闇麻のマミヤ EPISODE3 感想 ~牌姿に浮かぶ胡蝶の夢~ | ツェーイーメン ~福本漫画感想日記~

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今月の表紙はドヤ顔で打牌するマミヤ・・・!

・・・ですが、負の卓に着くにはまだ暫くかかりそうですね。

 

現在、タクシーで移動中のマミヤは胸騒ぎを覚えていました。

結構一人相撲

 

現在、急遽治が代打ちを務めていますが・・・マミヤは普段の打ち筋から重大な欠点を見出していました。

 

それは、場の変化や相手の狙いに対して鈍感なこと。
一度決めつけると途端に視野が狭まる傾向にあり、勝負師としては柔軟性に欠けるのです。

 

その悪癖が露れたなら苦戦は必至。

マミヤの預かり知らぬうちに、おおよその大勢が決せられる可能性もあります。

 

憂慮は増す一方。

とはいえ、今は治に持ちこたえてもらう他にありませんね。

 

勝負は早くも正念場を迎えています。

 

東1局1本場
ドラ
(裏裏=不明 裏=闇牌)
 
南家・治 14400点+供託1000点(闇1回)
二筒三筒四筒二萬三萬四萬二索三索四索四索五索六索六索
北九筒白一索六萬四筒西九索北七筒三萬

三萬=闇→闇返し

西家・高杉 25000点
現・不明
東白發九索七索西八萬一萬一萬一索二索
 
北家・鬼頭 22000点+供託3000点(リーチ・闇返し1回)
現・不明
西一萬北三索九筒二索東四筒八索六萬
東家・乃木 34500点
裏七萬八萬八萬九萬二筒五筒五筒七筒七筒裏裏九索
五索南七索二索西白四索裏裏六筒九筒南
 
 
前回、好配牌を引き入れた治は、11巡目の三萬切りでタンピン三色のテンパイ。
鬼頭のリーチを考慮して闇を宣言しますが、闇返しを受けてオープンしました。
 
供託の浪費を避ける選択でしたが・・・
お・・・セーフか。
嫌な流れでしたが最悪は避けられた。
 
とはいえ、三萬は鬼頭のリーチ宣言牌六萬のスジ。
普通に読めば十中八九通る牌と言えます。
 
鬼頭は嘲笑いながら、弱気の打ち筋を揶揄。
この程度のリスクすら勝負できないようでは、現物以外は切れないと宣言しているようなもの。
闇を幾ら使ってもキリがありません。
 
治はふと過った嫌な予感に従っただけと反論しますが、それは余りにもオカルト。半端な憶測です。
全くもって鬼頭の言う通りですね。
 
前回の繰り返しですが・・・鬼頭は既にリードしていますから、供託に対する抵抗やリスクは治よりも少ない。
張っているなら、切り出された闇牌を覗くのは当然です。
 
ですからセオリーからすると、治としては普通に切るか、完闇の二択。
追い込まれた終盤ならともかく、まだ東1局ですから無駄な1000点を差し出し、挙句に勝負するのは愚策ですね。
 
しかしこの麻雀は競技ではなく博打。内容ではなく結果が全て。
エラーを犯しても、結果的に失点しなければそれで良い。
ミスは割り切って切り替えることが肝要ですね。
 
とどのつまり、治はこの三索六索待ちを和了れば逆転。
悪手に思われた闇宣言からのオープンも、鬼頭から闇返しを引き出し2000点を増収させた妙手に変貌します。
サシ馬からの点棒ですから実質4000点、これは大きいですね。
 
 
ここからは二人の自模り合い。
 
次巡の鬼頭は南をツモ切り、和了成らず。
しかし・・・
前回に続いて、またも部下の乃木がサインを送っていますね・・・(・・;)
 
鬼頭が取り合わなかった事からも、やはりサシコミを見送ったことが濃厚。
改めて、和了への猶予は残り僅かです。
 
それだけに一発で引き入れたい所ですが・・・治のツモは四索
不要牌ですが、この四索は鬼頭がリーチ直前に切った八索の裏スジです。
 
例えば六索八索のカンチャン待ちのところに五索を持ってきたなら八索切りでの四索七索待ち。
両面受けに入れ替わったからこそのリーチとも読めますし、四索は前巡の三萬とは比較にならないほどの超危険牌ですね。
 
しかし手牌に抱えるとなれば、タンピン三色のテンパイを維持できるのは
六索切りでの
二筒三筒四筒二萬三萬四萬二索三索四索四索四索五索六索
この一索四索七索待ちだけ。
しかし、治は4巡目で一索を切っているのでフリテン。
しかも六索は鬼頭への安牌ではありません。
治は長考に入りました。
 
 
うーん・・・私なら、五索切りで

二筒三筒四筒二萬三萬四萬二索三索四索四索四索六索六索

フリテンの一索四索六索待ちにするかな。

 

