ふーん
裕太の心の動きを読むうちに、リュウタは余裕の表情で
笑っているように見える。
『さぁ、話は決まった!さっさと乗ってくれ』
無造作に、裕太の前に身体を向ける。
(なんだ?ずいぶん…偉くなったもんだなぁ)
ちょっと鼻につくけれど。
(そうかぁ~リュウタは、竜神の使いなのかもなぁ)
何となく、そう自分に言い聞かせる。
『さぁ、早く』
せかされるままに、裕太はリュウタにしがみつく。
さすがに慣れたもので…裕太が乗ったのを確認すると、
そのまま頂上に向かって、舞い上がる。
「ねぇ~天の穴って、なんのこと?」
ふと、裕太は引っかかっていたことを、聞いてみる。
『えっ?なんのこと?』
どこかよそよそしい声で、リュウタは聞き返す。
裕太が何で知っているのか…と、気になるようだ。
「龍神が言っていたんだ」
素直に裕太が答えると、しばらくリュウタは黙り込む。
まさか、このまま…答えないのか、と思っていた。
『それは、たぶん…この上に、あるんじゃあないのかな』
何だか、歯に物がはさまったかのような、スッキリしない言い方で、
リュウタはもらす。
「この上?」
それじゃあ、これから向かう所なのか?
裕太は、さっき洞窟の一部が、隠れていたことを思い出す。
「それじゃあ…この上は、どうなっているの?」
無事に、身体中の血が、ブワッと湧き上がるように…
裕太は興奮を覚えた。