昔、アメリカ人の英会話の先生から聞いて、印象に残っている言葉があります。

「○○歳以上のアメリカ人なら、ケネディ大統領暗殺のニュースをいつ、どこで、どのように聞いたかを鮮明に覚えている」と言うもの。

 

私たちの世代なら(アメリカ人でなくても)、9.11の同時多発テロのニュースをいつ、どのように知ったかを記憶しているのでは?

ちなみに私は9月11日生まれなので、遅く帰宅した夫と誕生日ケーキを食べている真っ最中でした。

ビルに飛行機が衝突する映像を見た夫が「これ映画?」と訊いて、「ニュースステーションだけど…事故?」とか話していたら2機目が突入し、「1機なら事故かもしれないけど2機はテロ!」と会話したこと鮮明に覚えています。

 

その9.11からの数日の間に、ニューヨークではなく、カナダの小さな島ニューファンドランド島のガンダー町で起きた出来事。12人の役者が、100人以上のキャラクターを演じるミュージカル…という「カム フロム アウェイ」。

説明を聞いても、トニー賞でのパフォーマンスを見ても、どんな話で起承転結つけるのか全く想像できない。

とにかく観るしかない、と足を運びました。

 

以下、1回目観劇の自分の理解確認として、各出演者ごとの感想。

ネタバレありなので、知らずに観たい方はご注意ください。

あと、私はホリプロの舞台は電子プログラムを購入するのですが、発売が遅くてまだ買えてないので全ての役名役どころ詳細はわかりません💦先日、おけぴ観劇マップを入手したので、役名はそちらを参考にさせていただきます🙇‍♀️

 

橋本さとしさん

ガンダー町長がメインの役。ニューファンドランド島は飛行機が長距離飛べない時代の給油地だったのでガンダーには町の規模に不相応な大きな空港があるらしい。小さな町が32機の飛行機と6000人以上の乗客を急遽受け入れることになり、町長が奔走。緊急事態を宣言し、公共の建物他を宿舎にし、食品や備品を集め、移送のためにスクールバスのストライキをやめさせ、アイスホッケーリンクをウォークイン冷蔵庫にし、人々の苛立ちを沈めるために交流会を行い…的確な判断、行動、リーダーシップが頼もしい。また、人口1000人に1人の割合で町長がいるらしく、さとしさんは複数の"町長"(違うキャラクター)を演じ分け。特に、疑い深い加藤和樹くんボブをホームステイさせ、町民の温かさを教えたアップルトン町長さんが素敵でした。

 

浦井健治くん

島民としてはストライキ中のスクールバス運転手労働組合長を演じ(結構、荒っぽい性格?)、演説するブッシュ大統領(!)もやってました。メインのキャラクターは環境関連会社社長ケビンTで、秘書の田代万里生くんケビンJとカップル。この滞在を通して、故郷に帰りたくなった万里生くんケビンJと別れることに?

祈りの歌を最初に歌い出したのは健ちゃんだったと思うけど、キリスト教、ユダヤ教、イスラム教…全ての宗教が同時に祈る場面の歌声に心打たれました。

 

田代万里生くん

島民は空港職員ドワイト。メインで演じたのは乗客2役で、健ちゃんの彼氏ケビンJとエジプト人料理人アリ。

ケビンJは「ひわいな秘書です」が口癖で(英語だとsexy secretary?)、それでゲイとバレてしまうけど意外にも聞いた人たち皆がカミングアウトしはじめる展開に。この滞在を通じて故郷に帰りたくなったのか、健ちゃんケビンTと別れるんだけど、1回の観劇では今ひとつケビンJの気持ちが理解できず…(私の理解力不足です)。

中東系(エジプト人?)のイスラム教徒アリは辛かった。周りからお前もテロリストの仲間か?と冷たい目で見られ、警戒され、当初は自分の宗教に従った料理を作ることも祈りの場を確保することも許されない(後で解決)。着陸時も離陸時も徹底的な尋問、身体検査(女性機長立会い)など屈辱的扱いは見ていて辛かったです。

 

加藤和樹くん

メインで演じていた役はニューヨーカーのボブらしいけど、何語かわからない外国語で質問したのは別のキャラクターかな(ここわかりにくかった)?その質問をきっかけに各国語の通訳を探せ〜という展開に。

ボブは警戒心が強く、財布の置き場に悩むけれど、さとしさん演じるアップルトン町長や町の人々の温かさから人を信じるようになり、財布置き場に悩むのをやめる。見知らぬ人の庭からバーベキューグリルを集めてくるように言われ、見つかって撃たれると思ったらお茶を勧められる…など、島民の温かさを感じ、際立たせる役でした。

あと、濱田めぐみさん演じる教師が妄想するイケメン機長役が目立つ。

ラストは健ちゃんケビンTの新しい恋人として出てたけど、健ちゃんをうっとり見る目とかノリノリで演じてるなーと思いました🤭

 

吉原光夫さん

コワモテの警察官オズがピッタリで頼もしい。

柚希礼音さんビューラーと濱田めぐみさんアネットの指示で何度も備品買い出しに行かされていたのも警察官なのかと思っていたら、そちらは体育教師だったらしい(この辺、序盤なので違うキャラなのがわからなかった)。ユダヤ人聖職者役は全く違う雰囲気で、多くの宗教の人々が1カ所に集うことの難しさを感じましたが、ユダヤ人であることを隠していたさとしさんエディの告白場面など、拠り所としての宗教も考えさせられました。

