とあるブログでこんな記事を見つけた。
「2と1は等しい」
はい?
これは、虚構新聞という、いわゆるウソっぱちな記事を載せている新聞(ウェブページ)に、まことしやかに書かれていたらしい。
それを立証するとして開示されていた式が以下のもの。
そして、ブログの筆者さんは、この式を反証(正しく無いということを教えること)してくれと書いていた。
a=b ・・・①
a^2=ab ・・・②
a^2-b^2=ab-b^2 ・・・③
(a+b)(a-b)=b(a-b) ・・・④
a+b=b ・・・⑤
2b=b ・・・⑥
2=1 ・・・⑦
(a^2やb^2は、aの2乗、bの2乗という意味)
まず、それぞれの式①~⑦への流れについて検討する。
①から②は、右辺と左辺にそれぞれaを掛けることで成立します。
②から③は、右辺と左辺からそれぞれbの2乗を引くという事で成立します。
③から④は、右辺と左辺をそれぞれ変形(左辺はa+bで、右辺はbで括る形にした)させることで成立します。
④から⑤は、右辺と左辺をそれぞれa-bで割ることで成立します。
⑤から⑥は、左辺のaに対し、①で示しているa=bに基づいてbを代入することで成立します。
⑥から⑦は、右辺と左辺をそれぞれbで割ることで成立します。
つまり、パッと流し見た限りでは、①~⑦は、全て成立してしまいます。つまり、正しい!
ですが、これでは反証にならないので、ちょっと検討してみましょう。
上の式は、単純に①に数字を代入すると、答えは0になります。
a=b=数字な訳ですから、③の式で0になりますよね。
ではなぜ、上の式では、①~⑦の全てが成立するように思えてしまうのでしょうか?
それは、「代入」というまやかしがあるからです。
だってそうでしょう?
⑤の式が出た時点で、aにbを代入する必要なんて無いんですもの!
a+b=b ・・・⑤
が導き出されたとしたならば、左辺のbを右辺に移項してやれば、
a=b-b=0 ・・・⑧
という式が導きだされ、
a=0 b=0 よって、a=b ・・・⑨
という事が立証されるのです。
さてここで、⑤の式のaに対して仮にbを代入し、⑥の式を得たとします。
ここで、⑨で示したように、bは0になることが解っている訳ですから、
⑥の式にb=0を代入すると、式⑥は、
2×0=0 ・・・⑥´
となります。
つまり、
0=0=a=b ・・・⑥´´
ですね。
つまり、上式の⑥から⑦への変換では、②~⑤においては、a≠bとしてその「文字」を扱いながら、①と⑥においてはa=bとしてその「文字」を扱っているため、あたかも各数式が成立するような錯覚に陥るのです。
さらに反証を述べるとすれば、⑤から⑥に至る代入は、a=0にb=0を代入しているのであり、数式的に見た場合には
0+0=0を2×0=0と変換しているのです。
どちらにしても、⑦の式は導きだせませんよね。
これで、反証を終わります。
以上