21 | もしも君が迷ったなら

もしも君が迷ったなら

思いついた言葉を詩に。思いついたストーリーを小説に。

「どう?」
試着室に声をかけると、カーテンが少し開き、顔だけを出す。
「どうって・・。こんなの恥ずかしくて・・。」
「まぁまぁ。」
翼は思い切りカーテンを開いた。そこにはイメージを一新し、ロン

グスカートの代わりに膝丈のスカート、冴えないTシャツの代わり

にキャミソールに薄手のカーディガンを羽織っている優子がいた。
「へー。いいじゃん。」
翼に言われ、優子は余計に顔を赤くした。すると店員さんも褒め始

める。
「んじゃこれ、着て帰りますから、これで。」
そう言って翼は支払いをした。
「翼君。悪いよ。お金返すからね。」
「いいって。俺の勝手でやってるんだからさ。あとは・・その髪だ

な。」
「え・・?」
まだやるのかと驚く。

 

次に連れて行かれた場所は美容院。翼は店員さんのセンスに任せる

と言って何処かへ行ってしまった。
『翼君・・やりすぎ・・。』
そう思いながら逃げ場がないので、言われたとおり椅子に座る。
「今の彼氏ですか?」
美容師が問う。
「そ・・そんなまさかっ。」
「あら。お似合いのカップルだと思ったのに。」
美容師が苦笑する。その手の話に慣れていない優子は照れた。
「高校生ですよね?」
「ええ。」
「じゃあカラーリングはしない方がいいですね。」
それだけ確認すると、美容師は髪を切り始めた。