抱き締められると、落ち着く。やっぱりチャニョルといると、安心するから。
結局何を怒ってるのか、わからないままだけど。
ゆっくりと腕が解かれて、チャニョルを見上げると。
チャニョルは優しく微笑んでくれた。
「ごめんな、ギョンス」
「・・・どうしたの?」
「俺が勝手に嫉妬してただけだ。・・・ギョンスは、いつも通りなのにな」
「え?」
「帰ろう。送るよ」
嫉妬、か。不思議な気がした。確かに、結構ヤキモチ焼きなところは、あるけど。
あんなふうに怒ったのは、初めてで。
ストレートに態度に出してくれてたのに、どうして今日は違ったんだろう。
隣で笑ってるチャニョルがなんだか遠く、感じた。
家に帰りつくと、またね、って見送ってくれて。
さっきまでの態度が、なんだか嘘みたいで。
「・・・ただいま帰りました」
「おかえりなさい、ギョンス」
ヌナはどこか気だるげで。
「お邪魔してます」
ユノオッパは相変わらずとっても素敵。
私もいつかユノオッパみたいな素敵な男の人とお付き合いする日がくるのかしら。
そんな日が来たら、きっと。
チャニョルはまたあんな顔、するの? そう思った瞬間。
胸が痛く、なった。