鬼頭の捨て牌には二索八索がありますから、五索は両スジ。まず安全と思われます。

四索は乃木の捨て牌と合わせて種切れですが、一索ではなく六索を持ってくれば三色がつく。

ツモタンヤオ三色ドラ1で満貫、鬼頭を逆転します。

 

あるいは、現物の二索切りで

二筒三筒四筒二萬三萬四萬三索四索四索四索五索六索六索

この四索六索シャボ待ちにするのもアリですが、この場合は三色消滅。

六索2枚待ちはサシコミOKとしても厳しい気がする。

一応、三索五索引きで安全にシャボを入れ替えできますが、巡目を考えると確率は低い。

和了れたとしてもサシコミならタンヤオドラ1止まりですから、打点を考慮すると前者かな。

 

 

ただ・・・ともかく序盤ですし、マミヤという切り札が控えている訳ですから、大物手を狙って博打を仕掛ける必要は無いと思う。

鬼頭のリーチを潰したいのは山々ですが、振り込んでしまっては元も子もない。
 

現在の確定三色に固執した四索切りはちょっと怖すぎますね。

 

しかし・・・

治には、この勝負手があり得たかもしれないもう一つの人生を想起させるのでした。

辿ることの出来なかった成功、充実の航海。
だからこそ、潜在的に理想の成就を渇望してしまうのです。
 
治は38歳で離婚、それから30年以上を独り身で過ごしてきました。
外には出さねど、孤独に苛まれる夜もあります。
 
いわばこのタンピン三色は、
即ちこの手を曲げることは、渇望していた成功への道を自ら閉ざすこと。
 

何としても真っすぐに成就させたい。

治の肚は決まったようです。

 

四索切りで闇を宣言すると・・・

更にはすかさずリーチ・・・!(;゚Д゚)
 
まさかの大博打に出ましたね・・・。
私には真似できない選択だ。
 
二筒三筒四筒二萬三萬四萬二索三索四索四索五索六索六索

治はこのテンパイで確定。

 

しかし・・・当然と言うべきか、鬼頭もノータイムで闇返しを敢行しました。

 

一度はこの手と心中することを決心した治でしたが、ここで完闇使用となれば、プラス4000点の供託が必要。

この局だけで7000点の供託となり、持ち点は1万点を割る8400点となってしまいます。

 

サシコミ体制も無い状況ですから、それは明らかな過剰投資。

しかし四索を開けることだけは出来ません。

完闇!!
 
苦渋の決断ながらも、完全防御を決めました。
ある意味では初志貫徹。
 
鬼頭としては、ぶれない姿勢を先ほど勧めたばかり。
治の思い切りを評価しますが、それは余裕のある裏返し。
これは・・・想像しうる中での最悪に近い展開ではないだろうか。

 

治は博打の熱によって、完全に我を失っていますね・・・。
 
まずこの勝負は治と鬼頭のサシですから、相手の点棒を削るのが第一目的。
うま味があるのはサシコミよりも直撃かツモです。
 
ですから、鬼頭がサシコミ体制を整えながらも場を回しているとすれば、その狙いの一つには治の供託待ちがあるはずです。
治は捨て牌のスジである三萬にすら闇を使いましたから、リーチのプレッシャーがあるうちは更に使うことが予想できます。
 
この場合、鬼頭としては難しいのがサシコミのタイミング。
闇の供託を待って引っ張りすぎては裏目に出る可能性があります。
 
つまり、治はダマテンであればその驕りの虚を突いた和了もあり得ました。
ご丁寧にもリーチを掛けたことで、図らずも鬼頭に手仕舞いすべきタイミングを教えてしまったのです。
 
それも更なる供託4000点のおまけ付き。
決め手となったのも勝手に人生と麻雀を重ねたオカルトですし、今回の打ち筋は擁護できない点が多いな。
 
自己の希望的観測に執着するあまりに、相手の真意を見失ってしまう。
要はマミヤが危惧した通りの悪癖が露出してしまった。
 
一つずつは些細なミスですが、ここまで数が重なっては局を制するのは難しいですね。
 
恐らく、次巡で鬼頭は乃木に差し込ませることでしょう。
その手が仮に1飜だったなら、治が7000を差し出したことで事実上の満貫。サシコミを自重させたことが大きな成果を生んだこととなります。
 
治としては痛恨。いわゆる闇破産によって東1局ながら8600点まで追い込まれることとなります。
 
下家の高杉がここで和了牌をツモってきたり、鬼頭がロン牌を掴む可能性はありますが、この展開的には期待薄。
全てはマミヤの実力を引き立たせるための前振りとは分かっていますが、治とて激戦を経験したベテランですから意地を見せてほしいところですね。
 
ちなみに今回は第3話ですが、アカギに倣って「EPISODE3」の表記が成されていました。今後も統一されるものと思われます。

 

※近代麻雀2019年10月号 (2019/09/01発行号)より。