『実践行動経済学』の
第1章 バイアスと誤謬
◻私たちはどのように考えるかー
二つのシステム
の書き出しは次のように始まります。
「人間の脳の働きは支離滅裂である」
そして、
「最近の脳科学者のアプローチでは、
思考の種類を直感的で自動的な思考と熟慮的で合理的な思考の二つに区別する」
という前提に立ち、前者を
「自動システム」後者を
「熟慮システム」と呼び、
論じています。
〈人間のもつ二つの認知システム〉
☆自動システム
・制御されていない
・努力しない
・連合的
・速い
・無意識
・熟練を要する
☆熟慮システム
・制御されている
・努力する
・演繹的
・遅い
・自覚的
・ルールに従う
バイアスの中の一つ「利用可能性」という項には次のような記述もあります。
3.11後の現在の日本では、いささか不謹慎と思われるかもしれませんが、
私自身、2009年に翻訳された時には見えなかったものが、リアルに理解できたように思います。
バイアスを取り除き、クリアな思考で最適解を導くためとご理解ください。
“人々はあるリスク(原発事故)は高く、
別のリスク(脳卒中)は相対的に低いと思い込んでいるとしよう。
そうした誤認は政策に影響を与える恐れがある。政府は最も起こりやすい危険に対応するのではなく、人々の不安に沿って資源を配分する可能性が高い。
「利用可能バイアス」がかかっているときには、ナッジを与えて、真の発生確立に沿った方向に判断を引き起こすことができれば、私的な意思決定も公的な意思決定も改善するだろう。
悪い結果になるのではないかという人々の不安を高めるには、それと関連のあるうまくいかなかった出来事を思い出させるとよいし、人々の自信を高めるには、すべてが最高にうまくいった同じような状況を思い出させるとよい。”
という箇所が本書にありました。
その他にも私たちの認知に歪みや誤謬を引き起こす心理的なバイアスには
「アンカリング」
「利用可能性」
「代表性」
という三つの
ヒューリスティック(経験則)があります。
2009年に日本でも翻訳が出た本書を、読み返してみて、あらためて気づきくことが多くありました♪
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