こんばんは(。>ω<。)ノ
お正月気分もいよいよ最終日ですねぇ。
いくら休んでも、休みが足りない…笑
さて、本日の更新はリク企画!june24ws様からのリクエスト!
シチュエーション「雪の降る夜より、ウンスの運転でヨンが車に乗る」です。
前後編の2話でお届け♬
時間軸はまだヨンが幽霊としてウンスの側にいる時。
ちょっと現代に馴染んだヨンですが、互いの気持ちもあやふやで、自覚もまだーなジレジレ期です。笑
パラレル話になっておりますので、それでも良いよ〜という方はどうぞ!
雪の降る夜 番外編(前編)
—————天に届かんばかりの大きな建造物。そして駕籠は馬車がなくとも走り、鉄の馬に乗っている者もいた。道には昼夜問わず光が灯され、街は不夜城の如く。また驚くことに、人々は天界の道具を用いて、互いに何時でも意思疎通が可能であった—————
「ああ、はいウンスです。ええ?はい。書類?」
「は?今から…ですか?!」
「いや、でもその!私車は…いえ、免許は持ってますが」
「待ってくだ…ちょっと!まっ…もしもし!?」
ここは美容整形外科病院の一室で、窓からは西日が差し込んでおり、あと数刻もすれば夜になるだろうことが分かる。そんな中、チェヨンは「電話」とやらで話しているウンスの声色が徐々に怪しくなっているのを感じていた。
「電話」はこの場にいない者と会話できるのだと聞いている。これがあれば、戦況を早馬で知らせずとも一瞬で伝える事が出来る。どうにか高麗にもと思い、一体どのようにしているのかとウンスに問うてみると「科学の力よ!」と言っていた。「声の振動を電気に変えて…」と何やら説明してはくれたものの、単語すら意味が分からなかった。天界の技術など俺には到底理解できぬのだと諦めたが、本当に不思議で便利なものだらけだ。
だが、今の目下の問題は「電話」ではなくウンスの様子だ。ウンスは焦った様子で話していたが、最終的にシンと静かになって、やがてコトリと電話が机へと置かれた。
「あんのバカ上司ーーー!!」
そう言ってぶるぶると怒りに震えるウンスに何事かと思うが、声をかけてよいのか分からないほどに怒っている。機嫌が悪い時の女人はそっとしておくべきだと叔母は言っていたが、そっとしておけるような状況ではない場合はどうすれば良いのだ。このような場合の助言を何故くれなかったのかと理不尽に叔母を恨めしく思う。
「う、ウンス殿?」
恐る恐るといった様子でヨンに声をかけられたウンスは、ハッとしてヨンを見た。
あまりの怒りに一瞬ヨンの存在を忘れていた。思わず叫んでしまった自分に気恥ずかしくなり、誤魔化すように乱れた髪を直す。
「ああ、ごめんなさい大きな声出して」
「いえそれは…。して、何事です?」
「そう!何事かもうあったもんじゃないのよ!聞いてくれる!?」
電話の相手はウンスの上司であるドクターだった。彼は近年、ここから車で約1.5時間程度のところにある大学の教授と、共同で研究を手がけている。今日はその大学に行っているのだが、捺印された書類を忘れたとのことだった。
「…ってことで、今から車で届けろですって!全く迷惑すぎるわ!」
少々郊外に立地しており、公共交通機関で行くにはやや不便なところだ。原本が今日中に必要とのことで、そんな大切な書類をなぜ忘れたのかと、一晩くらい膝詰めで説教してやりたい。
本当は早く帰ってあの歩道橋に行こうかと考えていた。上司がいない今日が早上がりのチャンスだった筈なのに、いなくても厄介事を持ってくるとは一体どういうことだ。
車を持っていないと断ろうとしたが、既に同じチームの同僚が貸してくれる算段がついており、これでは逃げられない。
あの野郎、私を売りやがったな…と、思っていたところで丁度その男が部屋に入ってきた。
「ウンス 、本当にごめん!これ車のキー」
「なんで私なのよ!あんたが行きなさいよ!せっかく早く上がれるかと思ってたのに!」
