北国の帝王 1973年
1933年、アメリカ大不況のさなか、列車に無賃乗車しなが移動する浮浪者”ホーボー”たちの存在を、オレゴン州ウィラメット・バレーを通過する19号列車の鬼車掌(アーネスト・ボーグナイン)は決して許さず、非常な鉄槌を下し続けている。しかし、Aナンバーワン(リー・マーヴィン)だけは常に鬼車掌の裏をかいては19号列車に乗り込み、周りから”北国の帝王”と崇められていた。
そんなある日、彼の王座を狙おうと、若いホーボーのシガレット(キース・キャラダイン)が行動を共にするようになるが・・・。
これほどまでに単純でバカバカしいストーリーで、しかもめちゃくちゃ面白い映画にはめったに出会えないと思います。昔、TV放映されたのを一度だけ観ていましたが、DVD化されたのを知り速攻で購入しました。
鬼車掌にアーネスト・ボーグナイン、Aナンバーワンにリー・マーヴィン。二大個性派スターが男の意地をかけて(と、大げさに言っていますが単に無賃乗車と車掌の対決)壮絶な一騎打ちを演じています。一度見たら忘れられない顔の二人が互いに裏をかきながらついにラストで対決。この単純なストーリーを121分間も持たせてしまう二大酷男(失礼!)とロバート・アルドリッチ監督は素晴らしい。
ロバート・アルドリッチ監督といえば、『ヴェラクルス』(1954)、『攻撃』(1956)、『ガンファイター』(1961)、『特攻大作戦』(1967)などを観ていますが、男の意地と執念、男のロマン、男の世界を描かせたら右に出るものはいないと思わせる男性アクション映画の巨匠です。ロバート・アルドリッチ監督が描き続けてきた男の世界の集大成が本作ではないでしょうか。とにかく面白い作品ですよ!