闇麻のマミヤ 第2話 感想 ~闇の用法、闇の容量~ | ツェーイーメン ~福本漫画感想日記~

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前回、マミヤの「闇麻」第2戦が開幕。
 
アイドルグループ「幕末男気組」の奴隷契約と借金3000万円の帳消しを賭けて、マミヤと芸能社長・鬼頭のサシ勝負となりました。
 
しかし・・・勝負当日、マミヤはまさかの大遅刻。
さらに事故によって電車も不通というアクシデントに見舞われました。
 
痺れを切らした鬼頭は、治が代走を務めることを強要。
治としてはマミヤ到着までの繋ぎとして、無難に局を回したいところでしたが・・・初っ端の東1局で鬼頭の部下、乃木に9600点の放銃。
 
勝負は早々に波乱の色を呈しました。

マミヤはタクシー乗り場へと駆け付けますが、そこには順番待ちの列が。
一刻も早く参戦せねばならないのに・・・悉く不運ですね・・・。
 
仕方ない・・・人に与えられる一日の運容量が平等だと仮定して、勝負前にマイナス分を使い果たしたと考えておこう。
 
 
一方、現場では勝負再開。
東1局でリードした鬼頭社長は、上機嫌でリードの拡大を宣言しました。
 
ちなみに、鬼頭の読みは「きとう」だと勝手に思っていましたが、今回は「おにがしら」のルビが振られていました。
 
 
ここで戦況とルールの確認
東1局終了
 
南家・治 15400点
西家・高杉 25000点
北家・鬼頭 25000点
東家・乃木 34500点
 
・半荘1回勝負
 
・切る牌が危険だと思った場合、1000点を場に供託することで裏向きに伏せて切ることが可能。
これを「闇」と言う。
 
・相手はその牌を知りたい場合、倍の2000点を供託することで表向きに開けさせることが可能。
これを「闇返し」と言う。
 
・切った側は、さらに倍の4000点を供託して開けずに伏せ切ることが可能。
これを「完闇」と言い、相手はもう開けることが出来ない。
 
・闇、完闇で切られた場合でも、相手はロンを宣言することが可能。
(完闇宣言牌でのロン和了は、通常の和了点の2倍となる。)
 
・供託された点棒は、その局が流れた場合は次局に引き継がれる。
 
・2vs2の構図、下家にサシコミ要員を置くことが可能。
 
・ただし闇を行えるのはサシ馬の二人だけ。

 

 

場は東1局1本場

鬼頭の部下、乃木の連荘です。

 

取り敢えずマミヤとの連絡が取れた以上、治がすべきことは時間稼ぎ。

マミヤが到着した頃には既に手遅れという事態だけは避けねばなりませんね。

 

駅からの距離的に、あと2,3局凌げばお役御免。

欲を言えば点棒を挽回したいですが、気が逸ってさらに失点しては元も子もありません。

 

実際はマミヤがまだタクシーに乗車できていませんから、下手をすると南場突入までズレ込む可能性もあります。

治には、アカギでの浦部戦をなぞるような一定の奮闘が求められますね。

 

治の配牌はこちら。

 

二筒四筒九筒二萬三萬四萬六萬一索三索五索六索六索北

ドラ二筒

 

まずまず、悪くないですね。1メンツにアタマもあります。

端牌を整理しているうちに早い巡目で纏まる可能性も見える。

サシ馬の鬼頭とは9600差ですがまだ東1局、焦らずメンタンピンを目指したいな。

 

基本的には守備重視のスタンスで挑んでいる治ですが、ツモ運は好調。

 

6巡目にしてタンピン三色ドラ1のイーシャンテンと成りました。

 

二筒三筒四筒四筒二萬三萬三萬四萬三索四索五索六索六索 二索

何という鬼引き・・・!

三色は高望みかと思いましたが、早くもここまで持ってきたか。

 

しかもこの手、テンパイへの受けは

一萬二萬三萬四萬伍萬一索二索三索四索五索六索七索

の大量12種。

 

三色を確定できれば、リーチを掛けて逆転まで見えてきます。

仮にそこまでは膨らまずとも、一つ和了って流れを引き戻したいですね。

しかし・・・やはり運とは揺蕩うもの。

 

受けの広さに反して治の手は停滞し、場は10巡目。

 

優勢なだけにもどかしい。

しかしその焦燥を刈るかの如く、博打の流れは治に最も恐れていた事態を突き付けます・・・

前局でのリード、そして何よりもマミヤの遅刻、やはり大局的に見て流れを掴んでいるのは鬼頭側か。

 

鬼頭は乃木を一瞥すると、乃木は一瞬の間を置いて九筒を切り出しました。
 
意味深なアイコンタクトですが、リーチ即サシコミではあらず。
 
という事は・・・恐らく乃木は鬼頭のロン牌を抱えてはいるものの、敢えてサシコミを自重したと見るべきか。
その場合、鬼頭としては治が危険牌を掴んだなら、これ以上の失点を防ぐために闇を宣言すると踏んでいるのでしょう。
 
闇なら1000点、完闇ならプラス4000点が供託されますから、その宣言後に乃木に差し込ませれば、ここで差し込むよりも治とは±5000点、1万点分の差を付けることが出来ます。
一発役は捨てたことになりますが、闇を引き出せればお釣りが来る。
何よりも治の点棒をへこませられる事が心理的にも大きいな。

 

もちろん憶測ですが、非常に効果的な戦略であることは間違いない。
前回、鬼頭は飲み込みが早いことを自慢していましたから、いきなり応用的な戦法に出た可能性は十分にあります。
 