「今日妹の誕生日でさ…もう家族で店予約しちゃってるんだ。本当にすまん!」
入ってくるや噛み付くウンスに、その男はペコペコと頭を下げた。自分より年は二つ上だが、同期であるためウンスも遠慮はない。が、理由が理由だけに怒れないではないか。仕方ない…ここは同僚のために一肌脱ぐのはやぶさかではない。
「どうせウンスはこの後予定ないだろ?」
「失礼ね!余計なお世話よ!」
前言撤回、デリカシーの一つでも身につけないとモテないわよと言うと「他には気をつけてる。お前だからだよ」なんて、そんな特別扱いは丁重にお断りだ。
「貸し一つだからね!」
その男はウンスに病院の売店で買ったであろうチョコの箱を差し出すと「とりあえずこれで!本当にごめんな。今度メシ奢るから」とウンスの頭をガシガシと撫でた。
「ちょっと、ボサボサになるでしょ!やめなさいよ!」
乱暴に振り払ってやると、ははっと笑って去って行った。騒がしかった部屋が途端に静かになる。
「もうっ、本当に調子いいんだから…」
「やけに親しいのですね」
「え?そう?ただの同期よ。全く、人に押し付けて…」
「されど…」
どことなく不機嫌そうなチェ・ヨンを不思議に思ったが、きっと自分の仕事量を心配してくれているに違いない。相手に怒ってくれるなんて、本当に優しい人だ。とは言え、こうなったら行くしかあるまい。
「ねぇチェ・ヨン 。あなたはどうする?」
「どうするとは?」
「家にいても良いけど…」
「ウンス殿が問題なければ、俺も同行したく」
その言葉にちょっとホッとした。片道1.5時間の運転は正直退屈である。話し相手がいる方が気がまぎれるし、チェ・ヨンとドライブと思うと嫌な業務も少しだけ楽しく思える。ちなみに、ペーパードライバーで運転に自信はないが、残念ながらこのヘルプをヨンに出すことは出来ないだろう。
が、ここでウンスははたと気づく。
「幽霊って車乗れるのかしら。すり抜けちゃったりして…」
すり抜けて上半身だけ出ている姿もホラーでしかない。が、乗れると言ってヨンがドアを開けたりすれば、ヨンが見えない人にとっては立派な怪奇現象である。
そう考えると、建物も人工物なのに普通に入っている。壁はすり抜けられるのに、時には寄りかかってもいる。床は歩けて、上層階から一階まで落ちたりはしない。車に乗ってくる幽霊の話なんかもよくあるホラー話だ。とすると大丈夫なのだろうが、なんとも幽霊とは都合のいいものな気がしてきた。
「ねぇチェ・ヨン、あなた壁をすり抜けてたわよね」
「はい」
「でも、寄っかかったりもしてたわよね」
「そう言えば…あまり考えておりませんでしたが、通ろうと思えば通れ、寄り掛かろうと思えばそうなります」
「でも、物は持てないのよね?」
「ああ。色々と試しましたが、集中すれば触れることは出来るようです」
「え?!そうなの!?動かせるの!?」
「触れられるのみです。動かすのは難しく」
「そ、そう。良かった」
もし動かせることができたら、ヨン次第では自分の周りで怪奇現象が多発していることになってしまう。医者の周りで怪奇現象なんて、いくら何でもシャレにならない。
「己の意思で動かすことができるのは、ウンス殿のみのようです」
そう言って、そのことを証明するかのように、乱れたウンスの髪に触れてさらりと手櫛を通した。自然にそうしたヨンに思わず顔が赤くなってしまいそうで、慌てて背を向ける。子供じゃあるまいし、女性の髪に触れるだなんて、自分を一体なんだと思っているのか。それとも昔の時代の武士にとっては、女性への扱いとしてこれが普通なのだろうか。
「ウンス殿?」
「な、何でもないわ!さ、さっさと書類持って行きましょう!」
続
ヨンには照れちゃうウンス(*´ω`*)
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