明けましておめでとうございます。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

 

2020年もヨンとウンスの幸せなお話を綴っていければと思っています。

そして長編連載の続きも完結までしっかりと書いていく所存です!

ぜひとも暖かくお付き合いいただけると幸いです。

 

皆様にとって2020年が良い年になりますように。

 

 

 2020年 元日 アン拝

 

 

 

 

 

以下、お正月小説になります♬

 

 

リク企画811059様より

「お正月用に新しい衣を王妃様から貰ったウンス。色っぽくウンスに着せまいとするヨン。実は王妃様はヨンと二人きりの時に着なさい、とくださったんですけどね、というオチ」

 

前後編の全2話でお届けします。

 

 

 

 

 

 

天女の羽衣(前編)

 

 

 

 

 ウンスは新しい衣服を前に、ご機嫌でそれを眺めていた。

 「医仙、私から贈り物です」そう言って王妃様がくれたこの衣装は、煌びやかだと言うのに上品で、王妃のセンスの良さを伺わせた。

 少しだけ色っぽいデザインになっているのは、きっとウンスが着ていた天界の服に合わせてくれたのだろう。現代の服としては普通なのだが、高麗の衣からするとかなり薄着になるのだから仕方ない。

 

 寝台に寝転がりながら壁に掛けた衣服を眺めて、ウンスはふふっと微笑んだ。

 

 ————テジャンはなんて言うかしら。

 

 今日は元日だ。新年の正式な茶礼は王によって官僚達で開かれるのだが、それが終わった後の昼過ぎに、王様や王妃、そして迂達赤達とささやかな茶会をしようと話していて、もちろんウンスはそれに参加する予定だ。

 ヨンは今茶礼に出ており、その間ウンスはこうして留守番をしている。

 

 普段は豪華な衣装など重くて着ていられないウンスだったが、せっかくの王妃からの贈り物なのだから、その茶会に着ようと楽しみにしていた。着飾った姿で驚かせようと、ヨンには今朝までこの衣装は見せていない。

 

 少しだけ驚いた後に「よくお似合いです」もしくは「お綺麗です」この辺りだろうか。優しく目を細めてそう言うヨンを想像して、ウンスはニマニマと笑ってしまう。

 いや、もしかしたらこちらの想像もつかない台詞を言うかもしれない。ヨンがどう思っているのか分からないが、あの男はたまにこちらが恥ずかしくなるような事を言う時がある。普段が普段なだけに、その破壊力はなかなかにウンスの心臓に危険だ。

 

 今朝だってそうだった。初日の出を共に見ようと言ったウンスを、ヨンが起こしたところから今日が始まった。

 

 

 

「イムジャ、そろそろ起きてください」

「ん…もう朝?あ、そっか、初日の出」

「もう起きねば、間に合いませぬ」

「ん、おはようテジャン」

 

 そう言って目をこすったウンスに優しく微笑むと「ほら」と言ってウンスの手を取り、起き上がらせてくれた。

 そうして寒くないようにと厚着をした2人は、まだ薄暗い中外に出て日の出を待つことにした。だが、どんなに衣服を重ねようと寒いものは寒いのである。

 

「うー…さむっ」

 

 うっすらと空が明け始めている中、そう言って白い息を吐いたウンスを、ヨンはぐいと引き寄せその厚い胸の中に閉じ込めた。

 

「少しは暖かいでしょう」

「ふふ、ありがとうテジャン」

 

 すりっとその胸に擦り寄ると、トントンと背中を優しく叩かれる。こうしてこの胸にいるとどれだけ安心できるか、チェ・ヨンはきっと知らないだろう。

 

「ねぇテジャン、今年もよろしくね」

 

 そう言って顔を上げると、ふっとヨンの口元が緩んだ。

 

「はい。俺の方こそ」

 

 そうしてとりとめのない話をしているうちに、地平から赤い太陽の端が見え始めた。

 

「あ!ほら!」

 

 柔らかな赤い光が2人を包み、新年を告げる太陽はゆるゆると昇っていく。

 

 ————うわ、綺麗…

 

 光が反射して、木々や建物…眼に映る全てのものがキラキラと輝いている。ウンスはその見事な景色にほぅと息を吐いた。こんなに綺麗な景色を見たことなどあっただろうか。

 

「テジャン、すごい…綺麗ね」

 

 なんと言って表現したら良いのか分からないが、綺麗としか出てこなかった。まるで光の中にいるみたいだと、ヨンをちらと見ると目が合った。

 

 —————ああ、なんか…幸せ

 

 こうして2人でずっと綺麗な景色を見ていければ良いと、心から思う。

 

「このように日の出を美しく感じるのは初めてです」

 

 顔を太陽に戻したヨンがポツリと呟き、その言葉に「私もよ」と返す。

 

 —————きっと、それは…

 

「イムジャと共にいるから…でしょうか」

 

 ちょうど同じことを考えていたことに、少しだけ驚いてしまった。

 そのヨンの言葉に、あまりの幸せにウンスの瞳が微かに潤む。

 

「私も…テジャンと一緒に見るから、こんなに綺麗なのねって思ってた」

 

 そう言うと、優しい瞳がウンスに向けられそっと目尻を拭われた。柔らかなその瞳の奥には真摯な光が宿っていて。

 

「イムジャ…あなたといると、俺の目にも全てが美しく見えるのです。あなたと出会い、白黒だった世界がいつの間にか…鮮やかに、彩られて行きました」

「テジャン…」

 

 きゅっとヨンの胸元に顔を寄せると、ヨンの手が頬を撫で、ウンスの額にヨンの唇が当てられた。

 

「イムジャがおらぬと、美しいと思うどころか…俺の目には、彩さえ見えませぬ。故に…ずっと側で、同じ景色を」

 

 

 

 

 

 あのあと、そっと降りてきた唇に瞳を閉じて、熱く口づけされて。

 そこまで思い出して、ウンスはじたじたと足をばたつかせた。

 

 —————ほんっとうに!あの顔と台詞は反則よ!

 

 どれだけすごい台詞を言っているか、本人は無自覚なのだから始末に負えない。全て真剣で、本当だと分かるからこそ尚の事だ。

 

 はーっと、一通り暴れたウンスはボスンと顔を寝台に埋めた。

 が、しばらく息を整えるとガバリと起き上がる。

 

 —————もうこんな時間!そろそろ着替えなきゃ!

 

 思い出して悶えている場合ではない。もうだいぶん時間が経っているのだから、もうそろそろチェ・ヨンが帰ってきてしまう。

 

 ヨンのセリフは心臓には悪いが、もちろん心から嬉しいのだ。

 この衣を着たウンスになんと言ってくれるのだろう。

 

 —————今回は、テジャンの台詞に照れずに返してみせるわ!

 

 そうよく分からない決意をしたウンスはふふっと笑うと、いそいそと着替え始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

初日の出ートな二人♬

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