8/12の日記。
旭川市内の神楽岡公園キャンプ場の大屋根の下で起床。気温もちょうどよく静かで快適な夜だった。
今日は美瑛・富良野を旅する予定である。
もとは美瑛→富良野→芦別→滝川の方に抜ける予定だったが、このルートは過去に何回も通っていて面白みがない。
しかしながら、旭川から深川を通って滝川に抜けるルートにすると、美瑛・富良野は通らない。
そこで妙案を思いついた。
本日は片道輪行で美瑛・富良野観光を楽しみ、日暮れ頃に旭川に戻ってきてもう一泊する。そして明日、深川ルートで滝川方面に向かうことにした。
天気予報を見ると今日はがっつり南風なので、まず電車で富良野まで行ってしまい、北上することにしよう。
出発前にまたテントを屋根の外に移動させておく。ヨッシー松田さんいわく、屋根の下にテントを張るとキャンプ場の管理人に注意されるらしい。
セイコーマートで朝食を済ませ、輪行のため神楽岡駅へ。旭川駅はターミナル駅なので、ホームに着くまで上り下りさせられること間違い無し。すぐ隣の神楽岡駅はごらんのようにホームまで自転車で乗り入れられるので楽である。
富良野までは1290円とまあまあ高い。
社会人だからできる贅沢である。
電車が来た。
二両編成だが車内は観光客でまあまあ混み合っている。
富良野までは1時間15分ほど。
重たい荷物は全部キャンプ場のテントの中に置いてきた。丘の多い美瑛・富良野をほとんど空荷の状態で走り回れるのは非常にありがたい。
富良野駅から北に向かって走り出す。
追い風なのでペダルが軽い。
町営の花畑にお邪魔する。
美瑛・富良野はこのような花畑が何か所かある。丘の傾斜を利用していて綺麗に見えるのだ。
中富良野町にて、メロン農家のふくだめろんを訪ねる。ここはライダーハウスを併設していて、2013年北海道一周編の際に2泊した場所。
一泊500円で、泊まると完熟ふらのメロン半玉が付いてくるという破格の大サービスライダーハウスだったのだ。
ライダーハウスの営業自体は2017年をもって終わったが、依然としてメロン半玉は400円で食べられる。
熟れすぎて発送できないメロンを観光客相手に売っているのだ。
この小屋で2泊したはず。同宿者の絡みがウザくて、逃げるように屋外の椅子のところで文庫本を読み耽ったのを覚えている。
メロンだけでは腹は膨れないので、上富良野町の第一食堂で昼食とする。
豚玉丼を注文。800円でこのボリュームは大満足。濃い目の味付けがうまい。
地元の人もよく利用するようだ。
食べてる途中に腰の曲がったおばあちゃんが来店し、腰掛けるや否や「ビールー!おれぁ、ジョッキで飲むんだー!」と叫んだ。
すでに座敷の方に座っていた別のおばあちゃんと知り合いのようで、座敷のおばあちゃんは「うるせえやつが来たな!暑くなるからけえれ!」と叫び返す。
すると腰の曲がったおばあちゃんは「おめぇに言われたかないね!おめえにもビール分けてやるから黙っとれ!」と叫び、二人で仲良くビールを飲み始めた。
こういう地元の人たちのやり取りが余興のようで楽しい。もちろん僕も絡まれてビールを勧められたが、自転車だからと固辞して店を出た。
上富良野からしばらく北へ向かうと美瑛に入る。
美瑛に来るたびに訪れているスポットへ向かうため国道を逸れる。
この坂道を登っていった先に絶景があるのだ。
丘に沿って果てしなく続くまっすぐな道。
ここは通称ジェットコースターの道と呼ばれているのだ。
もっとも坂の下には一時停止の看板があるので、それほどジェットコースター気分は味わえないだろう。自転車乗りにとっては上りはしんどすぎて漕げないし、下りは加速しすぎて恐怖でしかない。
丘のてっぺんからの景色も絶景なり。
額の汗を拭いながら景色に酔いしれる。
これが見たくて僕は何度も美瑛・富良野に来てしまうんだよな。
続いて花畑第二弾。国道沿いのかんのファームを訪れる。
花畑の真ん中の赤い花がよく見るとハートになっている。僕の写真はサービスショットということにしておこう。
花畑第三弾は四季彩の丘。
ここも毎回訪れているが、僕はここの花畑が一番お気に入りである。
ロールくんはマスク状態。ここ数年外国人観光客に注目されて園内はごった返しているらしい。今年はこの状況なので外国人の姿はほとんど見られない。空いた状態で花畑を楽しめたのはラッキーだった。
花畑第四弾はぜるぶの丘。
規模は小さめだが、これまでの花畑とは異なり、園のカーブに沿って花が植えられているのが特徴的である。
さて、時間はすでに17時を回っている。
日没が近づいてきたがもう一箇所訪れねばならない場所があるのだ。
その場所に向かう途中の何の変哲もない坂道。
実は10年前にここでバッタの大群に襲撃されたのだ。
アスファルトなのにやけに雑草が多いなと思ったら、雑草は全てバッタであった。気づかずに突っ込んでしまったのが運の尽き。バッタ達は一斉に跳ね始め、僕の手足やら顔やらに直撃した。シャツの隙間から入り込んだりもして、涙目で逃げ帰ったのであった。
あの時と同じようにアスファルトの隙間に一匹居やがった。
遠目に見ると雑草にしか見えないだろう。
ここで会ったが100年目!いや10年目!
踏み潰してやろうかと思ったが、慈悲の心が勝った。
バッタ坂を超えてやってみたのは就実の丘というスポット。ここは美瑛の主要な景観からは外れた場所にあり、観光客もあまりこない穴場である。
丘の景色が360度見渡せるお気に入りの場所なのだ。夕日の沈む美瑛の丘は極上の美しさ。誰にも邪魔されず静かにこの景色を楽しむのだ。
十分に楽しんだので旭川に向けて走り始める。
ここで大変なことに気がついた。数日前に名寄のダイソーで買ったライトをテントに置いてきたのだ。
つまり、日没後は真っ暗な道を走らねばならないということ。都会の読者諸君はわからないかもしれないが、田舎の道路には街灯など立っていないのだ。
なんとか日没までに明かりのある旭川の中心街まで行かねばとモリモリペダルを漕ぐ。
実はモリモリペダルを漕ぐのにはもう一つ理由がある。
昨日昼夜と利用したゲソ丼のどんやの閉店時間が20時なのだ。
明日の朝には旭川を発つため、寄れるのは今夜が最後のチャンスとなる。
日没までに市街地に行くためにも、20時前にどんやに滑り込むためにもペダルを踏む脚に力が入る。
ゲソ丼が食べたい。一度考え始めるともうゲソ丼以外何も考えられなくなった。
だが現実はなんと無常なことか。
張り紙を見た瞬間、覚醒していた力が抜けていった。
もう諦めてザ・ビッグで半額品パーティーを開くこととする。
寿司が半額で手に入ったのはありがたい。
21時頃キャンプ場に戻ってくるとまだ大屋根の電気がついていた。
洗面用具を持って昨日寄った温泉にて汗を流す。
22時過ぎに再び戻ってくると消灯していた。
あとはまた昨日と同じようにテントを屋根の下に動かし、眠りについた。
走行距離:82km
走行時間:5時間24分
総走行距離:21903㎞