埼玉県立百澤高等学校演劇部顧問、中野レイよ。

レイちゃんて呼んで。

中目黒キンケロシアターで、「暗転エピローグ」という作品が公演中よ。

まぁアタシ程じゃないけど、そこそこ輝いてる役者たちを紹介するわ。

ネタバレはしないように気をつけるけど、やらかす可能性はあるわ。

アタシはね、やらかすタイプなの。

だから、ネタバレに対して恐怖を感じたら、その時点でホームボタンを押すのよ。

もしくはスマホの画面に硫酸でもぶっかけて、画面を破壊しなさい、もちろん自己責任で。

じゃあ、始めるわよ。

まずは樋口一華役【会沢紗弥】

ハッキリ言うわ。

この子は天才よ。

生まれ持った恐ろしい華があるわ。

天性のコメディセンス、声優としての台詞に対する能力、わけのわからない動き。

全てが観客の目と心を惹き付けるわ。

超多忙な中、辛い顔一つ見せず、毎日ニコニコ楽しそうな顔で稽古をしていたわね。

才能と人格に恵まれた逸材よ。

そして、稽古中に明らかに、加速度的に成長していったの、その成長率は演出家も驚いていたわ。

そして恐ろしい事に、この子は本番中もどんどん成長しているの。

戦いながら強くなるタイプね、多分前世はサイヤ人よ。

これから女優としてもガンガン注目されていくわね、間違いなく。

本当に恐ろしい子。

気合い入れの挨拶(本番が始まる前に役者たちでやる儀式のようなものよ)で、「暗転エピローグ、お客様が楽しんでくれているようで、＂我が事のように＂嬉しいです」と言っていたわ。

あなた主演でしょう、完全に我が事よ。

イカれてるわね。

人に応援される事がこんなに似合う人間、アタシは他に知らない。

魅力の化け物よ。

この子、Twitterもとっても面白いからチェックしてみるといいわ。

お次はこの子よ。

永井荷菜役【野口真緒】

この子は、紗弥とは違うタイプの天才ね。

簡単に天才天才言ってると思う人もいるかもしれないけど、ガッチガチのガチよ。

この座組、若手天才女優の見本市みたいな座組なの。

観ればわかるわ。

真緒はスーパーオールラウンダー。

歌もダンスもお芝居も、コメディもシリアスもなんでもできる。

稽古中、演出家の扇田は、この子に信じられない程ハイレベルな要求を数えきれない程してきたの。

だけど、ほぼ全て＂次の1回でできる＂のよ。

優秀なんてもんじゃないわ。

化け物よ。

唯一苦労したシリアスシーン、演出家からのダメ出しは

「一つ一つのセンテンスを取り漏らさず、確実に全て拾って積み重ねて、自分で感情を引き上げる事を一切せず、その時起こる流れに沿って、でも行ききらず、100%相手の為に。最終的には同じ立場で結論には辿り着かない。なおかつプランが見えないように演じなさい、ただしそれによる受け芝居の間の増加は基本的には許しません」

もはや何の話かわからないわ。

(ちなみにこのダメ出しの直後に、渡壁りさがされたダメ出しは「もっと口歪ませて。以上」だったわ)

こんな難しい要求も、20分くらいの稽古で、ある程度モノにしていたの。

本当に恐ろしい子よね。

演出家にとって、こんなに演出をつけていて楽しい子は、なかなかいないでしょうね。

観た人はわかると思うけど、この子は後半まで物語を明らかに牽引してるの。

＂演劇部部長＂の説得力が、この物語にとってどれだけ重要なのか想像したら、アタシがこの子の立場なら背筋が寒くなるわ。

そんなえげつない重圧の中、当たり前のように魅力的に軽やかに荷菜を演じ切っているわ。

舞台上でこの子と絡むとき、20年近く芝居をやっているこのアタシが＂安心＂してしまうのよ。

隣にいると落ち着くの。

恐ろしい子よ。

「優秀すぎて何だか近寄り難いなぁ」

と思った人もいるかもしれないわね。

でも安心なさい、この子は芝居以外の環境では年相応のベリーキュートな女の子よ。

食べ物の話をするときは、5歳の幼女のように目を輝かせるわ。

それにカーテンコールの挨拶では、「お手元のアンケートにご記入の上、奮ってご応募下さい」と言っていたわ。

言っておくけど、劇場でアンケートに記入してもハワイ旅行とか、懸賞の類は一切無いわよ？

この子、真面目に見えて、お芝居してない時はまぁまぁバグってるのよ。

推せるでしょ？

次に進むわよ。

三島由紀穂役【宮島小百合】

神に愛されている天才。

たぶん太陽神と芝居の神との間に生まれてきた女優ね。

おいおい天才ばっかりだな、レイちゃん適当に言ってないか？

と思うわよね？

言ってないの。

アタシのせいじゃないわ、この座組が本当にヤバいのよ。

この子の恐ろしいところは＂お客さんが受けた印象度とと、台本上の印象度が全く違う＂という事よ。

正直言って、今回の暗転エピローグ舞台版では、部内での役割(大道具担当)もあって、この子の出番や台詞はそんなに多くないわ。

台本を普通に読み物として読んだら、かなり印象度が低い役なの。

それなのに、きっと観終わったお客様は全員こう思うはずよ？

「さんちゃん先輩、ヤベぇ。。。でも、すごく優しい人だなぁ」

それがこの子の力なの。

この子はどんな役をやらせても恐ろしい程に結果を残すの。

シリアスな台詞の語り口なんざ、もう20代前半の女優のそれじゃないわ。

しーを語る一瞬の芝居、マジで神がかってるわ。

本当に一瞬だから見逃したら損よ、あの一瞬で、2人の関係性が5億倍深くなっているわ。

「え、でもなんかさゆりんていつも完璧で怖そう」

と思う人もいるわよね？

天才の宿命ね。

でも安心なさい。

ものすごく純粋で、優しい子よ。

気になったら面会に行ってみるといいわ。

穏やかな時間を味わえるはずよ。

あ、ちなみにこの子もそれなりにバグってるから、その辺はよろしくね。

もし即興劇を観る機会があれば一撃でわかるわよ。

もう推せるわね？

推しなさい。推してる自分をきっと誇れるわ。

そういう女優なの。

さて、とりあえず今日はアタシ寝るわ。

明日も早いし、ごめんなさいね。

でもそのうち全員分書くから安心して。

とりあえずアレよ。

明日は千秋楽、寂しいけれど生徒達とも一旦お別れ。

悔いの無いよう全員で走りきるから、観にくる人は楽しみに、もう観た人は最後まで生徒達が走りきれるよう、応援してくれると嬉しいわね。

おやすみなさい。

また明日。