満月の夜には赤ん坊が生まれる!?
日本には昔から、
「満月の夜には赤ん坊が生まれる」
という言い伝えがあった。また、産院に勤務を始めたばかりの新人看護婦さんは、
満月の日が近づくと先輩から、
「さあ、これから忙しくなるわよ」
と告げられたものだという。
長いあいだの経験から、満月の日はお産ラyシュとなることを心得ているというわけだ。
この「出産における月のリズム」を研究テ-マとし、
満月の日に出産が多いことを統計的に実証してみせたのが、私が尊敬してやまぬ
お茶の水女子大学教授・藤原正彦氏と、筑波大付属盲学校講師・藤原美子さんご夫妻である。
ご夫妻は、月と人間の生体リズムに関連して次のような見解を示している。
「一九六六年、ロバート・マクドナルドは、『遺伝心理学会報』に、満月と新月のときに目立って出産が多いと
報告した」
データは、陣痛促進剤などで出産を促すこともある大病院のものは避け、
助産院のものを使用し、過去十二年間の出産目、計二千五百三十一例を月齢で置き換えてみた。
結果は、非常に興味、深いものであった。
満月、新月いずれの場合も、一目前と三日後が出産のピークとなったのだ。
なぜか?
月の引力は、満月・新月の1日前にもっとも激変し、また1日後にはその影響がもっとも多く
蓄積されると考えうる。
つまり、月の引力こそが出産の引き金となっている。
いかがであろうか。
月の引力は満潮・干潮を引き起こすのみではない。
なんと、人間の出産という大事にまで、深い影響をおよぼしていたのだ。
悪夢の事故処理録・・・警察時代の備忘録
中学時代、剣道の稽古のために警察署の道場に通っていた私は、
自然と警察官に親しみを覚え、いつしか、
「これこそ、自分の天職にちがいない」
と思うようになっていた。
高校卒業後、希望どおり兵庫県警入り。
さて、一口に警察官といっても、配属先によって仕事の内容は大幅に異なってくる。
私の場合は交通畑が長く、数十年の勤務中、実に十三年にもおよぶ勘定となる。
その問、私は「悲惨」の一語につきる交通事故の死亡事故を、この目で何件も見てきた。
私自身が現場で事故処理に当たっただけに、悪夢のようなその光景はいまなお、
私のまぶたの裏にこびりついて離れないのである。
次回から、数例をここに再録してみようと思う。
月と交通事故と私の奇妙な関係・・月の研究を始めるきっかけ②
月と交通事故と私の奇妙な関係・・月の研究を始めるきっかけ①の
前回の続き・・・
そこで絶好のチャンスが訪れた。
一般的に、統計業務というのは細かい住事で、神経的にも疲れるため、誰からも敬遠される
傾向が強い。
しかし私は昔から統計をとるのが好きで、頼まれれば二つ返事で引き受けていた。
そんなところを見込まれたのか、福崎分駐隊から本隊に異動となり、高速道路全般の統計業務
に従事することを命じられたのだ。
渡りに舟とはこのことであった。
半月の日には事故が多いとの直観を確認するためにも、
毎日毎日、私は統計的作業と首っ引きになった。
その結果、驚くべき事実が明らかとなった。
人身事故lll死亡にまでは至らない交通事故は、やはり、半月の時期が圧倒的に多かったのである。
それだけではない。統計を分析してみて、私はもう一つの奇妙な事実をも発見することとなった。
上弦・下弦の中間時期、すなわち新月・満月の時期になると、事故件数そのものは少ないものの、死亡事故がはっきり目立つということであった。
具体的な数字を出そう。
私が高速道路警察時代に取り扱った死亡事故は、102件あった。
うち、新月の日が6件、新月翌日が7件、新月前日は6件と、新月の前後3日間で19件が発生している。
次に満月だが、3日前が9件、二日前5件、前日4件、満月当日は5件、そして満月翌日が3件で、
計26件となっている。
両方を合計すると、45件。これは全死亡事故数の40.2パーセントに相当する数字である。
もちろん、たったこれだけのデータから引き出された結果に、統計的意義を見出すことはむずかしいだろう。
といって、ではこれを「偶然の一致」で片づけていいものだろうか。
私はこのデータを、折れ線グラフにしてまとめてみた。
死亡事故のケースでは、新月・満月の時期に劇的なほどのピークを描いているのが一目瞭然だ。
逆に人身事故の場合、ピークは上弦・下弦のほうに移動することとなる。
できあがったグラフを眺めながら、私はふと、こんなことを考えてみた。
「これを理論づけることができれば、私の念願でもある交通事故減少の一助ともなるのではあるまいか」
しかし、はたして本当にそんなことができるのだろうか。
私は科学者でもなんでもない。ただ、月と因縁ある名前の警察官というだけの話なのだ。
それに、仮にも「理論づける」という以上は、その前提となるデータの収集・分析が不可欠だ。
そのためには、時間的にも場所的にもより広範囲にわたって、交通事故の統計をとる必要がある。が、
いくら統計業務にたずさわっているとはいえ高速道路警察隊に所属している私に
はんちゅうとって、それは業務の範曙を越えている。
そんなとき、健倖はまたまたやってきた。 ・・・・・続く③
なぜ、日本坂トンネル玉突き炎上事故は発生したのか?
