キャンプという容器【追記あり】 | delo camping now !!

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趣味のキャンプと日々の事

さて、我々キャンプファンとしてのトピックを。


そんなに多くを持ってはないが、個人的にはユーザーでもある。ランドロックでのファミキャンは快適以外の何モノでもないし、まさに家族での幸せなキャンプ体験を与えてくれた、素晴らしい商品だったと今でも思う。






【巡航速度での成長に戻る】

スノーピークが業績不振を受け、上場廃止を検討との事(まだ何も決まってないそうだが)。


追記;下記報道が出ました。


今や時価総額は、全盛期の五分の一にまでなったそうだ。


決算書をざっと見ていくと、


前期に続いて営業キャッシュフローは大きくマイナス。2021年は22%(!)あったROEも、今回0%まで落ち込み、企業価値の観点で結構厳しい状況。前期に続き、減損損失はあるものの、やはり本業不振が大きく響いてる様相だ。


同社としてこの状況は、「コロナ下において一時的に急拡大した局面から巡航速度での成長に戻る過程と認識」しているようだ。


ただ、棚卸し資産は膨らんでいて、営業CFの足枷となり、巡航速度に会社はまだまだ振り切れてない状況だろうか。


また、「国内全社員のベースアップを2月から実施したこ と、新規出店による地代家賃の増加などもあり、前年比増」と、販管費もまだ成長期のサイズ感に見える。(ベアはもちろん、世相からも、必要投資と見るべきだろうが)


来期は、「新規顧客の開拓に引き続き注力するとともに、 体験型消費(キャンプフィールド・イベント等)の強化に取り組」み、また、「米国及び中国を中心とした海外拠点における店舗出店の強化、継続的なアウトドア製品の開発強化を通じた新規顧客層の獲得を目指す」

との方針だそうだ。





【キャンプという容器】

....まったくの一キャンプファンからの意見だが、極端に言うと、キャンプという狭い枠組みの中でのアイデアって、もう尽きてる気がしている。テントの構造を奇抜にするとか、色や形やギミックがどうとか、あるいは囲うようなブランドイベントがどうとか。発想をリサイクルのように循環させてるだけでは、新しい感動みたいなものは生まれ得ない。


一方で、決算説明書には、「キャンプの力を信じる」とあるが、キャンプファンとして、そこには大いに同意するものの、信じ方のベクトルが分散し過ぎていて、チカラを弱めてるようにさえ見えてしまう。


キャンプという容器に、もう色々突っ込み過ぎなのでは?キャンプという容器がヒーヒー悲鳴をあげてる感じさえする。

アパレル、飲食、アーバンアウトドア、ビジネスソリューション、地方創生などなど、ブランド力とLTVを意識した結果だとしても、本来のキャンプ、キャンプの本質的な部分は、全くもって華美じゃないはずだし、同社が野遊びと謳うくらいに、キャンプなんか、もともと自然に戯れるだけの遊びに過ぎないじゃないか。


でも、やはりシンプルで奥が深いから、大の大人も虜になる人たちがたくさんいるし、学びもたくさんある。そもそもとてもシンプルな価値基準の中で、成立してるコトなのだから。


【様変わりした競合環境】

もうこれ以上、色や形や多角化など、表層的戦術で勝負しても、大抵の事に消費者は慣れているし、既視感や飽きもある。そして、安価でいいものも沢山あるのだ。


コロナ禍のアウトドアの盛り上がりの中、同社の外部環境、特に競合他社状況が大きく様変わりした。模倣を排除する動きは、もちろん正当だけど、併せて、もっと業界や競合他社、顧客を真摯に分析すべき事がたくさんあったのではないか。ブランドネームが、企業を盲目にさせる、という事なのかもしれないが、ここまで業界環境が変わった以上、あまたある他社と同じ軸で勝負し続けても、業界の少ないパイを血を流して取り合うだけだ。


でも、かと言って、多軸の戦略が正解なのだろうか...



【野遊びを通じた人間性の回復】

ただ、決算説明書の中で一点、驚くに値するのは、スノーピークの恐るべき会員増加基調だ。順調に増加し、日本だけでなんと90万人。驚くべき数字だし、これって本当にすごいことではないか。他社に、一朝一夕では真似できない、大きな強みに違いない。


この増え続ける新規会員の意味をどう取るかで、同社の命運が大きく変わるのでは、と思う。


従来型の会員ランクづけ的な手法を取り続けるのか、ストック会員と新規会員の増加をどうレバレッジするのか、どう舵を取るか。ストック型モデルにもう一歩踏み込み、野遊びの本質を業界のリーダー的立場で提示するような、そんなスノーピークしかやれない取り組みって出来ないだろうか。この90万人がスノーピークに期待する潜在的な欲求やインサイトを深く突き止め、そこに寄り添う必要があるのではないか。


残念ながら、今のスノーピークは、野遊びというイメージから、程遠いように思えて仕方ない。


「野遊び」を通じた人間性の回復...こんな素晴らしいビジョンがあるのに。真の意味で、僕はこれだけに期待している。


もっと、人にフォーカスして欲しい。