もちろん、確信はない。
あるのは…ただのカンだ。
だが…上り始めてすぐに、裕太はあることに気が付く。
(一体、この木って、どれだけの高さがあるんだ?)
裕太はすっかり、あることを忘れていた。
自分は今、竜の上に乗ってはいない、ということに…
「あ~あ、こんな時に、リュウタがいてくれたらなぁ」
思わず大きな声で、ボヤく。
『おやおや~もう音を上げたのか?』
するといきなり、誰かの声が聞こえてきた。
「えっ、だれ?」
ふいをつかれて、裕太はビクンと肩をこわばらせる。
『おいおい、怖がることはないだろ?
ボクのことを、呼んだんじゃあないのか?』
裕太の耳に聞こえてくるのは…確かに聞き覚えのある声だ。
「えっ、リュウタ?今、どこにいるの?」
それよりも、ジュンペイはどうした?
思わず振り返る。
すると…上の方からスルスルと、さっきよりも一回り大きな
竜が、木をすべり降りるようにして、裕太の方へ向かって来る。
裕太は思わず、その姿に目を奪われる。
ちょっと前までの姿よりも、大きくて、そして堂々とした成長を
遂げた立派な竜の姿になっていたからだ。
しかも何だか、別人のように、立派だ。
「えっ?ホントにリュウタ?」
まさか、竜神じゃないのか…と一瞬目を疑った。