8/13の日記。

 

ブルガリア北部の町ロヴェチ(Ловеч)のホテルにて起床。

7時半には起きたのに出発が9時半になってしまったのには理由がある。

この宿は朝食付きだったのだ。

 

 

朝食の時間は9時からと日本の基準に比べればかなり遅い。

だがこの宿には60レフ(4800円)の宿泊費がかかってる以上スルーするのももったいない。

というわけでゆっくり朝食を取ってから出発することにしたのだ。

 

 

ビュッフェスタイルではあったものの種類は少ないしクオリティも普通。

超久々にインスタントではない淹れたてのコーヒーが飲めたのは良かった。

 

 

ゆっくり朝食をとったことが行程に支障が出るかどうかと言うと、出るに決まっている。

いつもは8時台には出発して朝の涼しい時間帯に距離を稼ぐのに、出発が1時間遅れるだけで外は結構気温が上がっている。

しかもロヴェチは山間の町なので、町を抜けるのにまた坂を登らなければならない。

太陽がまだ高くならないうちは木陰があるので、これが消えないうちにきつい区間を走り切ってしまいたい。

 

 

 

毎日のように湧水にお世話になる。

野犬の水飲み場と化しているようで何匹かうろついていた。

日本ではあまりお目にかからない野犬は東欧にはめちゃくちゃいっぱいいる。

タチが悪いことに吠えながら追いかけてくるヤツもいるので、噛まれやしないかと割とヒヤヒヤするのだ。

ちなみに車に轢かれたであろう野犬の死骸もそこら中に転がっている。腐臭がするのですぐにわかる。

 

 

 

さて、今日の出発地であったロヴェチの町はブルガリア北部に位置している。

まっすぐ北上すればアップダウンの多い山岳地帯を抜けることが可能である。

にもかかわらず僕は東に向かってペダルを漕いでいる。

その目的はロヴェチより東に90㎞ほどの場所にある古都ヴェリコ・タルノヴォを訪れることである。

 

バルカン半島には多数のスラブ人国家が混在しているが、ブルガリアは少々ルーツが異なる。

いまのブルガリア人の先祖はブルガール人と言い、もとはアジア系の遊牧民族であった。

ブルガール人がバルカン半島に侵入してスラブ人との混血が進んで言った結果が今日のブルガリア人であり、「コーカソイド化したモンゴロイド」と言えばわかりやすいだろうか。

 

そのブルガール人はバルカン半島に定住し、当時イスラーム勢力とやり合って国力を消耗していたビザンツ帝国(東ローマ帝国)に勝利して独立国家を建設した。これを第一次ブルガリア帝国と言う。ブルガール人が正教会を受容したのはこの時期である。

しかしビザンツ帝国が勢力を回復すると第一次ブルガリア帝国は滅ぼされ、ブルガール人はビザンツ帝国の支配を受けることとなった。

その後、ノルマン人やトルコ人の侵入を受けてビザンツ帝国が弱体化すると12世紀後半にブルガール人は再度独立することとなった。これが第二次ブルガリア帝国である。

 

長くなってしまったが、今日の目的地であるヴェリコ・タルノヴォは第二次ブルガリア帝国の都だった町で、いわばブルガリアの古都なのだ。

 

世界史で生計を立てている身としてはスルーするのも少々気が引けるわけで。

不測の事態に備えて設けておいた予備日を消化するためにもヴェリコ・タルノヴォを訪れることにしたのだ。

行ったら行ったで「なーんだ、こんなもんか〜」となるのはある程度織り込んだ上である。

 

 

 

というわけで、意図的に山岳地帯にとどまっているために今日の行程もほぼアップダウンばかりの道である。

そして相変わらず路面状況が悪い区間が出てくる。

日陰と日なたの境目と舗装がはがれた箇所が重なりまくって非常に走りづらい。

 

 

ロヴェチとヴェリコ・タルノヴォのちょうど中間地点にあるセブリエヴォ(Севлиево)の町で昼食とする。

ビラを見つけたので速攻で入る。

 

 

昨日の夕食で食べたチキンが美味しかったので、今日は味を占めて2本も買ってきた。

ジューシーで実にうまい。

 

 

ベリーやコーラも買っちゃって、ちょっとした御馳走気分である。

 

 

昼食を食べたベンチがこれ以上なくリラックスできる形状になっていて、30分ほど座り込んでしまった。

 

 

 

午後もアップダウンがひたすら続く。

今日は気温が30度近くあるのですぐにへばってしまう。

 

 

加えて大型国道を走ることになったので通行量が激増した。

僕を悩ませるのはブルガリア特有の無茶な追い越しである。

写真を見ればわかると思うが、対向車がすぐそこまで来ているのに無理して追い越そうとする車が多い。

万が一元の車線に戻り切れなかったら交通事故必至である。

 

 

ヨーロッパ特有の文化だと思うが、おそらく交通事故死したであろう人の墓が道路脇に建てられている。

ちなみに墓は1日の走行で二桁回数くらい目撃するのでそれだけ交通事故が多いということだろう。

無茶な追い越しをやめればいいだけなのに、なんでそこまで生き急ぐのかブルガリア人よ。

 

 

 

 

何かの記念塔のような施設で一休み。

あてにしていた湧水は枯渇していた。こういうこともある。

 

 

 

へとへとになりながら夕方頃にヴェリコ・タルノヴォの町に到着。

さすが観光名所だけあって町の雰囲気は良い。

 

 

 

難点は坂が多い。とにかく坂だらけ。

道を間違えて坂を下ってしまうと気力体力的に二度と戻ってこれそうにないので慎重に進む。

 

 

そしてそして、今日もホテルを予約してある。

ヴェリコ・タルノヴォには一応キャンプ場があるのだが、市街地から10㎞ほど離れていて一山超えねばならない。

セルビアのニシュ以降連日のアップダウンにさすがに参ってしまったので今日もホテルに甘えることにした。

1泊34レフ(2800円)なのでかなり節約した。

 

 

今日はリドルで買ってきた新フルーツに挑戦してみようと思う。

モモはモモでもネクタリンという品種である。

 

 

味と食感は、桃とリンゴの中間くらい。

皮をむくのも面倒くさい。個体によって結構差があり、十分に熟していないものはほとんどリンゴ。

 

 

あとはバナナとヨーグルトである。

カロリーを消費しない夕食は健康志向かつ粗食というマイルールを守るのだ。

ヨーグルトと言えばブルガリアだが、実はブルガリアに来て初めてヨーグルトを食べた。

クリーミーで美味しかった。

 

 

 

日も暮れてきたので、夜の街に繰り出す。

ヴェリコ・タルノヴォは夜景が綺麗と聞いていたのだ。

 

 

 

 

 

さすが坂だらけの斜面の町だけあって夜景は確かに綺麗である。

時間がたって暗くなるにつれて民家の明かりが増えていく。

 

 

 

 

入り組んだ路地や階段なんかもあって町の雰囲気はとても良い。

さすが古都である。ΣROSショップは営業していなかった。

 

 

美味そうなアイスクリーム屋が僕を誘惑しているじゃないか。

 

 

街歩きして良い気分になり、我慢できずに買ってしまった。

夜は粗食というマイルールはいったん白紙撤回させていただく。

 

 

気が付けば21時を回っていたので切り上げてホテルに戻った。

冷房も効く良いホテルだが、建物が相当古いのか外を歩くだけで部屋全体が結構揺れる。

僕にとっては不幸なことに隣人は小さい子どもを含めた家族連れのようだ。

果たして安眠できるのか?

 

 

走行距離:90km

走行時間:6時間48分

総走行距離:26056km