BAD DICTION
というバンドを組んでいました。
このバンドである時初めて『音と一体になる』体験をしました。
いや、確かにこれだけじゃ読んでる人がまだピンときてないの分かります。でも、ほんとに一瞬そう感じたんです。自分の身体が音に溶けて前に流れていったんです。
10年以上前の出来事ですが、感覚としてもはっきり覚えてます。
確かスプリットかフルアルバムのレコ発で、今はなき恵比寿MILKでのライブだったと思います。
途中加入してライブしまくって間もなくレコーディングをして、しかしまだパンクやハードコアの精神性に心がいきなり追いつくはずもなく、裏では相変わらず大好きな椎名林檎やキャプヘジを聴いてた時期です。
その時のライブはセトリ6〜7曲ぐらいだったと思います。対バンもパンクスばっかで、俺が最近サポートしたBUTT-REDもいて、ハコ全体がものすごい暑かった。お客さんの間を縫ってちょっと動いただけでハァハァ言ってました。
そんな中でステージ上がって、子犬みたいな俺はちょっとしたトランス状態(酸欠)でした。知り合いも来てくれてテンションは上がってましたが、当時人見知りだったので表立って出せませんでした。なんかはしゃいでると恥ずかしかったので。
んで、問題の曲。
『NEO RUDIES REVOLUTION』
♪ズータンズズタン!ズータズーズタン!
のいわゆる速い4ビートで押せ押せのパンク曲。
(声に出したら分かります)
その曲のアウトロでボーカルが台詞を叫びながら
♪ズン、タン、ズズタン、ズンタズン、ズタン
とハーフテンポになるんですが。
どうしてもこんな感じとしか言い表せない画像検索能力と語彙力の無さを恨みたいんですが、
爆音が耳の周りで鳴ってるはずなのに、まるで耳を両手で塞いでるように遠くで鳴ってるみたいに聞こえる
でも何の音が鳴ってるかは音階も音質もはっきりクリアに聞こえる
頭では何も考えられない
身体は勝手にエンディングに向けて叩き続けてる
という、身体の細胞が溶けて音の振動に乗って空間に撒き散らかされるんじゃないか、という感覚に陥りました。
驚きでした。あの時だけは自分が自分じゃなくなったみたいで、このライブが終わった後またちゃんと人間として生きられるのか不安に思いました。ライブ終わったら俺溶けてない!?とかほんとに。
もっと言えばディズニーのスペースマウンテンで光るレールの外に飛び出した演出より驚きました。衝撃すぎたので後にmixiの『音楽でトリップした事のある人』コミュニティに参加した記憶があります。これ言う必要ねえな。
ともかく生まれて初めての感覚でした。
それ以降、まだ2度目を味わっていません。
誰か他にも同じような体験を味わった事がある人がいたらご一報下さい。新宿で飲みに行きましょう。
そして、
結成当初から約4年経ち、色々考え抜いて変わり続けました。
ここから脱退します。
もし仮にも万が一、誰か俺目当てでラスドロ応援してくれてた人がいるなら本当悪い事したと思います。
ただ、俺は俺の心に忠実に生きたいです。
日本では『他人に迷惑をかけちゃいけない』と教えられますが、
インドでは『生まれた時から誰かに迷惑はかけている、その分他人を許しなさい』と教えられるそうです。
ごめんなさい。だったら俺インド人かもしれないです。
俺の心が動けと言ってるので、また新しい道に進路を進めます。
出来る事ならもう一度、身体が音に溶ける体験が出来ますように。
読んで頂いてありがとうございました。
DxSxK