 

石川禅さん

島民としては、まず大量の飛行機に着陸指示を出す管制官ダグ(シルビアさんボニーの夫)。メインに演じたキャラクターは出張のために飛行機に乗っていたイギリス人ニック。石油会社の技師で独身…自分は無事だと会社に報告したけれど別に心配されていなかったり、寂しい人生を送っている?石油会社に批判的な環境関連会社の健ちゃん万里生くんのケビンズにも冷たい目で見られるし、いろいろな立場の人が1カ所に集まる難しさあり。安蘭さんダイアンと恋が芽生える展開は吊り橋効果か?意外とお似合いで、中年の恋がかわいくて、ちょっとキュンとしました。この2人の前世(前回共演役)がマーリンとモルガンだったことを考えるとギャップ大きい。

 

安蘭けいさん

島民クリスタルは最初と最後だけ出てきたけど溜まり場カフェの店長かな?メインの役は離婚したテキサスの女性ダイアン。この非常時に禅さんニックと少しずつ距離が近づき、恋していくのが「ローマの休日」みたいでかわいい。自分からキスしたり、ダイアンの方が積極的だけど、どうせ「ローマの休日」みたいにこの時限りよね…と思っていたら、ラストで遠距離恋愛続いていたことわかってビックリ&ホッコリしました。

 

濱田めぐみさん

メインで演じたのはアメリカン航空初の女性機長(この時は50代でかなりベテラン)。女性は無理と言われながら機長になるまでの人生を歌ったソロが感動的。友人パイロットがワールドトレードセンターに衝突したと知り、「機長は世界が終わるまで飛行機を守る」という台詞、「私の愛する飛行機が武器として使われたなんて」という嘆きが刺さりました。

学校の先生アネットとしても、宿泊所のお世話で大活躍。加藤和樹くんの素敵な機長を妄想するのが楽しい。

 

森公美子さん

運転手とかも演じていたけど、メインは旅行客ハンナ。子どもからプレゼントされた旅行と言っていた?

彼女の息子は消防士…と聞いた途端、背筋に冷たいものが走りました。

息子がどこにいるのか情報を求めて電話の側から離れない母親…

美しく、哀しい歌声…いつも明るく楽しいキャラの森さんが、その美声全開にガチで泣かせにきた時の破壊力たるや凄まじく、涙腺決壊しました。

悲劇の中、柚希礼音さんビューラーとの間に育まれた友情が長く続いたのが救いです。

 

柚希礼音さん

閉所恐怖症の乗客を少し演じたけれど、メインはガンダー学院の宿泊所を仕切ったビューラー。本職は学校教師かと思っていたけど資料には在郷軍人会会長と書かれているから違うのかな?言語、宗教、食事、清掃…様々な問題を1つ1つ解決し、1人1人に寄り添い、隅々まで行き届く世話に、こんな人がいてくれたら心身共に安心できると思いました。ヴィジュアル的には(役柄上)おばさん感を出して華やかさを封印しているけど、その素晴らしいリーダーシップ体現に、さすが元”組”を率いたトップスター…と思いました。

 

咲妃みゆちゃん

メインはCAとテレビレポーターの2役。

キャビンアテンダントは"ニューファンドランド島に着陸するのは非常事態"と察し、平静を装っても震えているのを見抜かれていたし、イスラム教徒乗客を拒否したりもして、この舞台の中では美化されていない普通の女性。

ガンダー町唯一のテレビ局の新人レポーター役では取材に駆け回り、その仕事ぶりが評価されオプラ・ウィンフリーから連絡を受けるも、この島にとどまり、ここから世界に伝え続けることを選ぶ潔さが素敵でした。

 

シルビア・グラブさん

乗客としてのキャラはよくわからなかったけれど、島民ボニーのキャラは際立っていました。

この舞台中、他の人々との交流ほとんどなく(夫ダグとの会話程度で)単独行動、孤軍奮闘する動物愛護協会会長。飛行機会社に問い合わせて、1匹もいないと言われた動物を自ら貨物室に入って見つけ、全ての飛行機が飛び立つまで合計19匹の世話をし続け、 ボノボ(珍しい猿)の出産にも立ち会います(残念ながら死産だったよう)。

羽田空港での航空機火災でペット2匹が犠牲になったことを思い出し、ガンダーにはこの人がいてくれて良かった~と心から思いました。

 

以上が、私が1回目観劇で理解できた範囲の、それぞれのキャラですが、コーラスなど、全員が一緒に歌ったり踊ったりする場面も素晴らしかったです。カナダが舞台だけど、アイルランド移民が多い地域なのか?アイリッシュ音楽がとても素敵。

珍しい楽器も使われていたけれど、バンドメンバーさんも演者として真ん中で演奏するパーティ場面でしっかり見ることができました。カーテンコールのバンド演奏も楽しかった。

個人的に、”トイレ掃除に来た心臓外科医たち”の場面もお気に入り。普段は主役で個々勝手に動いている方たち(←良い意味で)が同じ白衣の衣装を着て、完璧にビシッとそろった動きをした瞬間、いつもと違うカッコ良さを見せてもらいました。

 

ここまでの理解をベースに、できればもう一度観に行きたいなぁ~。月末の予定を調整してみます。


グランドサークル階の売店で購入したスペシャルドリンクと、スペシャルドリンク用フォトスポット↑