今年外資系企業に入社し、グローバル部署に配属された新卒組

中途入社が大半な企業は研修も少なく、個人のスキルアップが

当たり前のように要求される

世間はゴールデンウイークという夢の休日を満喫しているのを

高層タワーのオフィスビルから眺めている

新卒組といっても男女合わせても3人、うち二人は海外留学生、そして

加納修平、一応国立大学の院は卒業している。

グローバル企業で、世界を股に働く!なんて夢を持って入社したが

現実はそんなに甘くなかった

 

グローバル部署は所謂商社で取引先は世界各国

加納はその部署で日本食材を輸出するグループに配属された

社内文章は英語が基本、会議も英語、英語に自信はあったが

専門知識的な英語は苦手だった

 

それとグループリーダーはステファニーという米国女性で彼女は

この企業の執行役員でもあった

40歳独身、隣のタワーマンションに住居を構える

日本語は日本人以上に話せると思う

同じグループに新卒組、前園美紀も一緒だった

もうひとりは、秘書室に配属され、入社以来、会っていない

 

5月3日、新入社員歓迎会、同じタワーの下層にあるイタリア料理店で

行われた。加納と前園のほか、中途入社組3名が加わった

この3名は日本の商社出身で業界にも精通していた

凛々しい雰囲気と、流ちょうな英会話、清潔感あふれる姿勢

「あ~重いな・・・」加納は胸の奥で呟いた

前園も長い髪を揺らしながら、馴染めない様子だった

ステファニーは二人のそんな雰囲気を察して、ワインボトルを持ち

加納と前園の近くにやって来た

いろいろな国の方が多く、立食で賑わいながら時を過ごした

ステファニーは気を使いながら二人にワインを注ぎ

「先ずはリラックスして・・・」と笑顔で話しかけてきた

役職に似合わず、フレンドリーで優しい印象に見えた

髪を後ろで結っておでこを出している、たまに鋭い視線がリーダーの

雰囲気を醸し出している

 

ステファニーは前園に来月一緒にタイ、バンコク支社へ出張することを

伝え、加納には来週から日本各地を出張すると伝えた

いずれもステファニーが同行者だった

「あなた方の姿勢、意欲」を見せてもらうわ、相当量のワインを飲み干し

二人の肩に手を置き、呟いた

 

加納はその日、帰宅できないほど、泥酔してステファニー宅に泊まった

4LDKの広い部屋にはもう一人メキシコ人のエンセネが住んでいた

大柄で加納よりも身長も体重も大きい、彼女もまた同じ企業に勤めていた

加納は朦朧としながら、座り込んでしまった

「もう!だらしないな・・・」二人の女性は困惑した表情で加納を見下ろす

「OH!NO!」と言いながら加納を全裸にしてシャワールームへ連れて行った

加納は泥酔しているため、女性二人の前で全裸という恥ずかしい姿を

意識していない

二人の女性は面白がって、シャワールームで加納を綺麗にする

全身泡だらけで、一応に綺麗になった

 

髪を洗い終えると、意外に長い髪にエンセネは顔を横に振った

「この人、髪長い!」確かに加納はほかのスタッフよりも髪も長く

不潔に見える、無精ひげに、伸び掛けた爪

 

ステファニーは先ずは加納を自分のベットに寝かせた

 

翌朝、目覚めると、知らない空間と上司、それに知らない外国人

「グッドモーニング!」修平目覚めはどうですか?

加納は頭を掻きながら「ボス!すみません」覚えていなくて・・・

 

「もう終わったこと!気にしないで!」

「さあ、朝食食べましょう」そう言いながら大量の料理とコーヒー

そしていろいろなパン

 

そうそう紹介するわ!総務部のエンセナさん、メキシコ人ね

「宜しくお願いします!」握手をした

エンセナさんもこう見えても、生まれは東京なの・・・それからずっと日本ね

両親の都合でアメリカ、メキシコへは行くけど、基本は東京

 

加納は感心しながら、大量の食事を平らげた

「僕洗います!」そう言いながら片付けと洗い物を手伝った

終わると、ステファニーの私服を脱ぎ始めた

「これも洗いましょうか・・・」

「僕、一人暮らしなんで・・・」

そう言いながら洗濯機のほうへ向かった

「OH!修平、大丈夫・・・・こっちで洗うから・・・」

 

