陰山英男氏の著書は山口小学校時代のものを始め、ほとんど読みました。
陰山氏の著書は、百ます計算を始め、基礎学力向上のためのハウツーものとしてベストセラーになっているように思いますが、自分は、こうした基礎学力向上のための手法もさることながら、陰山氏が著書の中で何度も強調している「教育現場から見た日本社会の問題点」に関心を持ちました。
自分が読み取ったメッセージは…
・現在の教育問題は経済発展至上主義で走ってきた日本社会全体のひずみにより生じたものである。具体的には、家族関係の希薄化・両親へのストレス・地域共同体の崩壊…
・今の子供を巡る問題は学校だけで解決するのは不可能。家庭・地域社会との連携がどうしても必要。陰山氏はまず家庭との連携を重視し、いわば、子供と同時に「親を教育した」。
・現在の子供たちの学力低下は学力だけの問題ではなく、生きる力そのものの低下である。

学者や評論家が理屈を捏ね回すのではなく、現場における実践で解決法を示した…これはすばらしいと思います。日本の教育の不幸は、観念論が先行して、現場や子供の実情を十分に分析せずに施策が決まってしまうところにあると言えましょう。陰山氏の実践はこうした流れに一石を投じ、国の教育施策の方向性を変えさせる一因になったと思います。
陰山氏が著書の中で指摘してきた問題点は、将来の日本社会の方向性を考える上で、重要な指摘だと思います。