まるで金縛りにあったように、足が全く動かない。
根っこが生えたように、一歩も歩けないのだ。
どんなに身体を動かそうと頑張っても、情けないことに、
足指一本、動かすことすらかなわないのだ。
(えっ?一体…どうなっているんだ?)
龍神が、何をしたというのだ?
そこだけが燃えるように、緑色の光に包まれている。
「緑色の炎だ…」
裕太はつぶやく。
それからハッと気が付くと、
「ジュンペイ!ジュンペイは、大丈夫か?」
未だ姿を見せない、その人のことを思う。
だがもちろん…ここからでは、中の様子をうかがい知ることは
出来ない。
「よしっ!」
裕太は自分の心に活を入れると、思い切って、目の前の木に
手をかける。
(ここから見えないのなら…こちらから、行くまでだ!)
おそらく緑色の光は…触ったら、ヤケドしそうな熱さを、
伴うものではないだろう…
と、裕太はそう思い込もうとする。
「後は…飛び込んでみてから、決めるだけだ」
木の幹にしがみつくと、緑色に光る上部を、キッと見上げる。
バキバキと、木が燃える音も、熱も今のところは、伝わっては
こない。
その光の正体は、わからないけれど、きっと悪いものではないはずだ…
と、裕太は自分で自分を納得させる。
木の幹を、両手と両足で抱えて、ゆっくりと上っていく。