2年前の今頃、”安心予後”計画と言うブログを書きました。

 
それは、

安楽死の是非が盛んに議論される一方で、どうしたら神経難病患者が安楽死を考えずに生を全うできるかという議論はほとんど無く、有っても表面的な空虚なものばかりで、自分を含む神経難病患者が辿る予後(秒読みの余生)を、「どうしたら安心して生きられるか」を深く考えさせられた時期でした。

 

ブログを通じて親しくさせて頂いていたALSの千代さんとゆうきちさんが亡くなられ「ALSで逝かれた千代さんのメッセージ」「ゆうきちさんへの手紙」、ゆうきちさんとの体験は、我々神経板病患者に「次」は無いと言う教訓となり、千代さんの最大限の情報収集をして、様々な工夫を凝らした前向きな生き様に大きな影響を受けました。

 

そこで、神経難病患者である私が、今、何かをしなければ、神経難病患者が安心して生きられる社会にはならない、と考え、”安心予後”計画で、

  1. 福祉制度に関する、地域に縛られない横断的な情報提供
  2. 予後後半戦(車椅子もしくは寝たきり生活)における、介助・介護制度の改善
  3. 神経内科医の意識改革

をテーマに掲げました。

  • 自分自身の経験から、漠然とした不安を解消するには、神経難病患者の明日に向けた様々な病状の変化とそれぞれの対応策の情報が、自然と耳目に入る制度の必要性
  • 自分が寝たきりになって、生の全てを人に委ねなければならなくなった時に、なるべく家族の負担を減らせる制度の必要性
  • 余命宣告をするだけではなく、その後の精神面を含めたケアの必要性
を元に考えたものでした。
 

それに賛同してくれたのが、一緒に神経難病の情報交流サイトを立ち上げてくれた、Webスキルの高いpacoさんでした。

 

お陰で、”安心予後”計画のブログから1ヶ月弱というスピードで『神経難病”安心予後”プロジェクト』を立ち上げることが出来ました。

各方面との意見交換を踏まえて、前述のメインテーマもより具体的に以下としました。

 

活動開始後は、参考になりそうな資料や関係者との意見交換記録を掲載したり、色々な方々に他の神経難病患者およびその介護者の参考になりそうなコラムを書いて頂いたりしてきましたが、病気の進行もあってそれ以上の活動は出来ずじまいで、忸怩たる想いを抱え続けてきました。その間にメンバー数は189名になりました。

 

上記のテーマからは外れますが、「特定医療費支給認定更新」と言うブログを書いたところ、同じような疑問や不満を持っていたという方々が大勢居られることが分かり、それではオンライン署名活動をしてみようかと言うことになりました。

これと並行して、署名サイト(change.org)の方のアドバイスに従い、これまたブロ友さんの伝手を辿って、厚生労働副大臣と面談をアレンジしました。

言葉にすると簡単そうに聞こえますが、慣れないことばかりで各方面と相談しながら長い道のりを全力疾走した感じでした。(これはあくまで健常者の例えで、実際は走ることはおろか歩くことも出来ません。為念)

 

その結果は、厚生労働副大臣に要望書を手交に記載した通りで、構音障害で話が出来ない私をchange.orgの方と家内とで補ってくれて、何とか2通の要望書を手渡すことが出来ました。これもご協力くださった皆様のお陰です。有り難うございました。

 

伊佐厚生労働副大臣からは、事前に配布してあった要望書のコピーにラインマーカーを引いたものを見ながら、「以前より自分の元にも「特定医療費受給申請」の負担軽減を求める声が沢山寄せられていたので、この要望書をうなずきながら読ませてもらった。想いは重々理解しているので、デジタル化を通じて難病患者の申請時の負担を少しでも減らして行く方向に、厚労省としてしっかり取り組んでいきたい。」と力強いお言葉を頂きました。

また、厚労省健康局難病対策課の簑原課長からも、「副大臣のご指示もありましたので、難病患者さんのご負担を軽減するべく、できるだけデジタル化を進める方向性で、政府部内、関係者との調整を行い、難病患者の方、そのご家族のご負担が少しでも軽くなるように努力したいと思います。」との意思表明を頂きました。

 

しかし、病気の進行もあって、全身全霊を賭して臨んだ面談の代償は重く、当日の面談は勿論のこと、その準備や対外交渉に気力も体力も使い果たしてしまいました。

 

事務局のメンバーとも相談した結果、これ以上『神経難病”安心予後”プロジェクト』を続けていくことは困難との結論に至りました。

 

SAY-プロジェクトの活動方針として掲げてきた、

  1. 「緩和ケアに神経難病を含めること」については、微力ながら要望書で一石を投じることが出来たかも知れません。
  2. 「重度訪問介護」については、ALS患者でもある太田守武医師が理事を務めておられる「NPO法人Smile and Hope」「全国障害者介護保障協議会 自薦ヘルパー推進協会 全国広域協会」などが、課題解決に向けて現在も活発な活動を続けてくれているので後を託そうと思います。
  3. 「情報提供窓口」については、緩和ケアチーム体制が整うことでかなりの部分解決するように思います。神経難病の情報交流サイトも少しはお役に立っていれば幸いです。

そして、追加で行った「指定難病医療費助成制度 更新手続き簡素化」の活動については、一般社団法人 日本難病・疾病団体協議会の辻常務理事に託しつつ、個人的に推移を注視し、必要なら今回お近づきになった政治家やメディアの方々のお力をお借りしようと思います。

 

『神経難病”安心予後”プロジェクト』を応援頂き有り難うございました。署名活動にご賛同頂いた方にも感謝を申し上げます。

そして偉そうなことをぶち上げたのに、大した活動も出来ずに申し訳ありませんでした。

 

活動を停止しても

『神経難病患者が安心して予後の生活を送れるように』

心から願っていることは変わりません。

 

最後に、この活動のみならず私の生活自体を、嫌な顔一つ見せずに支えてくれている家内に感謝を込めて、この投稿を締めくくらせて頂きます。

 

尚、神経難病の情報交流サイトは今後もご利用頂けます。