こんばんは♪君歌の更新です。

 

ストックが尽きてしまったこともあり、亀足更新となっております…。

何卒ご了承くださいませm(_ _)m

 

 

 

 

 

 

 

「そなたが天界人とな?」

「は、はい。王様」

「面を上げよ。そう固くならずとも良い」

 

 朗かなその声は柔らかくその場に響いたのだが—————。

 

 —————いや無理だろ!

 

 何故こんなことに…。憧れの崔瑩が見れたらラッキー位の気持ちで来た開京で、まさか今代の王にまみえるとは思いもよらなかった。

 固くならなくて良いと言われて「あ、そうですか」と言えるほど、心臓に毛は生えていない。

 後ろで平伏している旅楽団の仲間も同じだろう。

 

「王様。彼らの演舞すごいんですよ!」

 

 こうなった原因であるウンスが、笑いながら声をかける。

 

 —————ウンス姉…怖いもの知らずな…

 

 王様に対して、丁寧ではあるが気軽に話をするウンス姉は一体何者なのだろうか。

 ウンス姉は、自分を見て呑気ににこりと笑った。

 

 

 

⭐︎

 

 

 

 あの後、ウンスはチェ・ヨンとジュウォンを椅子に座らせ、互いを紹介した。

 

「こちらジュウォン。彼は小さい頃に近所に住んでいたの。で、こっちがチェ・ヨンよ。えーと、今私は彼の所で医者をやってるわ。その…例の、本物のチェ・ヨンよ」

「小さい頃?ではやはり天界人だったと…。見たときから分かって?」

「まさか!それが全然わからなかったのよね。理由は長くなるからあとで説明するわ」

「本物の…とは?」

「言ったでしょ?あなた天界では有名人なのよ。彼もあなたの事を知ってるのよ」

「ああ、そういう事でしたか」

 

 ウンスと話すチェ・ヨンをジュウォンはまじまじと見つめてしまう。

 かの崔瑩だからと言うわけではない。先ほどの恐ろしさは何だったのかと言うほどに、目の前にいるチェ・ヨンが大人しくしているからだ。

 

 座ってからも、初めは警戒しているのか憮然とした表情だった。だというのに、ウンスがストンと隣に座ると安心したように表情を和らげたのだ。

 

 

 —————猛獣使い…?

 

 

 知らぬ間に、隣に住んでいた憧れのお姉さんは猛獣使いになったらしい。

 

 ウンス姉が自分のことを弟みたいなものだと話すと、チェ・ヨンは「弟…」と呟き、自分を見る瞳が少し和らいだ気がした。

 どう見ても、ウンス姉に惚れている。

 

 この男が一目見たいと思っていた、かの崔瑩だとは誰が思うだろう。こんな身近にいると逆にありがたみがない。思い描いていた崔瑩とは少し違う気もするが、確かに強いだろうことは先ほどの恐怖体験で実感している。

 

 伝説の崔瑩もこうして会うとただの男だ。だが、その崔瑩がウンス姉を守ってくれているなら、ウンスの身の安全は保証されているのだろう。

 良いように利用されているなどと言った、懸念していた事態ではなさそうだ。

 

 思い返してみれば、チェ・ヨンは茶屋に入ってきたときから、ウンス姉のことをイムジャと呼んでいたではないか。イムジャはよく夫婦で使われる呼び名だ。

 

「ねぇウンス姉」

「何?」

「そいつと結婚したの?」

「え?」

 

 そう言ってぽかんとした表情を浮かべた後、一拍遅れてウンス姉の顔が真っ赤に染まる。その顔に、何だ両思いか…と、嬉しいようなどこか寂しいような気持ちになる。

 

 初恋は叶わぬものとはよく言ったものだ。

 

 —————ウンス姉が幸せなら、まぁ良いか。

 

「ちょ、ちょっと!結婚ってまだ…」

「イムジャ。それより、この者が天界人ならば王様が会ってみたいと」

「え?そうなの?王様に話したの?」

「ええ」

 

 —————は?

 

「あら!なら王様の前で演舞を披露するのはどう?やった!宴会よ!」

「ちょ、ちょっと待ってよウンス姉!王様?!」

 

 儚く散った淡い初恋に浸っていたら、とんでもない話が出てぎょっとする。

 どうやら、ゆっくり物悲しさに浸ることもできやしないらしい。

 

 そうして一旦、チェ・ヨンは王様に打診すると言い、ウンスを連れて帰って行った。

 

 

 

 

 

 

 二人が居なくなった茶屋に、入ってくる気配があった。慣れたその気配に手を上げる。

 

「あの人、帰ったのね。ジュウォン兄と同郷なの?」

「まあね」

 

 きゅっと袖を掴んでくるのは、踊り子であるナムヒだ。せっかく綺麗な顔をしているというのに、頬を膨らませて不機嫌さが前面に出ている。

 

「故郷はずっと遠いところで、帰れないって言ってたのに。もしかしてあの人、迎えに来たの?」

「何だ、そんなこと心配したの?ただの偶然だよ」

 

 自分が旅楽団に拾われたときから、ナムヒはずっと自分を兄のように慕ってくれている。兄離れできないナムヒは、どうやらウンス姉を見て自分がいなくなるのではないかと心配になったようだ。微笑ましく思えて、笑って頭を撫でた。

 

「いつまでたっても兄ちゃん子だな、ナムヒは」

「子供扱いしないでよっ」

 

 そう言うと、さらにふてくされたような顔をして外方を向いた。

 

 

 

 翌日、チェ・ヨンのみが来て団長に会わせろと言い、事情を聞いた団長は手放しで喜んだ。王様の御前で演舞ができるなど何と光栄なことかと、それこそチェ・ヨンを崇める勢いで快諾した。

 

 トントン拍子に話は進み、七日後には王宮にて演武を執り行う運びとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

次回は帰り道中の二人になります(。>ω<。)ノ 

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