8/3の日記。
自転車旅初日にありがちなのだが、普段と違う寝床の環境に慣れず寝付けない。
3時過ぎまで寝付けなかった時点で早々と早朝の出発を諦めた。
結局ネットカフェでぐーたらしながらお昼12時前になってようやく出発することにした。
雄大な筑波山、青空、流れる雲の景色は最高だが、本日は熱中症警戒アラートが出るレベルの灼熱地獄である。
早朝の涼しい時間に距離を稼ぎ、正午~夕頃の灼熱地獄をショッピングセンターとかで回避する計画を立てていたのにまんまと失敗した。
大都市つくばに留まるわけもいかず、必然的に灼熱地獄の中を走る羽目になった。
例のごとくシャツを水浸しにして気化熱で涼を取る作戦で暑さと戦う。
速乾のポリエステル生地とはいえ、水浸しにしてから30分も経たずにカラッカラになるほどに暑い。
昨日の反省を踏まえ、こまめに補給食を取る。
北海道を支配するコンビニチェーンのセイコーマートは茨城県にも数店舗あるのだ。
1時間半ほど走って下妻市に入った頃、いよいよ暑さで頭がやられそうになったのでガストに逃げ込んだ。
ランチのセットにドリンクバーを付ける。JAF会員専用のクーポンを持っているので109円でドリンクバーが頼めるのだ。
古河市三和町のあたりで廃墟を発見。
割れた窓や錆ついた階段の手すりがホラー感を醸し出している。
もともと結婚式場だったらしく、閉鎖された後火災が起きてこのような有様になったとのこと。
その後もちょくちょくスーパーで涼をとりつつ灼熱地獄と戦う。
ちょっと座れる場所があるだけでアイスを食べて休憩もできて幸せなのだ。
夕頃、珍スポットにやってきた。
何の変哲もない田舎の田んぼのど真ん中にそのスポットはあるのだ。
それがこちら。ちょうどこの水路の場所が群馬・栃木・埼玉の三つの県境になっている。
平地に三県境があることは大変珍しいらしい。
愛車と一緒に記念撮影。
どう足掻いても自転車は三県境にまたがらせることができないのが歯がゆいところである。
記念のノートもあったので簡潔に書き込んでおいた。
すぐ近くに道の駅かぞわたらせがあったので小休憩。
三県境制覇の祝いにメロンソーダをセルフごちそうしてやった。
さて、時間は18時過ぎ。
道の駅かぞわたらせはそれなりの広さで野宿できそうな屋根もあったが、ここでは泊まらない。
30㎞ほど先にある栃木県足利市に向かうこととする。
理由は、まだ温泉に入ってなくて汗を流せてないのと、昨日に引き続き熱帯夜になりそうなこと。
テントを張って横になったものの暑さと寝苦しさで寝付けず、深夜に撤収してネットカフェに逃げ込むという経験を過去に何度かしている。
調べたところ足利市には野宿に適してそうな河川敷と逃げ込めるネットカフェがあるのだ。
すっかり真っ暗になったがライトをつけて農道を走る。
足利まで9㎞ほどになったところで事件が起きた。
この事件は本当に本当にしょうもない点検ミスによって発生したものだが、一生忘れない思い出になりそうなので詳細に記録しておく。
初日に引き続き、左のペダルのあたりからまた異音が発生し始めた。
潤滑油を差しながら走ってみるが、踏み込んだ時にペダルがズレる感覚がして何かがおかしい。
足利についたら明るい場所で確認してみようと思っていた矢先の出来事であった。
カランカランという音とともに左側のクランクが脱落したのである。
クランクをボトムブラケットにつけるクランクボルトという部品のゆるみが原因だった。
異音の正体はまさしくこのクランクボルトのゆるみだったのだ。
一周号に10年乗っていて一度もクランクが外れたことはなく、恥ずかしながら「クランクは外れないもの」と確信して点検を怠ってきた。
今回の旅に出る直前にスプロケットごと左右のクランクを交換したのが運の尽き。
クランク専用の工具も持ってきておらず、緩んだボルトを締めることができない。
しょうがないので指で締めれるところまで締め直すが、クランクはがたついたままの状態。
なんとか足利までもってくれと願いながら、ボルトが緩んだままソロリソロリとペダルを漕いだのがまずかった。
足利まであと5㎞あたりの地点で再度クランクが脱落。
拾い上げたクランクにはボルトがついていなかった。
ライトであたりを探してみたが一向にボルトは見当たらず。やってしまった。
ボルトがなければクランクは固定できない。左側のクランクがなければ漕いで走ることはできない。
時間は20時半頃。この時点で今日の野宿を完全に諦めた。
5㎞ほど歩いてネットカフェに泊まり、直し方を調べて作戦会議を開くことに決定。
いまやただの荷車と化した一周号を傍らに、真っ暗になった農道を歩く。
遠くに見えるネオンサインが一向に近くならないのが徒歩のスピードである。
まれに徒歩や荷車で日本一周をしている人を見かけるが、その根性には本当に頭が下がる。
夕飯も食べず、水だけで空腹を誤魔化しながら歩く。
予期せぬアクシデントを楽しむ余裕もなく、先のことを考えるとただただ心細い。
荷車を押しながら1時間ほど歩いて、国道の灯りが見えた。僕の戦いは終わったのだ。
歩き疲れてがっつり空腹だが、ギリギリのところで理性が勝って、ローソンでバナナ一房だけ購入。
こんな時でも「夕飯は少な目」を守っているのだ。
ローソンから数百メートルのところにネットカフェを発見。
21時15分。クランク脱落事件発生から2時間半も経過していた。
本当に長い一日だった。
大荷物の僕を気遣ってくれた店員さんが二人用の広いペアシートをあてがってくれた。
バナナとコーラとソフトクリームを一気にかっ込みながら、すぐさま作戦会議を開く。
果たして外れたクランクは直るのか!?
旅を続けることはできるのか!?
明日の日記をお楽しみに。
走行距離:76㎞
走行時間:4時間43分
総走行距離:22267㎞