『おや?もう、私の顔を忘れたのか?』
笑いの含んだ声が、裕太の耳に響く。
見た目が変わっても、やはりリュウタはリュウタだ。
中身は、全然変わってはいない…と、裕太にはわかった。
「ねぇ~ジュンペイは?」
どうして、一人なんだ?
裕太はやや強めに、そう言う。
まさか…ジュンペイのことを、置き去りにして、ここに来たのではないか?
そんなことが、裕太の頭をよぎった。
『えっ?ジュンペイ?
ジュンペイは…もちろん、安全な場所に、連れて行ったよ』
リュウタはケロッとした口調で、そう答える。
(安全な場所?ずいぶんあいまいな言い方だなぁ)
逆に裕太は、不信感をつのらせる。
「安全な場所って、どこなんだ?」
さっきまで、リュウタがいればなぁ…などと考えていたことは、
この際、棚上げにする。
『それは…その目で、確かめてきたらどうだ?』
やはりリュウタは、はぐらかすように言う。
『で、君はどうする?
行くの?行かないの?どっち?』
やけに強気な態度で、裕太に聞く。
何だか…うやむやにごまかされたようで、裕太はどうも
悔しいのだけれど…
それよりも、ジュンペイのことが、気になっている。
さらに、この先がどうなっているのか…も、裕太は気になっていた。