「たぶん、あれは…ブラッディメアリーだ」
さらにショータが、小声でささやく。
「えっ、なに?」
ブラッディメアリーって?
アキが聞き返す。
「あれは…危険だ」
サッと血の気の引いた顔で、アキにささやく。
二人が話し込んでいるのを、メアリーはじぃっと、うかがう
ように見ている。
その目は一瞬、鋭い光を帯びて、まるで暗殺者のようだ。
そのあまりの落差に、アキは寒気を覚える。
「でも…どうする?」
カガリは別として、ユウジはすっかり、メアリーの妖しい美しさ
のとりこになっているようだ。
「ナイトがいる…ルークも」
「あの二人も、気付いているよね?」
「たぶん」
何とかしなくては、と二人は顔を突き合わせる。
「あなたたち、そこで何をしているの?
こっちへ、いらっしゃいよぉ」
上機嫌な声で、メアリーが二人に声をかける。
「やばい」
「そろそろ戻らなくちゃ」
アキは、メアリーの方を見ると、ショータにささやく。
「とにかく…あの人から、離れないと」
互いに確認するように、アキはショータと目を見合わせる。
「うん、そうだな」
短く答えると、メアリーたちのいる方に、軽く手を上げる。
「あ~、ごめん、ごめん
わざとフランクな口調で声をかけると、二人はそろって、仲間
たちの所に戻った。