こんにちは♬

ということで、最終話もUPです( *´艸`)♪自覚編。

 

さてさて改めまして、重ねてのご挨拶になってしまいますが笑

本年は大変お世話になりました!

また来年もどうぞよろしくお願いいたします(。>ω<。)ノ 

 

元旦は、お話とお年賀イラストをUP予定です♬

すごい久々に描きましたヾ(●′ω`)ノ 

 

それでは、どうぞ〜

 

 

 

 

 

後編

 

 

 

「何故、そのようなことを?ここを出る…と?」

「そういう選択肢もあるのかなって」

「縁談の…その男のところへ行くと?なりませぬ。あなたはご自分を分かっておらぬ。医仙として多くの者に狙われる可能性もあると言うておるでしょう。そんな中、俺の元から離れるなど…」

 

 一体何を言い出すのかと、ヨンはウンスの考えを否定する。

 どんなに危険な立場にいるのか分かっていないウンスに腹が立ってきさえした。自分の責任で連れて来たウンスを、他の男に任せるなど出来るはずがないのだ。

 他の男の元に…そう考えるだけで心がざわついた。

 

「其奴に何を言われたのです」

「何も言われてないわ。屋敷に来ないかと言われただけよ。よく考えたら、ここを出た方がチェ・ヨンにとっても良いんじゃないかって…」

 

 何が良いと言うのだろうか。そもそも、その男が信用できるかどうかも分からない。体良く利用されるだけかもしれないと言うのに。

 

「なりませぬ」

「でも、それじゃずっとあなたに迷惑が…」

「迷惑などと思うておりませぬ」

「だって…知ってるわ!貴方が迷惑そうにしていることくらい…」

「でしたら!大人しくしていてください」

 

 ヨンのイライラとした感情を感じ取ったのか、ウンスが大きな声をあげた。

 

「大人しくできると思う?!こんな状況で!?それに貴方が怪我したのだって私のせいだわ!もう私のせいで傷つく姿なんて見たくないのよ!これ以上迷惑かけたくないから、だから出て行こうと…」

「俺の側から離れるなと言うておるのが何故分からぬ!」

 

 ダンッと机を拳で叩いた反動で、上にあった器具がガシャと音を立てた。ぐっと感情を押さえつけるようにして続ける。

 

「医仙を連れて来たのは俺です。故に最後まで俺が守ります。この状況下で守れるのは俺しかおらぬ。されど、側におらねば…守れませぬ」

 

 ウンスの震える瞳に————抱き寄せたい衝動に駆られてヨンは深く息を吐いた。

 

「もう怪我などしませぬ。それに医仙は…天界に帰るのでしょう?」

「それは…」

 

 言い淀んだウンスにヨンの心臓がどくりと音を立てた。

 一度は押さえつけた感情が、ウンスの一言でいとも簡単に崩れてしまう。

 

 ————帰りたいと、ずっと言っておったではないか!だから俺は!

 

「その男の為に?」

「そうじゃ…」

「では俺が…!」

 

 ————残ってくれと言ったなら…

 

 そう言いかけてヨンはハッと口を噤んだ。

 

 ——————俺は、一体何を!?

 

 口走ろうとした言葉。

 

 ————医仙と

 

 ——————ずっと、共にいられたら…などと————

 

 それは抱いてはならない望みだ。

 

「チェ・ヨン?」

「とにかく、この話は終わりです。出て行くことは俺が許しませぬ」

 

 とにかくこの場を離れたくて、ウンスの肩から手を外して目を逸らす。そうして、もうこれ以上は聞きませぬと言って扉へと足を向ける。

 

「あ!ちょっと!チェ・ヨン!?話はまだ…」

 

 追おうとしてくるウンスの声を遮るように、些か乱暴に扉を閉めヨンは典医寺を後にした。

 

 

 

 

 バタンと大きな音を立てて閉まった扉をウンスは唖然と見つめた。

 まさかここまで反対されるとは思わなかった。いや、本当は彼が自分を引き止めるであろうことを心の何処かで、分かっていたのかもしれない。

 チェ・ヨンは責任感の強い人だから。連れて来たヨン以外のところへ行かれるのは、責任放棄のようなものだ。

 きっと、それだけ。それだけだと分かっているのに————

 

 ふっとウンスは視線を下げ、先ほどヨンが叩いた机の部分を手でなぞる。

 

 

   俺の側から離れるなと言うておるのが何故分からぬ!

