商店街の途中、新装開店の床屋さんがあった

「ここで、揃えてもらって!いつもお姉ちゃんバーバーだし」

たまにはプロに綺麗にしてもたらって!と三千円を手に握らせた

 

私はこの先の美容室へ行ってくるから1時間後、この先の公園で

待ち合わせましょう!じゃ~ねバイバイって言って去って行った

 

僕は言われた通り床屋さんの扉を開けた

ちょうどお姉さんがひとり暇そうに受付に立っていた

 

「いらっしゃいませ・・・」

「今日は・・・・このコースでと普通カットコースを指さした」

「はい」じゃ~こちらへどうぞ、と床屋の椅子に案内された

 

床屋のお姉さんは僕の髪形をマジマジ見つめる

いつもこの髪形なの・・・・

 

「はい」そうなんです。

姉に切ってもらってて・・・言葉が詰まった

 

そうかお姉ちゃんが切ってるのね・・・

今日はどうする変える?

「え~と」揃えて同じ感じにしてください!と

 

「いいの?ワカメちゃんカットで」理容師さんは不思議そうな表情で

「じゃ~耳の真ん中辺りで揃えて、後ろは刈り上げね」

「前髪は眉上でいいわね、すでに短いところもあるしね」

 

「お願いします」と伝えた

 

「顔が小さいし」女子にも見えるよね

イヤリングじゃないか、ピアスだよね・・・

姉にもらったとは到底言えない空気

 

理容師さんは手慣れた感じで、横も後ろも切り揃える

「ジョキジョキジョキ・・・」

耳半分よりも上辺りで真っすぐに揃っている

前髪は生え際から数センチで真っすぐに揃えた

 

後頭部は電気バリカンの音とともに

青々と剃り上げられていく、バリカンの刃を何度も変えて

上にいくと刈り上げている

 

あっという間にワカメちゃんカットが完成した

 

前かがみの洗髪、顔そりで僕の顔はきれいになった

産毛は気になっていたけど、すっきり綺麗な肌になった

もともと髭も薄いので、遠目では髭が見えない

 

眉も綺麗にカットして周りを剃ってもらった

 

「女の子みたい」・・・君には似合うねこの髪形

理容師さんも妙に納得しした様子だった

お店を出て、待ち合わせの場所へと急ぎ足で向かった

 

途中行き交う女性の視線が明らかに僕を見ている

 

僕は彼女がいない、姉も彼氏はいない

今は姉と二人で暮らしています。

年の離れた姉は昔から優しかった

妙に気が合って、ふたりで出かけることも多い

学生身分の僕は、姉の計らいで綺麗な髪形になった

 

1年に一回くらいはプロに任せてもらわなきゃね・・・

って言って買い物の途中、ここに立ち寄った

姉は行きつけの美容室へ行っている、半年に一度贅沢と言っている

 

僕は今年、東京の大学に進学した

勉強の補助の意識もあり、姉のところで居候させてもらうのが目的だった

実家からの仕送りは学費、あとは生活費を稼ぐアルバイトを少々

あとは一回り離れた、未婚の姉の世話になっていた

姉は地味目で、派手な生活はしていない、仕事は薬品の研究所勤めで

かなり真面目な性格、ただ家に戻ると僕を遊び相手に性格が反面する

 

料理も上手いし、掃除もこまめにやっている

残念なのは地味な顔、「こりゃもてない!という雰囲気が漂っている」

だから、居候が出来てるのも事実

 

つづく