私、齊藤京子には憧れの人がいます。


そう!この学校一の心イケメン女子。


小林由依先輩...!



私は休み時間に必ず、由依先輩を観察しに3年生のフロアに足を運ぶ。


メモ帳とシャーペンを持って。



教室の入口から中を覗くと、窓際の一番前の席に先輩の姿が見えた。


そして、そこに一人の生徒が近づく。


小池「ゆいぽーん?ちょっと手伝ってくれへん?」


教卓には重そうなダンボールが2つ。


どうやら由依先輩にひとつ持って貰おうとしてるようだ。


小林「これを職員室まで運ぶの?」


小池「先生に頼まれたんやけど、一人じゃ重くて...」


小林「そっか!じゃあこれは私が運ぶから、美波は座ってて?」


小池「けど、重いよ...?」


小林「これくらい大丈夫。そんな事より美波が怪我したら危ないじゃん。」


小池「由依...」


京子「先輩...イケメンすぎる...


その後由依先輩はひょいとダンボールを持ち上げ、教室を出ていった。

そんな由依先輩の後ろ姿を見つめた美波先輩の耳が赤い、あれは絶対に惚れたな。

流石、小林由依先輩だ...!


そう感心しながら、私は先輩の今の行動をメモ帳に書く。


そして、すぐさま自分の教室に戻って教卓を確認すると
運良くそこには重そうなダンボールが積まれていた。


そしてその横にはクラスメイトの高本彩花が立っている。


京子「彩花!」


高本「京子どうしたの?」


京子「そのダンボール運ぶんでしょ?」


高本「そうだよって、京子?」


私はさっき見た先輩の行動を思い出しながら、彩花の肩に手を置いてセリフをキメる。


京子「これは私が運ぶから、彩花はすわってて?」


彩花「どうしたの?別に私運べるから大丈夫だよ?」


京子「いやいや、彩花が怪我したら危ないじゃん。」


よし、決まった...!

これでこのダンボールをサッと持って教室を出れば完璧!


京子「ッて、重っ!!」


何このダンボール、、めっちゃ重い...

でもここで下ろしたらダメだ...


一体何が入ってるんだよ。


彩花「京子、前傾姿勢で相当重そうだけど...」


京子「キニシナイデ...」


彩花「京子、バカでしょ。」


京子「え?」


彩花「ほら、ひとつ持つから。」


そう言った彩花に一番上のダンボールを取られる。


先輩みたいに上手くいかなかった。


何が違かったのか、自分の言動を思い出すけど
特に先輩と違う部分は無かった。


京子「はぁ...」


高本「どうせまた、由依先輩から学んだ事をしようとしてたんでしょ?」


京子「げっ、バレた?」


高本「ばればれ。てか京子のダンボールを3つ持ってた時の顔いかつすぎ!」


彩花のやつ、ケラケラ笑いやがって...



いつか絶対、惚れさせてやるんだから!