七九年七月十一日午後六時二十五分ごろ、
静岡県焼津市の東名高速日本坂トンネルの下り線、西側出口約四百メートル手前で、
大型トラック四台と乗用車二台が玉突き衝突した。
そのトラックの一台に積んであった揮発性エーテルが発火、炎上し、付近の車に次々に引火して
トラック百二十九台、乗用車四十台など、合計百七十三台を焼く火災となった。
追突によって車内に取り残された人七人が死亡、四人が怪我を負った。
火勢は強く、トンネル内は猛炎に包まれ、鎮火したのは、三日後の七月十四日の正午になってから。
トンネルの復旧には約二カ月を要し、全面開通したのは、九月九日であった。
また、この事故の積荷被害額は十二億円、トンネル被害額は三十四億円にのぼった。
事故のあった日は、満月の翌日であった。
月と交通事故と私の奇妙な関係・・月の研究を始めるきっかけ。①
兵庫県警察官時代。
一九八四年三月、私は高速道路警察隊に赴任となり、
中国縦貫自動車道の福崎分駐隊で勤務をつづけていた。
何ぶんスピードの出る高速道路のこととあって、同じ衝突事故でも一般道路以上の大惨事と
なるケースが少なくない。通報を受けるたびに私は、
「死亡事故でなければよいが・・・・・。」
と思いつつ、現場に急行したものだ。
奇妙な事実にふと気づいたのは、このころのことであった。
きっかけは、とある夜間に起きた接触事故である。
幸い人身への被害は大したことがなく、いつものように事故処理を終えた。
私は、ほっとした気持ちで夜空をふり仰いだ。・・・・・・・・と、
中天にくっきり、半月の上弦の月が浮かび上がっていた・・・・。
その日に、かぎっては、それはそれだけのことにすぎなかった。
ああ、半月なんだなと、たんにそう思っただけの話だった。
・・・・・・・が、約二週間後のことである。
明け方に、事故発生。
ただちにパトカーで現場へ急行する途上、
私は 「ん?」 と首をかしげていた。
白みかけた空に、またも半月。
今度は下弦の月がぼんやりと浮かんでいたからだ。
むろん、その二週間のあいだに他の事故が起こらなかったわけではない。
しかし、時をおいて空に見た二つの半月の印象が、私の頭のなかに、こんな直観を芽生えさせたのである。
「もしや、半月の日に事故が多いのではあるまいか・・・・・?」
それからというもの、交通事故が発生すると、あとで月齢表を見ては、
月の状態を確認するのが習性となった。
その結果、半月・上弦および下弦の時期に事故発生。→出動となるケースが多いのは、
経験的に明らかなことと思えてきた。
しかし、私自身の経験だけでは不十分である。
できれば交通事故件数を統計的にとり、
これを月齢表と照らし合わせてみたかったが、当時の私は現場での事故処理に追われ、
そんな作業は望むべくもなかった。
そこで絶好のチャンスが訪れた。
・・・・・・続く
満月と産卵の不思議な関係!
ああ、けふも月、が出で、
有明の月が空に出で、
そのぼんぼりのやうなうすらあかりで、
崎形の白犬が吠えてゐる。
とは、萩原朔太郎の有名な詩集「月に吠える」の一節である。
月に向かって吠える犬のイメージは、いかにも詩的趣きいっぱいだが、
月と動物の関係は詩にうたわれるばかりにはとどまらない。
ある特定の月齢時に特定の行動をとる生き物は、
世界各地に、現実に多数見受けられるのだ。
かつて、私の話を取り上げていただいた「週刊読売」の記事(九三年一月十七日号)のなかに、
非常に興味深い話が出ていた。
農水省熱帯農業研究センターが、マレーシアの米につく害虫を調べた結果、
奇妙な事実が明らかになった。
カメムシの仲間に属するその昆虫は、満月の夜になると決まって大量に飛び交い、
街灯などに群がるというのだ。常識的に考えれば、新月の暗い夜にこそ、
明かりを求めて飛ぶのが普通である。
なのに、なぜか満月の夜なのだ。
満月の力が、虫たちに不思議な行動をとらせているとしか思えないではないか。。。。。