12/31の日記。

 

昨日からの不調が続いている。

身体が少し重いので、感覚的に今夜あたり本格的に熱が出そう。

ニャギーで籠城しながら発熱を待つのも性に合わないので、小康状態のうちに先に進むことにする。

 

 

 

天気はご覧の通り、曇り時々小雨。

田園の風景が実にベトナム的である。

 

 

さてさて、小康状態のうちに先に進むと言ってもこの先待ち受けるは今旅最大の山場であるハイヴァン峠である。

フエとダナンはハイヴァン峠を境にしている。

標高480mと中規模程度の峠だが、体調は極めて悪い。

 

 

峠を越えねば先へは進めないので、覚悟を決めて進むこととする。

ヴィンマートでたっぷり食料を買い込んでいざ出発。

 

 

 

 

自動車は迂回してトンネルをくぐれるが、自転車やオートバイは峠を越えねばならない。

行くしかない。体調はまだなんとかもってくれている感じ。

 

 

連日雨の日なので、じゃんじゃん湧水を放水してらっしゃる。

 

 

 

踏切にて一時停車。

 

 

ベトナムは踏切が自動化されていないので、ご覧の通りバーを上げ下げする専門の仕事をする人がいる。

「機械が仕事を奪う」とは無縁の国である。

 

 

サルも列車が通り過ぎるのを待っている。

 

 

 

傾斜8パーセントなのでほとんど区間は押して登るしかない。

この日はロードレーサーのイベントか何かをやっていて、荷車を押す僕の横を細いタイヤのレーサーがビュンビュン追い越していく。

 

 

 

ありがたいことにバナナと砂糖菓子の施しを受けた。

手持ちの食料に少し不安があったのでこれは嬉しい限り。

 

 

峠までもう少しと言うところで雨が強まってきた。

屋根も大きな木もないので、感情を無にして黙々と荷車を押す。

 

登り始めて2時間半で峠の頂上に到着。

観光客でごった返し&雨&寒いの3重苦のため、1枚だけ写真を撮ってさっさと峠を下ることにした。

後ろに見えている茶色のモニュメントみたいなのが頂上の証ということにしておく。

 

「ハイヴァン峠を境に天気ががらりと変わる」という旅行ガイドブックの情報もむなしく、下りもしっかり雨。

スリップせぬようブレーキ握りっぱなしですり減りまくった。帰国したら新しいブレーキパッドに変えることとする。

 

 

峠を下ったところの食堂で昼食をいただく。

ベトナムにはフォーの食堂だけでなく、街道沿いのいたるところにローカル食堂(コム)があるのだ。

コムでは、作り置きのおかずをご飯に載せていただくスタイル。ベトナム語がわからなくても指さし注文でなんとかなる。

空心菜の炒めが目に入ったのでこのコムにしたが、薄味で微妙だった。

塩味の強いスープに浸すとちょうどよい。

25000ドン(150円)と安いにも程がある。

 

 

ダナンの中心街に戻ってきてさっそくやるのは折れたスポークの修理。

夏にセルビアの田舎で折れた時は初めてだったこともありかなり動揺したが、もう3回目なのでへっちゃら。

ダナンはベトナムでもかなり大きな町だし、あちこちに自転車屋があるので修理屋もすぐ見つかるだろうと楽観的だったのだ。

案の定、2軒目で修理を引き受けてくれる自転車屋を発見した。

 

 

 

手慣れた手つきで30分ほどで修理完了。

料金は55000ドン(350円)と引くほど安い。日本だと2500円くらいするというのに。

チップを渡そうかとも思ったけど、ベトナム物価に甘えることにした。

 

 

 

昨日出発した奴隷船のターミナルを通過。

 

 

 

昼過ぎにベトナムのコーヒーチェーンであるハイランズコーヒーにて休憩。

本格的に体調が悪くなってきた。

ハイランズには分厚いクッションのフカフカの椅子があるのだ。

 

 

 

パッションフルーツジュースを注文。

Mサイズで49000ドン(300円)と、ベトナム物価にしてはお高い。

しかもほとんどが氷で、シロップのごとき甘さのジュースを氷で薄めながら飲むスタイル。

 

僕は以前、おそらく氷が原因かと思われる腹痛を起こしたことがあるのでなるべくベトナムで氷は摂取したくないのだ。

氷が融ける前にミネラルウォーターでちょっとずつ薄めながら飲むとちょうどいい。

 

 

見てのとおり、ほぼ氷である。

 

 

ダナンから南下すること10㎞ほどでマーブルマウンテンという観光名所に立ち寄る。

マーブルとは大理石のことで山全体が大理石でできているらしい。

なお世界史ピーポーはピンときたかもしれないが、”大理石”の由来は10~13世紀に雲南にあった国家”大理”に由来する。

 

 

 

洞窟と山登りの二つのアクティビティを楽しめるようだが、本格的に熱が出てきたようでフラフラである。

涼を取れそうなので洞窟には入ってみることにした。

 

 

入口にある池はなかなか悪趣味な感じ。

 

 

 

洞窟内は人間の手が加わりすぎていて神秘的な感じは何もなし。

 

 

 

ベトナム語はさっぱりわからないが、絵と1968という文字からベトナム戦争中に病院として使われていたのではないかと推測される。

 

 

10分ほどで洞窟見学を終えたが、さすがに山のトレッキングに行く気力はもうない。

エレベーターに乗って上まで上がれるみたいだけどそれももう無理。

発熱&雨&スポーク折れの中で峠を越えただけでもよくやったと思うよ、僕は。

トレッキングはまた次にダナンへ来るときの楽しみにとっておくこととする。

 

 

 

その後はリゾートホテルの立ち並ぶ海沿いの道をひたすら南下する。

豪華なホテルをバックに、道路沿いには廃墟のような一般庶民の家屋が立ち並ぶ。

色々考えさせられる風景である。

 

 

開発途中で打ち捨てられたであろう施設も見られる。

 

 

今晩のニャギーにチェックインする前に商店で山ほど飲み物を買い込む。

 

 

 

今晩の宿はホイアン郊外のホームステイという宿。

文字通り、一般家屋なのだが空き部屋を客室のようにして宿泊できるようにしている。

 

 

買い込んだ水分と食料たち。

悪寒がしたり、暑くて悶えそうになりながら年越しの瞬間を迎えたのであった。

 

 

 

走行距離:81km

走行時間:5時間56分

総走行距離:26458km