今月の表紙はドヤ顔で打牌するマミヤ・・・!
・・・ですが、勝負の卓に着くにはまだ暫くかかりそうですね。
現在、タクシーで移動中のマミヤは胸騒ぎを覚えていました。
結構一人相撲
現在、急遽治が代打ちを務めていますが・・・マミヤは普段の打ち筋から重大な欠点を見出していました。
それは、場の変化や相手の狙いに対して鈍感なこと。
一度決めつけると途端に視野が狭まる傾向にあり、勝負師としては柔軟性に欠けるのです。
その悪癖が露れたなら苦戦は必至。
マミヤの預かり知らぬうちに、おおよその大勢が決せられる可能性もあります。
憂慮は増す一方。
とはいえ、今は治に持ちこたえてもらう他にありませんね。
勝負は早くも正念場を迎えています。
東1局1本場
ドラ
南家・治 14400点+供託1000点(闇1回)
西家・高杉 25000点
現・不明
北家・鬼頭 22000点+供託3000点(リーチ・闇返し1回)
現・不明
東家・乃木 34500点
前回、好配牌を引き入れた治は、11巡目の切りでタンピン三色のテンパイ。
鬼頭のリーチを考慮して闇を宣言しますが、闇返しを受けてオープンしました。
供託の浪費を避ける選択でしたが・・・
お・・・セーフか。
嫌な流れでしたが最悪は避けられた。
普通に読めば十中八九通る牌と言えます。
鬼頭は嘲笑いながら、弱気の打ち筋を揶揄。
この程度のリスクすら勝負できないようでは、現物以外は切れないと宣言しているようなもの。
闇を幾ら使ってもキリがありません。
治はふと過った嫌な予感に従っただけと反論しますが、それは余りにもオカルト。半端な憶測です。
全くもって鬼頭の言う通りですね。
前回の繰り返しですが・・・鬼頭は既にリードしていますから、供託に対する抵抗やリスクは治よりも少ない。
張っているなら、切り出された闇牌を覗くのは当然です。
ですからセオリーからすると、治としては普通に切るか、完闇の二択。
追い込まれた終盤ならともかく、まだ東1局ですから無駄な1000点を差し出し、挙句に勝負するのは愚策ですね。
しかしこの麻雀は競技ではなく博打。内容ではなく結果が全て。
エラーを犯しても、結果的に失点しなければそれで良い。
ミスは割り切って切り替えることが肝要ですね。
悪手に思われた闇宣言からのオープンも、鬼頭から闇返しを引き出し2000点を増収させた妙手に変貌します。
サシ馬からの点棒ですから実質4000点、これは大きいですね。
ここからは二人の自模り合い。
次巡の鬼頭はをツモ切り、和了成らず。
しかし・・・
即ちこの手を曲げることは、渇望していた成功への道を自ら閉ざすこと。
何としても真っすぐに成就させたい。
治の肚は決まったようです。
切りで闇を宣言すると・・・
更にはすかさずリーチ・・・!(;゚Д゚)
まさかの大博打に出ましたね・・・。
私には真似できない選択だ。
完闇!!
苦渋の決断ながらも、完全防御を決めました。
ある意味では初志貫徹。
鬼頭としては、ぶれない姿勢を先ほど勧めたばかり。
治の思い切りを評価しますが、それは余裕のある裏返し。
これは・・・想像しうる中での最悪に近い展開ではないだろうか。
治は博打の熱によって、完全に我を失っていますね・・・。
まずこの勝負は治と鬼頭のサシですから、相手の点棒を削るのが第一目的。
うま味があるのはサシコミよりも直撃かツモです。
ですから、鬼頭がサシコミ体制を整えながらも場を回しているとすれば、その狙いの一つには治の供託待ちがあるはずです。
治は捨て牌のスジであるにすら闇を使いましたから、リーチのプレッシャーがあるうちは更に使うことが予想できます。
この場合、鬼頭としては難しいのがサシコミのタイミング。
闇の供託を待って引っ張りすぎては裏目に出る可能性があります。
つまり、治はダマテンであればその驕りの虚を突いた和了もあり得ました。
ご丁寧にもリーチを掛けたことで、図らずも鬼頭に手仕舞いすべきタイミングを教えてしまったのです。
それも更なる供託4000点のおまけ付き。
決め手となったのも勝手に人生と麻雀を重ねたオカルトですし、今回の打ち筋は擁護できない点が多いな。
自己の希望的観測に執着するあまりに、相手の真意を見失ってしまう。
要はマミヤが危惧した通りの悪癖が露出してしまった。
一つずつは些細なミスですが、ここまで数が重なっては局を制するのは難しいですね。
恐らく、次巡で鬼頭は乃木に差し込ませることでしょう。
その手が仮に1飜だったなら、治が7000を差し出したことで事実上の満貫。サシコミを自重させたことが大きな成果を生んだこととなります。
治としては痛恨。いわゆる闇破産によって東1局ながら8600点まで追い込まれることとなります。
下家の高杉がここで和了牌をツモってきたり、鬼頭がロン牌を掴む可能性はありますが、この展開的には期待薄。
全てはマミヤの実力を引き立たせるための前振りとは分かっていますが、治とて激戦を経験したベテランですから意地を見せてほしいところですね。
ちなみに今回は第3話ですが、アカギに倣って「EPISODE3」の表記が成されていました。今後も統一されるものと思われます。
※近代麻雀2019年10月号 (2019/09/01発行号)より。