1986年に出版された、こちらの本。

遠いアメリカ/常盤 新平

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この本が、出版された時、日本は一番キラキラしていた時代だったと思います。

前年の1985年といえば、プラザ合意の年です。

名実共に、JAPAN as No.1の時代でした。

空前の円高、単純に日本の個人資産でアメリカを買えたわけです。

『ノルウェイの森』が出たのが、翌年の1987年でした。



藤原正彦さんは、私がもっとも尊敬する人物の一人ですが

『日本人の誇り』で言及されていたように、GHQによる

罪意識扶植計画が仮に、私たちに植え付けられたとしても、

やはり、マイケル・ジャクソンのダンスはスゴいと思うし、

マジック・ジョンソンに憧れ、バスケをしていた少年時代は

夢のように、充実していました。

そんな、アメリカの文化で育った私たちの世代は、

アメリカへの憧れは強かったと思います。


当時、世間のバブリーな気運とは裏腹の「どん底の時」を

私は、過ごしていました。

滑り止めには受かったものの、都の西北のW大にフラれた私。

そのとなりの、バカ田大学、いえWゼミナールへ通ったりしていました。

その時、W大学そばの書店で『メンタル・タフネス』や『マインドマップ』の

本に出会いました。



さて、当時から、常盤新平さんはアーウィン・ショーなどを訳した

日本を代表する翻訳家でした。


自伝的な、この青春小説は当時読んでも、どこかノスタルジックな

香りのする本でした。

ハンバーガーという単語を、ペーパーバックで目にしても

どういう物か分からず、翻訳家志望の青年が苦労するシーン。

米兵がカフェに入って来て、店主に「あるか?」と尋ねる。

betweenやbred、そしてhamburgという単語は聴き取れても

イメージできず、ニュアンスが「ごちそう」ではなく、もうちょっと

カジュアルで、侘しい感じがする、などと想像力を働かせて探るシーン。



帝大以外を大学と認めぬ、厳格な主人公の父。

上京すると、シャツを買うのは決まって日本橋三越。


「翻訳なんて、人のふんどしで相撲を取るようなものだ」

と、猛反対します。


さて、この言葉でした、私がとらわれていた言葉は。


1990年頃までの、日本は明らかに「ものづくり大国」でした。

ゼロから、新たなものを作り出すのが得意でした。


おそらく、現代との最大の違いはここです。

インターネット、Google、Facebook、等々、。

あるいは、プラットフォームという既存の場所を

用いなければ何も生まれません。


そう、ビジネスという「ゲームのルール」自体が

変わったのだと思います。







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日本人の誇り (文春新書)/藤原 正彦

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