(じゃあ、あの緑色の光は、なんだ?)

 やっぱり裕太には、説明がつかないことのようだ。

(だけどボクの知りたいことは、ジュンペイが無事かどうかだ)

そう自分に言い聞かせるようにすると、スルスルと上って行く。

 

 龍神の姿は、裕太の視界には入ってこない。

(もっと、上の方なのだろうか)

さらに勢いをつけると、裕太はグイグイと上って行く。

頭上は、緑の光に包まれて、何も見えない。

(まさかこの木も、特別な木なのだろうか)

だが裕太には、それをたしかめる手立てがない。

ただ裕太の目には、この木は、この場所を守るようにして、

しっかり根をおろしているように感じる。

 そもそもジュンペイが、この木にまだいるかどうかは、裕太には

わからないのだ。

ただ自分は…何が何でも、ジュンペイを助け出して、一緒に

家に帰るだけだ…

そう考えていた。

 

 さっきまで、リュウタとジュンペイがいたはずの所では、

その存在を確認することは出来ない。

(まさか、また…どこかへ連れ去られたのか?

 それとも、あの光のせいで、消えてしまったのか?)

最悪のことが、頭をよぎる。

いつもの裕太だったら、そんなことはあり得ない…と、

一笑に付したことだろう。

 だが、竜神の姿はどこだ?

 リュウタは?

 ジュンペイは?

ようやく見付けた…というのに、また姿を消したのか?

(自分が近くにいたのに…)

たちまち裕太は、悔しい気持ちでいっぱいになった。

 

 

 

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