受験4科のうち、どれが一番重要かといえば、文句なく国語でしょう。他の科目の力のベースになるのはもちろん、短期間で力をつけることはできず、暗記で解決することもできません。
いくら中学入試において算数が考えさせる問題にシフトしているといっても、限られた範囲での考えさせる問題です。極論すれば、和田秀樹氏の主張するように一定のパターンを暗記(計算力を身につけ、考え方の筋道を理解したうえでですが)すれば合格点は取れるでしょう。理科・社会はなおさらです。しかし、国語に限ってはこの手は使えません。暗記といっても、漢字の読み書き、熟語、ことわざ程度…追い込みもききませんし、結局は毎日地道に国語力を高めていく以外ないでしょう。

その方法ですが…
漢字の読み書き・文法・語彙・熟語・ことわざ…これらは文章の読み書きの力をつけるための道具になります(これらが不十分では様々な文章を読みこなす事ができません)。これらは毎日の学習の中で(学校で、塾で、読書で、その他日常生活のあらゆる場面で…)覚えていかなければなりません。そして入試のウェートの大半を占める長文読解…これらを総合的に養うことができる方法としては、やはり読書ということになるのでしょうか。
しかし読書といっても、質が重要です。何でも構わず、漫然と読んでも効果はないでしょう。多読はもちろん重要でしょう。しかし同時に精読、すなわち入試対策の長文読解トレーニングも必要でしょう。

自分も国語の学習方法はどうすればよいものか、ヒントはないかとその手の本を何冊か読んでみました。読書の効用を巡って二つの立場があるようです。
一般的には読書は重要、という考え方が一般的でしょう。進学塾でも推奨図書リストを情報誌に掲載しているのをよく目にします。最近の日本語ブームもこれを後押ししているように思います。
一方では、読書は入試の国語には役に立たない、と主張する進学塾関係者がいます。

前者によれば、たしかに豊かな教養を身につけることができるでしょう。しかし、読書をいくらしても、それだけでは入試問題は解くことができないのもまた事実です。さらに、6年生になって、追い込みの時期に読書に励むことができるでしょうか。

後者によれば、試験で得点するという目的に限れば有効だと思います(ただし記述問題、小論文には対応できないでしょう)。しかし、結局は受験テクニックにとどまり、仮に合格できても読書を軽視して小手先のテクニックで解決する事が身についてしまっては、その後の伸びはどうなのでしょうか。大学に入ってから、多くの資料や書籍をコントロールする必要に迫られるはずですが、その時になって困ることにならないのでしょうか。

多読・精読の併用が必要、といったのはこういうことです。両者の中間を各個人のレベルと適性に応じて匙加減するのがいいのでしょうか。

自分も中学入試の国語問題に目を通してみましたが、地方の私立中学の問題でも、県立高校の入試問題より確実にレベルは上でしょう。下手な大学の入試より難しいかもしれません。さらに、題材は論説文・小説とも、大人向けのものが出題されます。これらを読みこなす力を6年生までにつけなければなりません。まだ人生経験の浅い小学生が大人向けの論説文や小説を本当の意味で読みこなせるのか?と疑問ですが…

さらにアウトプットの練習も必要です。すなわち文章力のトレーニングです。入試では一定の字数で要旨や自分の考えをまとめさせる問題が目に付きます。こうした問題に対応するには、やはり読解問題の繰り返しだけでは駄目なのは明らかでしょう。わが子の現状を見るにつけ、ゴールは遥か彼方のようです…