制服が邪魔をする6 | Commentarii de AKB Ameba版

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AKBとかその周辺とか

words

   制服が邪魔をする/もっと 自由に愛したいの
   そういう目で見ないで/たかが女子高生よ

 オバチャが終わってステージが明るくなって、そしておなじみの、

 

 PARTY!

 

 なわけだが、いつものPARTY! と勝手が違う。

 

 PARTY!と言えば、センターとボトムにフリルがついてて、白襟でちょっと上品ロリータなお揃い制服風コスチュームなのだが、今夜の彼女らは、色とりどりカラフルで、帽子も被っている。研究生らしいっちゃらしい格好。

 なるほど、この方が個人識別はしやすい。名前はわからないけれど、「赤い衣装で短い髪の子」がいいじゃん、とかね。

 

 さあ、誰を見ようか。

 こういう時は誰かを見る、のではなく焦点を深くする感じで、全体を見る。幸いステージのセンターがほぼ全て見られる位置だ。視界の中に見るべきメンバーがいればセンサーが反応するはず。

 Team 8の時は、M1、PARTY!の初っぱなで「誰だありゃあのポニテは?」ってのが横道だった。誰を見よう、と迷う間もなく、視線を奪っていった。

 

 うーん。

 そういうメンバーは、どうやらいなさそう。

 そうしたら今度は、よく見える位置に来たメンバーを見る。

 正直なところ、姿だけで心を鷲づかみにするような、とびっきりのべっぴんさんはいなさそう。まあそれは仕方ないことなのかもしれない。美しさは人に見られることによって磨かれるものだが、彼女たちにはまだそれが足りない。

 

 M1 PARTY!、M2 DMT。頭の中に一瞬「毒リンゴ」のイントロが流れたが、聞こえてきたのは、チャリンコのベル、そしてベース。そうそう、これはそういうセトリなんだっけ。M3は「会いたかった」。ステージを駆け回る彼女たちはとても楽しそう。

 

 あの空間で僕らが喜びを感じるのは、あそこで彼女たちと「楽しさをシェア」するからだ。

 そのためにはまずパフォーマーが楽しくなければいけない。もちろん、実際に楽しくなくても楽しさを表現できればいいが、恐らくそれだけの技量を持った人は、そうそうはいない。

 だから彼女たちは、あそこに立てることを楽しめなければいけない。

 うん、みんな楽しんでいるね。よかったよかった。

 

 そしてM4「Only today」。僕の大好きな、おなじみのスカ調の明るい曲想に切ない歌詞。それだけで表現が難しい上、公演の頭のノンストップ4曲めにしちゃ、こいつは何とも体力のいる曲だ。

 ラインダンスは揃えにゃいけないし、サイドステップは大きく高くあって欲しい。それも笑顔を絶やさないまま。

 ここまで来ると、足が上がらない子、苦しそうな顔の子がちらほら出てくる。

 「よし、ガンバレ、もうちょっとだ」と、軽く手に汗握っているのは既に術中にはまっている証拠だ。

 走って走って、全員でゴールになだれ込むような、そんな終わり方だった。

 うわあ、疲れたね。

 

 M4まで終わった感想は、もちろん「楽しかった」。

 でも何かこう、しっくりこないというか、「研究生」らしさというか、初々しさというか、そういう成分がちょいと足りない、というか。

 慣れてる、と言ってしまったら言いすぎなんだが、「下手くそながらガンバリました」とはちょっと違う感じがした。

 

 なんだろう、これ。

 とずっと感じていたものが吹っ飛んだのが後半。

 

 A dark side of AKB。

 

 AKBには、世の中の人が余り知らない暗い部分がある。

 明るくって、カワイクって、かわいいかわいい女の子の内側に潜んでいる暗闇。

 

 研究生には荷が重い楽曲のはずだったのだが。

 

 「制服が邪魔をする」と「涙売りの少女」。

 どちらも黎明期のヲタを震撼させた dark sideの曲。

 前者は自分を守ると同時に縛り付けている「制服」の二面性に抗う少女の内面の歌だ。そして後者はあからさまに言えば「少女売春」の歌だ。

 こんなの年端もいかない研究生にやらせてるんじゃねえよ。

 

 だが現実は全く違った。 

 研究生たちは、この「心の暗闇」を何の違和感なく、ステージの上で生き生きと表現していた。彼女たちはたぶん、1期生2期生よりも歌の心を理解している。

 

 うわ、なにこいつら。

 

 予兆はあった。

 ユニット曲の「スカひら」「あなクリ」「ガラスのI LOVE YOU」まではいいのだが、その後が「黒い天使」。

 境界性パーソナリティの匂いがぷんぷんするヤバイ女の歌。 

 これもまたこどもにやらせる曲じゃない。

 それを研究生の3人は(下手くそだが)全く借り物ではない表現でやり終えた。

 

 こいつら、ちっとも可愛くねえ。初々しい研究生じゃえねえ。

 ヤバイぞ。

 

 --

 

 目についた人。

 

 武藤小麟

 姉同様ヘンテコな名前。でも姉より存在感がある。サイドステップが一番大きかった。姉より柔和な顔立ちのくせに、時折見せる視線は姉より鋭い。

 

 山根涼羽

 最初は目だ立たなかった。でもどんどん綺麗に見えてくるから不思議。16歳って嘘だと思うよ。

 

 浅井七海

 安心して見ていられるべっぴんさん。みんくそ田名部からおっさん成分と酒を引いて、カワイらしさを足した感じ。

 

 黒須遥香

 一瞬ヒラリーに似てると思った。全体曲ではそんなに印象は強くなかった。でも「黒い天使」でびびった。

 

 山内瑞葵

 後半おろおろしていたら、にっこり微笑んでくれてほっとした。

 

 梅本和泉

 右目を病んでいるとMCで言っていた。「目病み女に風邪引き男」という諺を思い出した。