「そうですか・・・恐縮です」

「じゃ~僕帰ります」と汚れた服を着ようとすると

「送っていくわ・・・そんな服着ちゃだめよ・・・」

「先ずはこれ着て、大きいけど・・・」

ステファニーもエンセナも身長は180cm以上

体重は言えないけど、お尻がすごく大きい

僕は身長175cm、体重70Kgだから二人に比べると小さい

 

エンセナが呟いた

「修平!髪短くした方が格好良い!」私は長いの嫌い

ステファニーも続いた

「私もそう思います!修平、髪短くして髭も綺麗に剃って・・・」

すると加納は二人に申し訳なさそうに返答した

「僕、すみません、お金なくて・・・」

無理です、二人の言いたいことは分かりますが・・・

少しだけ・・・実は・・・「田舎へ送金していることを伝えた」

「二人はため息をついた」

「ごめんななさい!」

「少し、言い過ぎました」

 

エンセナは考えた末に呟いた

「私が切ります!私父の髪切ってました」

「大丈夫です、安心してください!」

加納は丁重にお断りした

 

ステファニーは知人の床屋へ一緒に行くことを提案した

米軍基地付近の「BARBER」へ車で出かけることに

さすがに加納も上司に断ることはできなかった

 

米国軍人向けの理髪店ということもあって

写真の髪形は「GIカット」「真っ青な刈り上げ」が多い

エンセナは写真を見て興奮気味に「GIカット」でしょ!

加納はステファニーを見た

ステファニーも「GIカット」を指さした

 

長身のアメリカ女性理容師は英語で言葉を交わした

ステファニー、エンセナと3人で早口のように笑いながら

会話をしている

「ナンシー」どうやらアメリカ女性理容師の名前だ

 

ステファニーは修平、椅子に座って!と促した

修平が座るとステファニーとエンセナは後ろの椅子で寛いでいる

 

ナンシーが修平の首にタオルとクロスを巻き

鏡の前のバリカンを持ち出した

銀色に光るバリカンは修平の髪を剃り落とす

「ブ~ン・・・ガリガリガリガリ」

「ブ~ン・・・ジャリジャリジャリジャリ」

「ブ~ン」「ブ~ン」

耳の周りが白く刈り上がっていく

ナンシーが修平の頭を押さえると後頭部にバリカンを滑り込ませた

「ブ~ン・・・ガリガリガリガリ」

「ブ~ン・・・ジャリジャリジャリジャリ」

「ブ~ン」「ブ~ン」

 

ワオ!グッド!エンセナは興奮気味に後ろで叫ぶ

修平の頭は写真どおりの「GIカット」に仕上がっていく

相当な刈り上げと超短い前髪が意外に似合っていた

 

アメリカ女性に髪を切られたのは初めてだし、ステファニー、エンセナ

に見られながら、半ば強引に短髪にされたことで、妙な興奮が修平に芽生えた

 

ナンシーの胸が当たりそうな中、ドキドキしながら髭を剃られた

 

一通り終わると椅子から立ち上がった

 

「OK!」似合ってる

 

エンセナは刈りたての修平も後頭部を撫で上げた

「気持ちいいね・・・」

ステファニーも同じように撫で上げた

冷たい笑顔で「帰りましょう!」と促した

 

ステファニーとエンセナは笑いながらナンシーと会話し、店を出た

 

僕はお金・・・というとステファニーは友人だからサービス

 

「でも、修平!次回からはエンセナにやってもらいなさい!」

「これは・・・睨むように上から目線で囁いた」

僕は拒否も抵抗も出来ずに頷いた

 

何故か僕はステファニーたちと一緒に住むことになった

「お金もったいない!」

「三人の約束!絶対秘密、話したら殺す!」睨むように

ステファニーは呟いた

冷たい笑顔で

 

月曜日から金曜日はオフィスで何もないかのように働いて

週末はエンセナの床屋さん

エンセナは僕の後頭部と耳周りをバリカンで刈るのが楽しみ

「修平!」と言いながらエンセナは日本製のバリカンで

青々と剃り上げる

そんなシーンをステファニーはビールを持って眺めている

 

~つづく~