 

「チェ・ヨン。あなた、三日後に高麗に帰れるかもしれない」

「三日後?一体何を…」

「三日後の…25日、夜に雪が降るみたい」

「雪が?天界では先の天候まで分かるのですか?されど何故、それで私が帰れると?」

「まだはっきりしたことは分からないわ。帰れるかもってだけよ。だから三日後にもう一度あの歩道橋に行ってみましょう」

 

 歩道橋からの帰り、ウンスの様子がおかしかったのは、この可能性に気づいたからなのだとそこでやっと理解できた。

 

「何故そう思われたのですか?」

「…さっき、あなた消えかけたのよ」

「私が?」

 

 そうして、ウンスはこう説明した。曰く雪と歩道橋が帰れる鍵となっており、さらには最短で帰る必要があると。だがそれが三日後とは、あまりに急ではないか。こんなにも早く終わりが来るとは思ってもいなかった。

 自分がウンスを迎えに来るとは言ったものの、いつ来れるのか分からないのだ。長いこと会えないかもしれないと言うのに、ウンスは大丈夫なのかと問いたい気持ちもあったが、ウンスは自分の身を心配して最短で帰れと言っているのだ。

 

「その日はどうにか休みをもらうわ。明日明後日は無理だけど…。とにかく残り三日は楽しく過ごさなきゃね!」

 

 そう明るく言うウンスの声が少しだけ震えていて、大丈夫なはずがないのだと思い知る。気丈に振舞おうとする姿に胸が痛くなり、思わずウンスの腕を引っ張り強く抱きしめる。

 

「無理に笑わないでください」

「無理なんて…」

「ウンス殿、私はあなたの答えを聞きに参ると申した。高麗の武士は約束を必ず果たします。故に、必ず天界へ来る術を見つけます」

 

 そう言うと瞳に涙を浮かべたウンスがふるりと首を横に振った。

 

「ダメよ…だってそんな約束して、もし方法が見つからなかったら?ううん、見つからない可能性の方が高い。辛い思いするのはあなただわ。ずっと後悔しなきゃならなくなる」

 

 ————本当に、この方は…

 

 愛しさに、ヨンはウンスを抱く腕に力を入れた。来るか分からない者を待つ方が辛いだろうに、ウンス自身のことではなくヨンが辛い思いをすることを気にするのだ。

 

「もう、約束しましたゆえ」

「だったら、私は待たない。あなたよりいい人を見つけるかもしれない。だから、もしその約束が果たせなくてもあなたが気に病むことはないのよ」

「私よりも良い者を見つけると?」

「そ、そうね。きっと…」

「では、私がその前にこちらに来るだけです。故に、ウンス殿が待っておらずとも問題ありませぬ」

 

 それを聞いて、泣くようにクスリと笑ったウンスは「頑固ね…わかった。じゃあどっちが先か勝負ね」と言って胸に顔を埋めた後、本当に小さな声で呟いた。

 

「けど、そんな人…きっと見つからないのよ」

 

 そうして2日の間はこれまでと変わらず、ウンスは病院へ行き、夜はヨンと話しながら眠った。

2日目の夜、二人で過ごす最後の夜だ。ウンスはヨンの肩にもたれ、ウトウトしながら話を続けた。

 

「ねえヨン。明日ね、言っていた通り休みを取ったわ。だからデートして、買い物して、イルミネーションを見て、そうして最後に…歩道橋に行きましょう」

「でーと?いるみねー…?」

「そうよ…きっと楽しい…わ…」

「ウンス殿?」

「まだ…寝たくない…のに。あなたと話してると…安心するから…かな」

 

 必死で目を開けようとするが、すぐに瞼がとろりとするウンスに、ヨンは頬を緩めた。

 

「もうお休みください」

「ん。おやすみ…チェ・ヨン」

 

 そう言ってスーと寝息を立てたウンスを寝台に運び、その顔を見つめる。

 

 ————必ず、迎えに来ます

 

