「うーん、目覚めたのかどうかは、わからないが…」
みるみる城壁を覆いつくす幹を見て、ナイトは顔をしかめる。
「確かに…急がなくてはな」
ボソッとつぶやくと、背後を振り返る。
丁度子供たちが、こちらに走って来るのが見える。
「そうだな、あの子たちを守るためにも」
互いに目を見合わせると、
「何とか『アレ』が来るのを、阻止しなくてはな」
意を決したように、ポソッとつぶやく。
まるで早送りのように、トゲのついた太い幹が、ズンズンと
伸びてくる。
ナイトは、それが窓から侵入するのを防ごうと、剣を振り回す。
一旦伸びるのを止まるものの…
そことはまた別の茎から、枝が伸びてくる。
「あれは…燃やすしかないのかなぁ」
ルークに向かって、そう声をかけると、
「何を燃やすんですって?」
キンと鋭い声が、ルークのすぐ近くで響いてきた。
「うわっ」
「出た」
思わず二人の口から、声が漏れる。
「何ですって?人を化け物みたいに…」
その女は、手にもっているカマを、高く振りかざす。
身体は、二人よりもかなり低く、とても華奢だ。
だが、背中についた翼のせいか、実際よりも一回り大きく見える。
ギラリ…
さらに、握りしめているカマが、黒光りしていて、かなりの
存在感を放っている。
そして、本人よりも大きいので、断頭台の死刑執行人のようにも
見えた。