こんばんは(。>ω<。)ノ
さて今回はリク企画♬
ray0110様リク「サンタと会ったヨン、秘密にする代わりに願い事を一つ」
とのリクエストだったのですが、タイトル通り…願い事がヨンの願いなのかよく分からないお話に!Σ(・ω・;|||こ、これでも良いでしょうか?(・・;)
オリキャラということでアメ限にさせていただきました( *´艸`)♪
(12/24追記)
何のエラーか見れない(申請が上手くいかない)…と言うメッセがありましたので、取り急ぎいっそ公開にします。
オリキャラ(猫)が出ておりますので、それでもいいよ!と言う方のみお進みくださいませ〜。
それでは、どうぞ~!
小さな騎士の願い事 前編
「おっと!こりゃいかん」
ヨンの前にどこからともなく人が現れたのは、そう聞こえた瞬間だった。
「何奴!?」
急に現れたその老人は、それまで気配を感じさせることもなく、いきなり目の前に転がったのだ。白い大袋と一緒に。自分が気配に気づかないなど、どれだけの手練れか…とヨンは慌てて剣を抜いて相手の首に当てる。
「おや」
相手は慌てることもなく、にこりと微笑むと剣に手をちょんと触れた。その瞬間、剣はふわりと消え失せてしまった。
「っ!?何を!?」
手の中から剣が消えたことに唖然としているヨンに、老人はすっとヨンの腰にある鞘を指差した。まさかと思い老人から目を離さないままそちらに手をやると、剣が鞘に収まっている。
幻術かと一気に警戒が高まるが、目の前の老人から害意は感じない。
「心配しなくとも何もせん」
よいしょと座り直したその老人は、ヨンをじっと見ながらにこにこと笑った。
「ちょっと、わしがしくじってしもうてのう。もうすぐ迎えが来るから、それまで少し話でもせんか」
敵意など無縁のようなその様子に不思議なものを感じる。何者かは全く分からないのだが、何もしないと言った老人に嘘は見えなかった。
「何者だ?」
「ほほっ。それは言えんのだがのう」
「なぜ此処に?」
「ちょっとした手違いじゃ。実はの、わしは本来人の前に姿を現してはならんでの。すまんが、わしと会ったことは秘密にしてくれるかの?」
「名も名乗らぬ様な者の頼みを聞けと?」
「ほっ。それもそうだのう。だが話したとて誰も信じぬだろうが…」
愉快そうに笑う老人が、いいことを思いついたという様に続けた。
「では、代わりに願いを一つ聞いてやろう」
「願い?」
「私のこの袋から出せる物であればなんでも。金でも物でも」
そういうと老人は背負っていた白い大きな袋をぽんぽんと叩いた。その嘘の様な話に乗るほど阿呆ではないが、先ほどの剣のこともある。
「ふむ。信じておらぬな?」
そう言うと老人は次から次へと袋から物を出し始めた。金や衣服、食べ物、武器、高価なものから安価なものまで、どこにそれだけ入っていたのかと言うほどあっという間に山が出来上がった。
そうして「よく見とれ」と言い老人が、その山にちょんと触れる。すると全てが消えてしまった。驚きに目を剥くヨンに「少しは信じる気になったかの?」とにこやかに笑った。
「して、お主が望む物は?」
もはや全てではないにしても、不思議な力を持っていることは信じるしかなかった。
「俺が望む物…」
「なんでも良いぞ」
「ない」
ほ?っと今後は老人が驚いた顔をする。
「ないとな?」
「俺はもう、何より望む者を手に入れておる。あの方以上に望むものなど…あろうはずもない」
————もし何か願うとすれば、あの方が健やかにいることだ
だが物でないそれは袋から出すことなどできないだろう。
「ほほっ」
それを聞くと老人は至極嬉しそうに「そうかそうか」と言って笑うと、袋からごそごそと何かを取り出した。
「ほれっ」
そういって投げてよこした何かをパシリと受け取るが、確かに受け取ったはずだというのにその手の中には何も入っていない。
「何を?」
「ほほっ。お主がないと言うなれば、近しい者…ふむ、お主によく似ておる。其の者の願いを叶えてやろう。まぁ帰ればわかる。お?迎えかな?」
シャンシャンと不思議な音がしたと思うと、空から動物とソリがふわりと降りてきた。驚くヨンに「ではの」と言って素早くソリに乗り込むとゴッと風を鳴らしてそのソリは空へと消えて言った。
————今のは、一体…?
唖然とするヨンだったか「話したとて誰も信じぬ」と奴が言っていた意味が分かった。不思議な男が現れ、大きな籠に乗って空に消えたなど言ったところで、夢でも見たのだと言われるだけだろう。
じわりと手のひらが暖かい様な気がして見るが、特に変わったことはなかった。
*
「ちょっと!寄らないでよ!」
そう言って相手を睨みつけたのはウンスだった。
ちょっとだけ…と兵舎を抜け出してきたのだが、少しだけ裏に入った路地で運悪くゴロツキに絡まれてしまった。
ヨンにプレゼントをと思ったため、バレない様にテマンやトクマンを巻いてきてしまったのが悔やまれる。
ウンスとしては街に溶け込んでいるつもりだったのだが、紅い髪とその容姿、そして身なりの良さそうな衣ではどうしたって目立つのだ。だからこそ、外に出るときにはいつも護衛をつけていたヨンだったのだが、その心は残念ながらウンスには届いていない。
「ちょっとくらいいいじゃねーか」
そう言った男がウンスの腕を掴むと足元からフーッという唸り声がして、男の手に飛びかかる。
「いてぇ!こいつ!何しやがる!!」
「ノウル!!」
ブンと振り回されて壁に叩きつけられたそれの名前をウンスが叫ぶ。
だが、ノウルはフラリと立ち上がると再度男に飛びかかった。
「このやろう!」
他の男がノウルを掴み、引き剥がそうとするが爪を立てて食らいつく。
「やめて!」
バリッと音を立てて爪が外れた途端、地面に叩きつけられ、男から蹴られてしまう。ガンと壁に当たって倒れたノウルだったが、またヨロヨロと立ち上がった。
「やめて!何もしないで!」
ウンスがそう叫んで暴れるが、一人の男がウンスを拘束したままで、ノウルは弱々しくフーッと唸る。
男はハッと笑ってもう一度蹴りを入れる。
「お願い!もうやめてよ!」
立ち上がろうとするノウルだったが、よろりとよろめいてがくりと崩れ落ちる。
それでもズルと足を引きずって立とうとするノウルに、ウンスが叫ぶ。
「ノウルもういいから!立ち上がらないで!」
力を振り絞って立ち上がるが、その様子に空恐ろしいものを感じた男が「気持ち悪りぃ!」と言って掴んだ木の棒で殴られ————
————今度こそノウルは体に力が入らなくなった。
続
あれ?クリスマスなお話がとんでもないバイオレンス!