珈琲の香りと紫烟の中で・・・・・
ガンヒルの決斗  1959年



 保安官マット・モーガン(カーク・ダグラス)の妻が暴行され殺される。一緒にいた幼い息子は犯人の馬を盗み乗ってマットの元に帰ってきた。犯人の馬についていた鞍は、旧友でガンヒルの大牧場主クレイグ・ベルデン(アンソニー・クイン)のものである。マットは犯人を逮捕するためガンヒル行きの汽車に乗った。マットの妻を殺害したのはクレイグの一人息子リック(アール・ホリマン)であった。保安官は妻の復讐のため、大牧場主はわが子を守るため。運命は、親友同士だった二人を敵味方に分けて戦わせる・・・。


 「決闘三部作」最終作。『OK牧場の決斗』のカーク・ダグラスと『ワーロック』のアンソニー・クインが共演。カーク・ダグラスはいつもどおりに「闘魂の塊」演技。アゴのえくぼが最高です。一方のアンソニー・クインはやはり名優ですね、貫禄の演技で魅せてくれました。

 本作も『ゴーストタウンの決斗』同様、ラストに一対一の対決がありますが、こちらは一瞬に勝負がつきます。汽車の発車ギリギリにプラットホームで行われる対決。善玉と悪玉の対決ではなく、親友同士の撃ち合いだから悲壮感が漂うクライマックスになりました。撃ち合いに倒れたアンソニー・クインが「お前の息子は立派な人間に育ててくれよ」と言い残し息絶える場面では、さすが名優アンソニー・クイン!と叫びたくなります。

 『OK牧場の決斗』記事の中で、「『ワーロック』の記事を書いていた時、次回は「決闘三部作」を取り上げようと思いました。」と書いたのは、題材が同じ決闘西部劇なのもありますが、一番の理由は『ワーロック』に出演しているリチャード・ウィドマークとアンソニー・クインが「決闘三部作」の2本に出演していたのを思い出したからです。



珈琲の香りと紫烟の中で・・・・・
カーク・ダグラス


珈琲の香りと紫烟の中で・・・・・
アンソニー・クイン


珈琲の香りと紫烟の中で・・・・・


 西部劇の第一期黄金時代が、ジョン・フォード監督らが創り上げてきた白黒時代1930年後半~1950年前半だとすれば、第二期黄金時代はカラーに突入した1950年後半~1960年前半(マカロニウェスタンが出てくるまで)だと考えていいでしょう。私は第二期黄金時代の西部劇ファンです。そしてこの第二期は素晴らしい傑作西部劇が数多く誕生しています。中でもハワード・ホークス監督の『リオ・ブラボー』(1959年)、ウィリアム・ワイラー監督の『大いなる西部』(1958年)、そして今回取り上げた「決闘三部作」は、私を西部劇ファンにしてしまった忘れられない作品です。