"民本しょうこ"という女優について。
ボブジャックのキラークイーン、クレイジーエイリアンこと、民本さんについてです。
ちょうど現在公演中のノッキンヘブンで同じ役をやっているので、少し書いてみます。
ノッキンヘブンのネタバレを少しだけ含むので、できれば観てから読んでください☆
初めて彼女を観たのは、10年前のある作品でした。
準ヒロイン的な役どころで、観たときになぜこの子がヒロインじゃないんだろう?と思いました。
儚くて、綺麗で、とてもエモーショナルで、他のお客さんも皆、彼女に感情移入していました。
誰が観ても彼女がヒロインだと思ったと思います。
「この人とは絶対共演することになるだろう」
と思い、名前を覚えておきました。
すると半年後、本当に偶然共演することになりました。
すぐにボブジャックに誘いました。
もちろんヒロインとしてです。
天国レインという作品です。
(この作品を観たプロデューサーさんがボブジャックの脚本演出で作品を作りたいと言ってくれて、ボブジャックは外に出るようになりました。つまり扇田さんが演出家を始めるきっかけとなった作品という事ですね)
今でこそ信じられませんが、彼女は当時、大きい声が全く出ませんでした。
もちろん面白いことなども恥ずかしがってほとんど出来ませんでした。
本人曰く「猫を被っていた」らしいです。
それでもやはり、生来のおおらかさ、優しさ、柔らかさ、心情面の振れ幅、大きさも相まって、とても素晴らしいヒロイン像でした。
その後、面白に目覚め、怪獣化していきましたね。
怪獣への進化の過程で、何故かバカでかい声も出るようになりました。
しかも絶対潰さない謎の超デカい声。
デカい声のほうが笑って貰えると気づいたのでしょうかね?いまだによくわからない謎進化です。
番外公演「へべれけ」のチャイ子さんを演じたときは、元新宿梁山泊の女優石井ひとみさん、唐組の名華、赤松さん、唐ゼミの看板、禿恵さんという錚々たる面々が「あの子のファンになった!」と熱っぽく語ってくれました。
アングラの一流たちが、こぞって民しょうに惚れてくれたのです。
あれは流石に悔しかったぞ!民しょう!!
俺もあの人たちに褒められたい!!
面白怪獣化してからは、皆さん知っていると思うので省略しますね。
扇田賢曰く「段取りは全然覚えられないし、稽古で0点当たり前なのに、日替わりネタをやらせると、台詞も段取りも完璧。複雑な日替わりネタでも1発で100点叩き出して、必ず爆笑かっさらってくる。あの集中力が稽古で出れば天下取れる」だそうです。
集中力のムラ、本当に謎です。
小島ことりと民本しょうこは、扇田賢の最高傑作です。そういえばことりも天国レインの時に連れて来たんです。
2人は入団は別ですが、ボブジャック歴は同期ですね。
ことりの話もいつか書きますね☆
民しょうに関しては、天国レインにて、僕の個人的な芝居に対するトラウマを、たまたま、本当に偶然解消してくれた事件なんかもあったりして、僕が役者をやってく上で頭が上がらない存在でもあります。
だから、民しょうがどれだけポンコツだと言われても、仕上がりが遅くても、0点叩き出そうとも、「いや、あいつはすげぇ」と僕は言います。
たまたま他人の人生を救えちゃった人間がすごくないわけがないですから。
幸福レコードのすみれさんや、ルドベキアを観た人はわかると思います。
面白要素ゼロでも、あいつは本当に凄いんです。
心に関する部分が飛び抜けています。
初めて観た時からずっと彼女は"すごい女優"なのです。
ノッキンヘブンでも、やっぱり月を見るシーンなんか、絶対勝てません。
寝起きの第一声「そうじさん」が、もうすごい。
いる!そこにそうじさん!
何あのリアリティ。こわい。
リピーターの皆様、是非注目してください。
普通はダブルキャストの時って、逆チームが褒められたりしてると悔しいもんです。
同じ役の人が褒められたりしてたらもう大変、ムキー!ってなるのです。
でも、男女反転ならそうはならない。
平和です。
男女反転ダブルキャストは、世界平和に貢献しています。
来年のノーベル平和賞は確実にうちのもんだ!!
あ、話が逸れました。
僕が、あいつには勝てないとずっと思ってきたあいつが、同じ役をやってるのです。
だからBチームが面白くないわけがないということです。
民本さんは3年前から「丸山さんに当て書きされた役だから私が不利だ!ずるい!」と言っていましたが
「あんたと同じ役なんて、当て書きされてもまだハンデが足りないよ!」
と声を大にして言いたいです。
あなたと同じ役の時点で僕が超不利です。
ハンデとしてずっと白目で芝居してください。
お願いします。