こんにちは!今日は早い時間にUPです。

今回はリク企画。ウンスの縁談話です( *´艸`)♪

 

まーるまーる様からのリクエスト

「まだウンスがヨンへの気持ちの自覚がない時の見合い話で、軽く引き受けちゃうウンス。すると現代の初恋の人に似ていてかなり打ち解け、屋敷に移る話まで持ち上がってしまい…。焦るヨンと、感じる違和感から気持ちに気づくウンス」

と言うお題!と言うことで、時系列は二人が惹かれ合うじれじれ期の初めあたりです。

前編・中編・後編+SSSおまけ。なぜか長くなりました!笑

 

 

それでは、どうぞ〜♬

 

 

 

 

 

 

前編

 

 

「医仙殿はおられるか?」

「はーい、ここに」

 

 穏やかな昼下がり、明るい日差しが差し込む典医寺の一角で、ウンスとチャン侍医は休憩と研究を兼ねて薬草茶を飲んでいた。今回飲んでいるのは、薬草のエグ味をうまい具合に配合で抑えることができたウンスの自信作だ。

 

「今ちょうど薬草茶を試してたんですよ。飲みやすいように私が作ってみたの。お二人もどうです?」

「あ、ああ。いただこう」

 

 そう言って、訪ねて来たチェ尚宮とヨンのため茶器に注ぎ差し出すと、コクリと一口飲んで驚いた顔をしている。どうせ薬草茶と聞いて不味いと想像したに違いない。

 

「どうです?美味しいでしょ?」

「意外です」

 

 ヨンがポツリと呟いた。これは良い方向に裏切ることが出来たとウンスはふふんと笑った。

 

「でしょ?」

「医仙がこれを?」

「そうよ!」

「茶を淹れることができたのですね」

「ちょっと!私のことなんだと思ってるのよ!」

 

 思わずそっち!?っと突っ込んでしまった。お茶を淹れたことが意外だなど、全くもって失礼な男である。

 素直に美味しいと言えないのかと文句を言うウンスだったが、そもそも用があって来たのではと思い出してチェ尚宮に顔を向ける。

 

「それで、何か用事ですか?」

 

 そう言うと、少し言いにくそうにチェ尚宮はチラとヨンを見る。

 

「実は、縁談が来ておるのです」

「へぇ…縁談」

「縁談!?」

 

 茶をすすりながらウンスはさして驚きも見せずに答えた。驚いた声をあげたのはチェ・ヨンだった。その様子からするに、話の内容は彼も知らなかったのだろう。

 

 ————まぁチェ・ヨンですものね。そりゃあるでしょうねー。

 

 なぜか一瞬もやっとした気持ちを押し込んで、チャン侍医が茶請けにと用意してくれた菓子を口に放り込む。程よい甘さが口に広がり、茶の苦味とマッチしていて美味しい。

 

 この若さで近衛隊の隊長だもの。やっぱり良家のお嬢様とかなのかしら?でも近衛隊…というか武士って危険な職業よねぇ。若くして未亡人になることもあるわけだし、旦那にするにはちょっとリスク高いけど。あ!それともチャン先生?王宮の侍医だものね!高給取りで優しくて、まさに優良物件!医者なら身の危険というリスクもなしね。けど、ハードな職業だし24時間体制で患者に呼ばれちゃうから、医者の妻って大変なのよねぇ。

 

「どうでしょうか?」

「え?!い、いいんじゃない?」

「医仙!?」

 

 むぐむぐと味わいながら動揺を隠すように、敢えてウンスは事も無げに答えた。

 なぜ私に聞くのか?とも思ったが、自分の今の立ち位置を考えると納得できる。ヨンにしてもチャン侍医にしても、ウンスは二人に頼りっきりなのだ。二人が誰かと結婚したら、今みたいに一緒にいることは控えた方が良いのかもしれない。とは言え「天から連れて来た医仙」としてぞんざいな扱いもできないのだから、まずは自分に許可をということなのだろう。

 自分だって彼らの将来の足を引っ張っては…と思って言ったのに、なぜかヨンに険しい顔を向けられてしまった。

 

「私は構わないけど」

「然様ですか…では、話を進めても?」

「ええ。どうぞ?」

「それでは。こちらも助かります」

 

 そう言って、チェ尚宮が後ろに控えていたムガクシに耳打ちすると、すっとそのムガクシは去っていった。

 

「叔母上!断ってください!」

「医仙が良いと言っておられるのだ。何故お前が止めるのだ?」

「それはっ…」

 

 やはりチェ・ヨンへの縁談なのだろう。だがこれほど嫌がるということは、ヨンはまだ結婚など考えていないだろうと、その様子になぜかほっとしてしまう。

 

 まぁ後は本人次第だわね…とウンスはまたお茶を啜る。

 

「医仙は俺が天界に御返しする!その医仙に何故縁談など!」

 

 そのヨンのセリフに、思わずブハッとお茶を吹き出してしまう。吹き出した先はチェ・ヨンで、迷惑そうに自分を見るのが分かったがそれどころではない。

 

「え!?縁談って、私に!?」

「そうですが…誰と思うておられたのですか?」

「そりゃ、チェ・ヨンかチャン先生かなって!」

「医仙…」

「医仙殿…」

 

 三人から残念そうな顔で見られてしまうが、ウンスとしては帰る宣言をしている自分にまさか縁談が来るとは思っていないのだから、これに関しては自分の感覚の方が普通ではないかと思う。

 

「だ、ダメよ!私は帰るんだから!」

「申し訳ありませぬ。既に先ほどのムガクシにすでに了承の旨伝言を…」

「そんな!」

「先方は会うだけでもと申しております。会うたからとて、その後断っても問題ありませぬ。それに実は、申し上げにくいことではありますが、個人的にとても恩があるお方からの話なのです。故に、一度会うだけでもお願いできませぬか」

 

 これだけ世話になっているチェ尚宮の頼みであれば、ウンスも無下に断ることができず、仕方ないとため息をついた。

 それに断っても良いという前提ならば、ほんの少しだけ興味がないわけでもない。

 

「分かりました。本当に会うだけですが、それでもよければ」

「医仙!」

 

 ヨンが焦った声で自分を呼ぶが、すでにOKしてしまったものは仕様が無いではないか。と、そう思っていると、チェ尚宮がばしりとヨンの足を叩いて黙らせた。

 

「十分です。医仙殿、お礼を申し上げます」

「そんな!叔母様にはとてもお世話になっていますから」

 

 納得のいかない顔をしているヨンは放っておくことにした。

 

 

 

 

 

 

 

チャン先生は傍観中。

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