こんばんはヾ(●′ω`)ノ
君歌、脱走のウンス編です♪
さーて問題です。出て来る曲はなんでしょうか?笑
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バンっと大きな音を立ててヨンが出て行き、一人部屋に閉じ込められたウンスはすぐに後を追おうとした。だが、部屋を出た途端にテマンに邪魔されてしまう。
「どきなさい」
「隊長のご命令ですので」
—————昔はもっと可愛かったのに。
元々、他の近衛隊よりもテマンはウンスに対して怯む様子は見せていなかった。けれど、出し抜こうと思えば出来ていたのも事実だ。それなのに、4年も経つとずいぶんしっかりするのだと感心するほどになってしまった。
しぶしぶ部屋に戻って椅子に座る。
思い出すのは先程のヨンの表情と言葉。
「天界に…帰りたいと?」
あんな辛そうな顔をさせるつもりなど、決してなかった。
おそらく彼は勘違いしている。自分が故郷が恋しくて、旅芸人に会いたいと言っていると。もしかしたら故郷に帰りたがっているのではないかと思っている。
—————そんなこと、絶対ないのに
ウンスはただ、聞きたかったのだ。これからの歴史や技術。自分が覚えていない事があるかもしれない。なにか役に立つ情報を持っているかもしれない。
—————全部、あなたのためにと思っているのに
そう考えていると、今度は段々と怒りに変わってくる。まだ自分を信じていないのかと。過去を、生きてきた世界を全て捨ててでもヨンの側にいたいと、高麗に来たというのに。
—————天界が恋しいかですって?そりゃ恋しいに決まってるじゃない!故郷だもの、当たり前でしょ!
それでも高麗に居るのは自分の意志で、後悔などしていない。だからこそ、ヨンに帰りたいかと、つまりそれは後悔しているのかと問われたと同義で、その事自体に腹が立つのだ。
—————いいわ。こうなったら強行よ。
ちらりと窓を見て、ウンスはふんと不敵に笑った。
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「やればできるのよね!私すごくない!?」
誰に言うわけでもなく、完全なる独り言を言いながらウンスはご機嫌で街を歩く。
あの優秀な迂達赤を、まさか自分が出し抜いたのだ。
窓から伝って降りるときに足を滑らせて落ちそうになったのは、まぁご愛嬌だ。「皆には少し悪かったかしら」と言いながらも、ちっともそう思ってない顔でふふんと笑った。
—————ちょっとは反省すればいいのよ!こっちの気も知らないで!
ヨンが自分を心配してくれていることはもちろん分かっている。それでも、腹が立つものは仕方ない。「なりませぬ」の一点張りでこちらの意見を全く聞いてくれなかったことも、自分の気持ちを全く分かっていないことも。
—————今更天界に帰りたいだなんて思うわけないのに!
どれほどの覚悟で此処にいると思っているのか。誰のために向こうの生活、両親、友達、そしてせっかく買った高級マンションを捨ててまでこの地に来たのか、知らないとは言わせない。
とは言え、どうせ相手はヨンなのだから見つかるのは時間の問題だろう。
—————急がないと…!
目的はもちろん旅芸人の歌い手だ。隠れる必要もないのだが、こっそりとしてしまうのは気持ちの問題である。
人混みを抜け、舞台が見えるところまでやってきて状況を伺う。大盛況だったその場所も、今はちょうど人が掃けており、どうやら演舞は休憩中のようだ。我ながらナイスタイミングだと、ウンスはにんまり笑った。
「ね、ちょっといいからしら」
役者の簡易休憩所であろう舞台の裏に作られた大きい天幕。その前に立っている護衛と思しき体格の良い男に、ウンスはにこりと笑って声をかけた。顔の横で両手を組み合わせ、ちょっと顔を傾ければ、所謂おねだりのポーズの出来上がりだ。
「ん?なんだ?」
「ちょっとお願いがあるんですけど。あの歌い手の男性に合わせてくれないかしら」
「…すまんがその手の願いは断るように言われててな」
愛想の良いウンスに対して申し訳なさそうに答えた男に、今度はウルウルとして見せる。情に訴える作戦だ。
「私、本当に彼に用事が…」
「ぐっ…ダメだ。そう言って会おうとするやつが多いからな。ところでその…良かったらどうだ?食事でも…」
ゴニョゴニョといかつい顔をほんのり染めて男が言うが、残念ながらウンスは聞いていない。つい小さく舌打ちをしたことに男が気づかなかったのは本人にとっては幸か不幸か。
—————ふむ…やっぱりダメか。
ウンスは曲げた人差し指を口元に持って行き考える。一筋縄じゃいかないとは思っていたが、ここは仕方がない。
「よし!」
「え?!いいのか?」
すうっと息を吸ったウンスは、先ほど聞いたメロディーを口ずさむ。
大切なあなたの胸の中で 一日を生きたくて 愛してるわ 私の運命のようなあなた…
響くその声は、果たしてウンスの狙い通り天幕にも届いており、ガタガタと大きな音をさせて中から男が飛び出してきた。
目を驚愕に見開いたままウンスを凝視している。
「え?な、今のは?」
思った通りの人物が釣れた事に、ウンスは満足げに笑った。
「はじめまして。私はユ・ウンスよ」
続
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