今晩は( *´艸`)♪

 

今回はリク企画!momomaman様よりお題!

「すれ違いのちょっと切ないクリスマス。でも最後はうんとハッピーに!」

 

ということでいただきました♡

 

前後編でお届け♪

後編は日付変更あたりに〜。それでは、どうぞ!

 

 

 

 

 

クリスマスの奇石 前編

 

 

 

 

 ————ああ、暦上では今日はクリスマスね…

 

 ウンスは一人、ふうっと息をついた。

 息が白くなるほど冷えた空気にふるりと身体が震える。

 

 がさりと背後から音がして、ウンスは振り返った。

 

「此処にいたのか」

「ごめんなさい。探した?」

「いや、お前のことだから此処だろうとは思った」

 

 そう言いながらウンスの方に羽織をかけてくれて、ふんわり暖かくなる。

 

「もう少しだけ。もうすぐ戻るわ」

「わかった。暗くなる前には戻りなさい」

 

 そう言ってウンスの頭をポンとひと撫でする。

 

「ええ、ありがとう。ドンウ」

 

 そう言うと軽く目を細めたドンウはぽんぽんと頭を叩き「礼には及ばんさ」と言って戻って行った。

 

 どうしても、不安になる時がある。ヨンは本当に生きているだろうか。例え生きていても、自分を失って大丈夫だっただろうか。私が天界に帰ったと、ウンスを永遠に失ったと思っているのではないだろうか。ウンスの無事も分からない状態で、ヨンは自分を信じて待っていてくれるだろうか————と。

 

 そんな時にドンウの優しさは本当にふわりと心を暖める。大丈夫、私が信じなくてはと自分に言い聞かせることができる。

 

 ————ねぇヨン。私は大丈夫。あなたに会うまで諦めないわ。

 

 ああ、どうか。クリスマスに願いが叶うと言うのなら————

 

 ————あの人に届けて。

 

 そう思いながら足元を見ると、キラリと光る石があった。

 

 ふと思いついたように、小さく白く光るそれを拾い上げると「괜찮아요(大丈夫よ)」とマジックで記した。貴重なマジックを使うには少し勿体無いが、クリスマスだからと良く分からない言い訳をしてクスリと笑う。

 

 ほんの小さく書いたそれをポンと軽く空に向かって投げた。

 

 さ、そろそろ戻らなきゃとウンスは歩き出した。

 

 

 

 

 ***

 

 

 

 ————すっかり此処に来るのが常になってしまったな。

 

 ふっと笑うと、どさりと荷を置いてヨンは木の下に腰を下ろした。

 何故か此処にいるとウンスを近くに感じるようで落ち着くのだ。瞳を閉じると冷たい風が頬を撫で、空を眺めてウンスを想う。

 

 しばらくそうしていると、遠くからゆったりとした蹄の音が聞こえてきた。見ると、乗っているのはチュンソクだ。「邪魔をしてすみませぬ」と申し訳なさそうにしながら「今日は殊更冷えます故」と荷物を置いて帰っていった。

 

 荷物は酒と干し肉、そして毛皮の外套だった。あまりの世話の焼かれようにふっと笑ってしまう。

 

 だが————とヨンは不安な瞳を空に向けた。自分にはこうして部下がいる。されど、ウンスはどうだろうか。どこにいるのかすら分からない。天界に戻ったのならまだ良い方だ。だが、ヨンはあの日目覚めた自分の周りに花が咲いていたことで確信したのだ。ウンスは過去にいる————と。

 見知らぬ土地で孤独に過ごしてはいないだろうか。誰がに害されたりしていないだろうか。寂しく、泣いてはいないだろうか————。

 

 

  ————大丈夫よ。

 

 

 そうウンスの声が聞こえた気がした。

 

 ため息をついて————その時、ほど近くに光る何かが目に入ってきた。

 光が反射しているのは分かったが、妙に気になりヨンは腰を上げてそちらに向かう。

 

 過去のウンスの幻が横を通り過ぎ、歩くヨンの横を風が通り過ぎた。

 その風に混じって、ウンスのほのかな香りがした気がして———

 

 思わず振り返ったが、ウンスの姿が見えるはずもなく———。

 

 

 

 時を超えた二人が———すれ違った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すれ違い」をまさかの物理的な「すれ違い」に。笑

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