 
しかしアカギの言葉を借りるなら、優勢と勝利は似て非なるもの。
 
治の受けの広さが「リーチ」というひとまずのゴールに対して優勢ではあっても後れを取ったように、鬼頭が如何なる策を弄していても今局の和了に結び付くとは限らない。
 
事実、治がこれほど好形の手を育てているとは予想していないでしょうし、仮に闇を引き出す為のサシコミ回避だとすれば、既に和了っていた手を見送っている事になります。
 
いわばカイジのティッシュくじ引きにおいて、会長の使った1巡延ばし。
クレバーを装ってはいるものの、優勢に驕って相手を見下しているのです。
何よりも大事な今現在において、心理に隙があるのは鬼頭・・・一見して不利に見える治にも、勝っている点があるのかもしれない。

 

とにかく優勢、劣勢は目に見える部分だけでは決まらない。
 
 
治としては絶対に振れませんが、この手を降りるのは余りにも弱気過ぎる打ち筋。
勝負の流れを左右する二律背反に悩んでいると・・・
治 張る!
 
まるで魅入られたかのようなタイミングでのテンパイですね。
 

二筒三筒四筒二萬三萬三萬四萬二索三索四索五索六索六索 四索

 

しかも三色が確定される最高の四索引き。
三萬切りで三索六索待ち、タンピン三色ドラ1の満貫テンパイです。
 
問題は三萬鬼頭に通るかどうか。
かなり不穏な流れだけに、ここは慎重を期したいですね。
 
鬼頭 捨て牌
西一萬北三索九筒二索
東四筒八索六萬

 

リーチ宣言牌の筋・・・基本的には安牌ですが、二萬四萬六萬からの六萬切りなど、筋ひっかけの気配も匂います。

前局も七対子の西単騎に振り込んでいますし、相手は出和了重視の打ち回しかもしれないな。

 

気味の悪さは漂いますが、ここで安牌の二索三索を切って降りるようでは話にならない。

しかし、絶対に振り込めない。

 

治の出した結論は・・・

東1局ではありますが、ここは勝負所。
 
治は闇を宣言しますが、リードしている鬼頭は当然のごとくノータイムで闇返し。
リスク回避も束の間、治はさらに追い込まれました。
 
プラス4000点を供託すれば完闇できますが、そうなれば闇と合わせて5000点。
鬼頭もリーチを掛けていますから、敵に塩を送っただけとなる恐れも十分にあります。
 
治はサシコミの保証もない単なる両面待ち。
回収の確信が持てない以上、普通に考えればこれ以上の供託は自重すべきですね。
 
そもそも、この局でさらに危険牌を引き入れる可能性も十分にあります。
その度に支出を繰り返して行ったなら・・・
ですから基本的には点棒に余裕がない側ほど、闇の行使には慎重になるべきですね。
 
今回の場合、鬼頭は9600点リードしている状況ですから、闇返しで2000点を払っても供託の差は1000点。
治がロン牌かもしれないと恐れている訳ですし、悩む場面ではありませんでした。
 
つまり、治としては闇を宣言すれば返されるのは当然と予期しておくべきだった。
 
仮にサシコミ態勢が整っており、鬼頭から闇返しを誘発して2000点を奪いに行ったのであれば分かりますが、実際は違う。
事実上、普通に切るか完闇の二択だった訳です。
 
しかし、治に完闇まで行う覚悟はありません。
リーチ宣言牌の筋という読みがある以上、この程度のリスクで宣言をしていたら破産まっしぐら。
 
完闇は読みも通じないような、もっと厳しい危険牌でこそ使うべき・・・
そして治は決断しました!
うぅ・・・これは・・・やってしまったか・・・?(◎_◎;)
 
仮に通ったにしても、闇に使った1000点が勿体ないな。
和了りきって鬼頭の2000点を余分に浚える可能性もありますが、それは狙った訳でもないので結果論。
状況を鑑みれば愚策だと思えて仕方ない。
 
前述のアイコンタクトも然り、この局も主導権を握っているのは鬼頭側ですね。
非常に流れは厳しい。
治には立て直して欲しいですが、正直覆すのは難しそうなだけに・・・一刻も早いマミヤの到着が待たれます。
 
 
・・・が、
その頃、マミヤは依然としてタクシー乗り場で並んでいました。
 
前に残るのはおじいさん一人ですが、マミヤは何か閃いたのか・・・突然じゃんけんを仕掛けました!(゚Д゚;)
理不尽な割り込みに戸惑うおじいさんですが、予定を尋ねると今から一杯呑んで帰るところとの事。

マミヤはその100万倍急いでいることを告げると・・・
 
ありがとう!
チョロいな!w(;'∀')
 
確かにこれは女性主人公にしかできない展開ですね。
しょうがない・・・のか?w
 
取り敢えず治にとっての地獄が短縮されそうで何より。
気掛かりなのは、ジャンケンの勝利で折角貯めていた幸運を使ってしまった事かな。
 
しかし鬼頭社長は中々の切れ者らしいですが、マミヤと対等に戦えるだけの格やオーラは感じません。
今回の勝負自体、治によって作られたマイナスを主人公のマミヤが華麗に挽回、そして大逆転する、この漫画のひとまずの基本路線を確立するエピソードでしょう。
 
あと数か月は治の奮闘が続く様子ですが、それもマミヤの無双描写を引き立たせる大事な前振り。
少しずつ伏線も張られていますから、闇麻の奥深さに踏み入る展開が楽しみですね。
 

・近代麻雀 2019/9月号(2019/08/01発売号)より。

・麻雀牌画・・・「雀のお宿」より。