凛香は自分の坊主頭を撫でながら・・・「ふ~!」とため息を吐いた

もう信じられない!どうしてくれんの・・・と愚痴を呟く

ブツブツ文句を言いながら、先ずは頭を覆いかぶせるものを探していた

「これしかないか・・・・」手に取った大きなハンカチを買って坊主頭を覆いかぶせた

うん!どうせなら・・・何かスイッチが入ってしまった

 

高いハイヒールに極端に短いジーンズショートパンツ

黒い網目のタイツと胸元が大きく割れたシャツを買って着替えた

 

派手な化粧に変えて、指に真っ赤なネイルを塗り手繰った

口元は赤黒い紅に濃い目のアイシャドウ

 

別人に変貌した

 

さとしはまち子の待つトイレから出て来なかった

「あれ~・・・」だんだんと苛立ってくるまち子は周りを見渡し始めた

さとしはまち子の指さしたトイレとは真逆のトイレに行った後、ひとり散策をしていた

まち子に監視されている生活から解き放たれた感じを味わっている

 

「たまにはね・・・」俺だってさ・・・

 

別に髪形とか服とかそれはそれで構わない

まち子の人形のように操られていても、不満もない

 

ただ・・・ほかの女性に魅かれることがある

トイレから出たとき、偶然、刈り上げボブの熟女とすれ違った

真っすぐな艶のある太い髪質でパッツンと切られた髪

後頭部はさとし好みに真っ青に刈り上がっている

 

「わぉ!いいじゃん・・・」そう心の言葉がざわつく

 

いつの間にかその熟女の後ろを歩いていた

 

ふと、熟女が足どまり後ろを振り向いた

「あっ・・・」視線が合ってしまった

熟女はさとしに近づき、話しかけた

 

「私に興味あるの・・・」

さとしよりも高い身長の視線がさとしを見下している

さとしはしどろもどろな口調で「あります!」と呟いてしまった

急に熟女がさとしの手を引き、近くに停めてあった大きなワゴン車に乗りこんだ

「なんで?・・・」

さとしは赤くなった頬を触りながら

自分好みの言葉を並べていた

 

「へ~そうなんだ!」

だからあなたもその変な髪形にしてるのね

で、どうしたいの・・・

近づきながら、強引に口を合わせてきた

ねっとりとした温かいものがさとしを包む

何の抵抗もしないまま、そのまま数分経過した

 

熟女が口を離すと

「今日はここまで・・・」これ私の連絡先

あなたの名前は・・・「さとし」です

「さとしくん」いいわ、私こういうの嫌いじゃないから

また会いましょう!それじゃ・・・降りて

 

そういうと大きな黒い外車は走り去った

 

さとしは動揺していた

これ・・・さとしは持っていた使わない携帯に暗号らしき言葉と

連絡先を入力した

「まち子は毎日携帯をチェックするからな・・・」

隠せる場所・・・・必死に隠した

 

待ち合わせ場所に凛香がやってきた

変貌した凛香にまち子は「おぅ!」凄い似合ってるよ・・・

驚きながらマジマジと見ている

「さとしの好きそうな感じにしたな・・・」

行き交う視線は凛香に注がれる

 

「あのさ・・・さとしくんがいないのよ・・・」

トイレで待ち合わせしたけど、出て来なくて

「ママ、携帯鳴らした?」

何度も掛けたわ。。。でも出ないのよ

さずがのまち子も不安そうな表情変わっている

凛香もさすがにママの表情に合わせるように不安な表情になったきた

 

でも探さなきゃ・・・

 

ふたりは手分けして探して合流できたら連絡することで別れた

 

まち子はさとしの好きそうな場所を探していく

 

凛香はさとしが隠れそうな場所を想像して探している

 

「あっ!」見つけたのは凛香だった

「こら!」と肩を叩かれ驚愕するさとし

「ダメじゃないか勝手にいなくなったら、ママが必死に探してたよ」

う~ん、そうなんだけどね・・・

「たまには、ひとりで散策とかね・・・」言葉が続かない

凛香はさとしの手を引き、少し離れたカフェにやってきた

ちょっと休憩!甘いもの食べちゃおう!「さ・と・し・く・ん」は?

アイスコーヒーで・・・凛香はやって来た店員の視線に構わず注文した

 

「で!何してたの・・・」

言えるはずがない、いろいろ散策してたよ

久しぶりの外出だったからね

「凛香は何かある」と察したが「そうなんだ・・・」で終わらせた

 

「どう私・・・?」さとしくん好みになった?

さとしは「うん!僕好みで可愛いし、魅力的だよ」これは本心だった

ありがとう!じゃご褒美にあれしてね・・・睨みつけるような冷たい笑みでさとしを見つめた

「あれ?」そう!約束ね・・・

少したったら、偶然あったかのように別の場所から連絡しましょ・・・

 

つづく