 

   俺が医仙を守ります。側におらねば…守れませぬ。 

 

 

 どうして自分は、この言葉を嬉しく思ってしまうのだろう。

 

  

   医仙は…天界に帰るのでしょう?

 

 

 自分がずっと言っていることなのに、どうして

 

 

 ————チェ・ヨンに言われると心が苦しいの…?

 

 

 ズキリとした痛みに、帰ると即答できなかった自分がいた。

 

 

 ————どうして

 

 

   では俺が…!

 

 

 あの言葉の続きが、こんなにも気になるのだろう。

 

 

 

 ————もし彼が、残って欲しいと言ったら…

 

 

 

 その言葉を一瞬でも期待してしまった。

 

 

 

 ————どうして

 

 ————————彼なの…

 

 

 

 

 ずっと気持ちに蓋をして、誰にも…厳重に、開かないように————それなのに。

 

 

 

 ————どうしてその蓋を彼はいとも簡単に開けてしまうの

 

 

 

 いつか離れ離れになると分かっていて、どうして————。

 

 

 

 

 ウンスの瞳からポタリと涙が落ちた。

 

 

 

 

 もう、自分を誤魔化すのは限界だった。彼の側に居たいのは自分の方だ。

 

 

 

 

 ————涙と一緒に、この気持ちも流せれば…

 

 

 

 どんなにか楽だろうと思うのに、この気持ちを大事にしたい自分もいるのだ。

 

 まだ、側にいられる。他ならぬ彼自身がそう言ったのだから。帰るまでには、気持ちの整理をつけなければならない。だから————

 

 

 

 帰るまでは————それまでは

 

 

 

 

 

 ————————彼の、側に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後日、しっかり縁談先に断りを入れに行くヨン。

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シリアスを壊すおまけSSS二本立て

 

 

 

 

「ふふ、縁談話かぁ。そんなこともあったわね」

「そんなことではありませぬ。俺があの時どれだけ…」

「ねぇテジャン。あの時の言葉、何て言おうとしたの?」

「あの時の?」

「ここに残るのがその男の為かって聞いてきて、そうじゃないって言ったら「では俺が…」って、言いかけてやめたの。覚えてる?」

「…分かっておるでしょう」

「えー。言ってくれなきゃ分からないわよ」

「イムジャ、顔が笑っています」

「だって…ふふ。でもあの時…もし貴方がそう言ってたら、私どうしたかな」

「どういうことです?」

「そう言って欲しい気持ちと、帰りたい気持ち…あの時はどっちが大きかったのかなって」

「では、今は?」

「それこそ、分かってるでしょ!」

「”俺がそう言うたら、残ってくれますか”」

「何?急に」

「あの時言いかけた言葉です。俺は言いました故、イムジャも」

「あ、それずるいわ!」

「早く」

「もうっ。今は…ずっと貴方の側にいたいに決まってるじゃない」

「俺が守ります。その役目は誰にも譲りませぬ」

「ふふ、ずっとよ」

「もちろんです」

 

 顔が緩むヨン(*´ω`*)

 

 

 

「そう言えば、あの縁談話、あのまま有耶無耶になっちゃったけど…」

「俺が断りました故」

「それに、次にあの人と会った時、なんかそそくさと逃げられたんだけど」

「…会ったのですか」

「ぐ、偶然よ!王宮で会っただけ」

「さぁ?」

「チェ・ヨンあなた…なんて言って断ったの」

「忘れました」

「ちょっと!」

「…少々脅しただけです」

「はぁ…もう。せっかく初恋の人に似て良い人だったのに…」

「イムジャ?それは初めて聞きましたが」

「え?あ?!私声に出してた?!」

「しかと」

「ねぇちょっとチェ・ヨン?どこ触って…」

「褥で他の男を思い出すなど」

「ちょっ…んっ」

「許しませぬ」

「あ、ちょっと!だめっ」

「だめではありませぬ」

「んっ」

「忘れさせて差し上げます」

「そんなの、とっくに!」

「もう黙って」

 

 

 

 悋気ヨン(´∀`)

 

 

 

 

ではでは、これにて♬

良いお年をお過ごしくださいませ〜ヾ(●′ω`)ノ