 さらりとウンスの額にかかった髪を指で流すと、その額に唇を寄せた。

 

 

 

**

 

 

 

 ウンスは暗くなった空を見上げて、ふっとため息をついた。

 

 ————もうすぐ、一日が終わるわ

 

 ウンスは今朝からヨンを連れて町中を歩いていた。これまでの経験から、耳にはヘッドホンをつけて携帯を片手に持っている。そうすると独り言ではなく電話中だと見なされ、変な視線を集めなくて良いのだ。

 

 今日はクリスマス…ヨンを高麗に帰す日だ。だからこそ今日は一日ヨンと楽しく過ごすのだと決めていた。そうすればきっと、自分はクリスマスを毎年幸せな1日として思い出せる。その後の別れがどんなに辛いものだとしても————。

 

 そうして、一日中ヨンを引っ張り回した。

 まずは、しばらくいるうちに随分現代の物に慣れていたヨンを驚かせるため、水族館に行った。思った通り、この中の水はどのようになっているのか、この生き物は何だと驚くヨンを見て、ウンスは狙い通りだとクスクス笑った。

 

 イルカのショーなどでは、トレーナーを見て魔術でも使っているのかと言い、そうではなく訓練しているのだと答えると、獣使いとして部隊に欲しいと真剣に考えるヨンに、全くのワーカホリックだと呆れてしまった。

 

 ゲームセンターでは、失敗を繰り返すウンスのクレーンキャッチャーをしばらく見た後、自分が指示を出すからその通りにしろと言うのだ。初心者ができるわけないと舐めてかかったら、一発で取れてしまった。何故分かるのと聞いたところ「物の重心と支える力の強さが分かれば、この程度誰にでもできます」とのことだ。意味は分かるが、ちょっと何言っているのか分からない。ウンスが苦戦していたのを分かっていてそう言うのだから業腹である。

 

 そうして最後は一番時間がかかるデパートだ。

 

「ねぇ、チェヨン。この中で私に似合うのどれだと思う?」

 

 そう小声で問いかけたウンスの前には、アクセサリーが並んでいる。自分へのクリスマスプレゼントだからこそ、ヨンに選んでもらいたかったのだ。

 

「こういったものには疎く…しかも天界の物の良し悪しは分かりませぬ」

「いいの!じゃあ、あなたが贈り物を私にくれるとしたらどれにする?」

 

 そう言うと、しばらく困ったような顔でウンスを見ていたが、やがて根負けしたような顔でショーケースへと顔を向けた。真剣な顔でしばらく眺めていたヨンが、すっと指を刺したのが、雪の結晶をモチーフにしたネックレスだった。

 

「ウンス殿は雪がお好きと言っておりました故…」

 

 細かい細工に小さな宝石が付いており、可愛すぎることもなく上品なデザインだ。気に入ったウンスは胸に当ててヨンに見せる。

 

「似合う?」

「とても、よくお似合いです」

「ふふ。じゃあこれにする。チェヨンからの贈り物ね」

「されど私は…」

「知ってるわ。だから貸しにしてあげる。高麗に行ったら、しっかり返してもらうんだから」

 

 もちろん返してもらうつもりなんてあるはずがない。チェヨンが自分に似合うものを選んでくれたのだから、それだけで十分だ。だが、こうでも言わないと贈り物として納得しないだろう。

 

 そうしてあっという間に時間は流れ、二人が外に出た頃にはすっかり暗くなりイルミネーションが街を彩っていた。

 

 溢れる光の道をすっかり堪能した頃、空から雪がハラハラと舞い落ちて来るのを見て————

 

 ウンスはすっと息を吸った。

 

 

 ————もう、時間切れね

 

「そろそろ、行きましょうか」

 

 

 ため息をつくように、白い吐息と共にウンスはそう呟いた。

 

 

 

 

 

 

水族館にて。

大きな魚が泳いで来ると、つい剣を抜こうとするヨン(´ω`;)

もはや条件反射。

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