やっぱりSPA!が好き! | 伽藍の堂

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ぽっかり空いた心のすき間を満たすために

ちょっと前のことだが、Twitter 上で岩上保身氏を中心にジャーナリストたちがしきりに「週刊ポスト」を誉めていた。上杉隆氏の「官房機密費マスコミ汚染問題」などタブーに踏み込んだ取材方針が素晴らしいというのだ。

僕は素直なので?ここに二週間連続で購入して読んでいる。

確かに、機密費問題や、いろいろ知っていることを報じないマスコミにプレッシャーをかけることは悪いことじゃない。でも期待していたような物事の核心に迫る様な充実感を感じ無いのはなぜだろう?

たぶん大方の読者は、政治のウラの世界では不可解なお金が動いている、そしてその事実(中身ではなくて)はマスコミも知っていることを薄々感づいていたけど、政権の交代とともに取り上げる隙ができたから表に出たと感じていると思う。あ、一般化してはいけないね。僕はそうだ。

機密費問題も行政の無駄な支出の検証に端を発した話だと思うが、「え、そんなたくさんのお金を使っていたんですか!」という「家計の苦しい庶民」が「行政=悪者」を糾弾するという単純過ぎる図式・論法からはいい加減離れるべきだ。本来なら総理大臣だって、市長だって、公務員だって、国や地方行政の加持をとる重要な仕事をしているのだからそれに相応しい収入を得るべきだし、それは少なくてはいけないはずだ。仕事に見合わない待遇だから不正が生まれる土壌ができる(ところもある)と考える僕は単純過ぎるだろうか。

目に余る無駄、或いは意図された不正なお金の授受はもちろんいけない。だけど、創造、新しい事業、試みには一見無駄にみえる投資も必要なはずだ。何も生まれなければ試行錯誤はまさに無駄な行為に見えるかもしれない。でも成功が万に一つでも実現することをポジティブな試行錯誤と考える、「夢」が見る余地のある社会じゃなかったら、つまらなくない?人の良いところより、悪いところをチェックする世の中になったらやだよ。ポストの記事には「日本総チェック世論」に迎合した匂いがして、ちょっとイヤ。

その点、SPA! の最新号はよかった。
ノンバンクとの不正取引で逮捕された木村剛氏について、「木村=悪人」という一方的なマスコミ論調を牽制する記事を書いているのだ。

「毎日、夜中に帰社し、それからデスクワークを黙々とこなしていました。会社のだれよりも働いて、"中小企業のオヤジ"みたいな雰囲気でした。確かにワンマンな部分はあったけど、部下の話もちゃんと聞くし、自分にも厳しかった。『メールを消せと指示した』とか、正直信じられないんです」

接点のある人々の証言によると、木村氏および振興銀行の評判は必ずしも悪い物ばかりではない、という。

取材のスタートにあたり、こういう周囲の証言は見過ごせない。詳しくは読んで欲しいけど、報道に求めたいのは、横暴、乱暴、凶暴な世論が無視してしまうような情報を拾い上げて出してくれること、移ろい易い世論に迎合する商売は程々にすること。そうすれば、会ったこともないひとを叩きまくる前に、立ち止まることができるだろう。ぼくも。

SPA!はいつも世論に柔らかいカウンターを送っている。
勝つことがその目的ではなく、まあ、そうカッカしないでちょっと考えて見なさいよ~、と言われているようで、僕は好感。

あ、ポストはエロ記事の方が秀逸でした。
表紙も、栗山千明、綾瀬はるか、と続いているしね(笑