「どう?」
試着室に声をかけると、カーテンが少し開き、顔だけを出す。
「どうって・・。こんなの恥ずかしくて・・。」
「まぁまぁ。」
翼は思い切りカーテンを開いた。そこにはイメージを一新し、ロン
グスカートの代わりに膝丈のスカート、冴えないTシャツの代わり
にキャミソールに薄手のカーディガンを羽織っている優子がいた。
「へー。いいじゃん。」
翼に言われ、優子は余計に顔を赤くした。すると店員さんも褒め始
める。
「んじゃこれ、着て帰りますから、これで。」
そう言って翼は支払いをした。
「翼君。悪いよ。お金返すからね。」
「いいって。俺の勝手でやってるんだからさ。あとは・・その髪だ
な。」
「え・・?」
まだやるのかと驚く。
次に連れて行かれた場所は美容院。翼は店員さんのセンスに任せる
と言って何処かへ行ってしまった。
『翼君・・やりすぎ・・。』
そう思いながら逃げ場がないので、言われたとおり椅子に座る。
「今の彼氏ですか?」
美容師が問う。
「そ・・そんなまさかっ。」
「あら。お似合いのカップルだと思ったのに。」
美容師が苦笑する。その手の話に慣れていない優子は照れた。
「高校生ですよね?」
「ええ。」
「じゃあカラーリングはしない方がいいですね。」
それだけ確認すると、美容師は髪を切り始めた。