史料を鵜呑みにできない理由…『吾妻鏡』はなぜ畠山重忠を特別扱いするのか | 現役大家さん、現役投資家の生の声を聞かせます。

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史料を鵜呑みにできない理由…
『吾妻鏡』はなぜ畠山重忠を特別扱いするのか

他にもひとかどの御家人があまたいる中で、なぜ彼の行動や内面だけをじっくりと描写し、鎌倉武士の代表として語るのか。

もちろん、重忠が大力で廉直で、周囲の敬意を集めた人物であったのは疑いのないところでしょう。でも、それだけではない。彼は北条父子が決裂する事件の当事者だったのです。北条義時は父の時政を追放し、幕府の主導権を奪取した。けれども、当時の通念からすると、父への反逆は大罪です。義時以降、連綿と幕府のあるじとして君臨する北条氏の覇権が、父の追放から始まるのは、まことによろしくない。

そこで『吾妻鏡』は工夫しました。畠山重忠を持ち上げました。重忠が立派な武士であることを殊更に強調し、慎重に伏線を張っておいたのです。その重忠を、「かくあるべき御家人の生き方」を体現してみせる彼を、なんの咎もなく、北条時政は謀殺してしまった。時政は私欲にとらわれ、大きな過ちを犯した。だから、子息の義時に背かれても致し方ない。義時は父を犠牲にして、「かくあるべき御家人の生き方」を守護したのだ。さあみんな、安心して我らがリーダー、北条氏についていこう! そういう物語を作ってみせたのではないでしょうか。

話は変わります。私は本を書くとき、必ず「みなさんのご意見・ご感想をお聞かせ下さい」と記します。読者の生の声を聞かせていただき、研究に役立てようと思うからです。すると先日、戦国時代研究者Aさんから長いお手紙を頂きました。それがもう、敵意の塊、罵詈(ばり)雑言の嵐。人はこんなにも他人を罵(ののし)れるんだな、と感心してしまうほど。ただし、悪口の多彩さに比して、Aさんの主張自体はいたって単純。「本郷の織田信長理解は誤りだ」「なぜ誤っているかといえば、『信長公記』に準拠していないからだ」の2つのくり返し。

ですから、反論も簡単明瞭。『信長公記』って、そんなに完全無謬の史料なのでしょうか? これに尽きます。太田牛一なる人物が、過去を回顧して叙述した。その時々のメモに基づいているにせよ、一個人がまとめた書物にすぎません。これに対して『吾妻鏡』は鎌倉幕府の正史です。幕府に代々吏僚として仕えた人々が中心になって組織的に、多くの文書や貴族の日記を材料として歴史を編纂した。『信長公記』と『吾妻鏡』、どちらが史料的な価値が高いかと問われれば、私は躊躇なく『吾妻鏡』と答えます。その『吾妻鏡』ですら、うっかりミスがある。加えて畠山重忠の一件の如く、意図的に筆を曲げることがあるのです。

たとえば有名な桶狭間の戦い。本コラムで以前言及しましたが、『信長公記』はこの戦いが天文21(1552)年にあったとしている。実際には1560年の事件ですから、8年ものズレがある。今川義元は4万5千の兵を率いていた、とある。これもあまりに誇大で、実数は多くて半分でしょう。もうこれだけで十分です。『信長公記』にだって、明らかに誤りはある。金科玉条と奉るわけにはいきません。

それを踏まえて、では『信長公記』をいかに用いるか。歴史像の構築にどう役立てるか。それは研究者が「仲良くケンカする」。一定の節度をもって論争していくしかないのです。この意味で、他人をひたすら罵倒しまくるAさんは、研究者には不向きかもしれませんね。


■桶狭間の戦い、その後
戦国時代には、主人の勘気にふれると逐電し、私費で戦場に出て手柄を立て、それをもって罪を許してもらう、という「武士の作法」があった。若年の頃、前田利家は信長の激怒をかっていったん浪人し、桶狭間の戦いに参加。首3つを取ったが、なお許されなかった。彼が織田家に帰ったのは、その1年後という。


【プロフィル】本郷和人 東大史料編纂所教授。昭和35年、東京都生まれ。東大文学部卒。博士(文学)。専門は日本中世史。



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