このように、『良心の危機』には、前回書いたとおり「統治体」の立場にあったこの欧米出身の老人たちの一団が、
・兵役拒否の教えについての露骨な二重基準(それにより引き起こされた多くの兄弟たちの無駄死に)、
・血液製剤についてのあまりに無責任で杜撰な教え(それにより引き起こされた多くの兄弟たちの無駄死に)、
・そして、性的関係について繰り返された異常で詳細な指示(それにより引き起こされた多くの兄弟たちの家庭破壊・人格破壊)
これらにより、いかに人の人生を破壊し、ある場合には無数の人の命そのものを無為に奪い続けていた、戦慄の記録が具体的かつ克明に記されていました。
これらの事実の暴露は、確かに「エホバの証人組織の実態」を考えるうえで、極めて重要な情報です。
もっとも、『良心の危機』が書かれた趣旨は何かという観点から言えば、
これら具体的で深刻な問題は、結局のところ、前々回に書いた内容にすべて帰結するようにも思います。
それはつまり、自ら「統治体」・「忠実で思慮深い奴隷」・「地上における唯一の神の経路」と名乗る欧米系の老人たちの集団が、こうした何百万という兄弟姉妹たちの人生、そして彼らの生命そのものに直結する問題について、ほかの誰にも知られないような本部べテルの密室で聖書も開かず祈りもせず、その時その時の人間的感情で極度に無責任かつ著しく適当な方法で物事を決め、それにより、人を徹底的に縛り人生を取り上げるとんでもない教理が1世紀以上にわたって世界中の誠実な信者の人生や命を奪ってきたということであり、
いうなればこの事実にすべてが包含される内容であるように感じます。
したがって、『良心の危機』の総括的感想を述べるならば、この、
①エホバの証人の統治体がいかに不誠実で信じられないほどに適当にエホバの証人全体に指示を出しているのか、その実態を赤裸々に具体的に暴露した
という点が、この本の最大の貢献の一つであると、私は感じました。
また、この本の最大の貢献のもう1つは、
②1914年についての教理が全くの誤りであり、しかもその事実を統治体全員が認識していたことを暴露したこと
であると感じます。
そして、多くのエホバの証人関係者にとっては、まさにこの「②」の点こそが、決定的に重要であり、私個人にとってもこの事実が、エホバの証人との関係を清算する最後の、しかも、最大の要素になりました。
この、②の点について『良心の危機』が何を述べていたのか、
その述べる内容から自分が何を学び取ったのか、
次回に書きたいと思います。