「彩花?起きて!ついでに聞きたいことあるんだけど!」




机に突っ伏して寝ていた彩花を、お昼休みになった為強引に起こす。

授業をサボり、彩花は数時間 夢の中だった

まあいつもの事なんだけど…。




「フワァ…おはよ」




目を覚ました彩花は、窓から射す太陽を眩しそうに数秒見つめると視線を逸らす


起きたばかりなのに、崩れのない綺麗な顔だ。





「それで聞きたいことって?」



「そうそう彩花さ、また付き合い始め…」



「あっ!彩花せんぱーい!」




私の声は 廊下から手をヒラヒラと振る 可愛い女の子によって遮られてしまう




「ごめん京子、陽菜が迎えに来たからまた後でね!」



「ちょっと!また…?」




迎えに来たのは 彩花が最近付き合い出したと周りが噂をしていた、ひとつ下の河田陽菜ちゃんだ。

本人に聞こうと思っていたんだけど
あの様子だと噂は本当だったみたい。





高校生になって何人目か忘れてしまうほど、彩花は常に恋人が居た


でも彩花がモテる理由も私にはよくわかる



人を惹きつける魅力が沢山あるから…






そしてそんな彩花に一度だけ、付き合おうなんて言ったことがあった。


だけど…




「京子は唯一の親友でしょ!」





分かっていた、彩花は私をそういう目で見た事がないと


それに冗談でしょ なんて笑う彩花に
本当だよと
そう伝えるのは怖くて、勇気がなくて出来なかった。



でも誰かと付き合ってはすぐ別れ、そしたらまた新しい人と付き合う

そんなことが続いている時も ずっとそばに居たのは私だ


でもそれは親友だからだと、改めて実感してしまったのだ


もちろん彩花は何も悪くない。

でもその時はいつものように笑うことが出来なかったんだ


ただ彩花が好きなだけなのに…


どんなときも、私が一番の理解者だと思っていた
それ以上の存在になろうと努力もしない、ただの意気地無しなのに。


あの時冗談では無いと言えば、何か変わっていたのだろうか
そんなことを時々思っては、落ち込んだ。















気分を変えるため、風に当たろうと窓を開ける。

すると中庭で河田さんとお弁当を食べる彩花が見えた。


河田さんにベッタリな彩花はとても幸せそうで、正直羨ましくて仕方がないけど
その反面 とてもお似合いだとも思った。





「あ!京子〜!」




ぼーっと見ていた私に気づくと彩花は笑って手を振ってくれる


振り返そうと手を挙げかけたけど…

そんな彩花を見る河田さんの顔がとても寂しそうで、私はその手を握り窓から離れた。





席に戻ってカバンからお弁当を取り出し食べ始める
すると、なにやら慌てた様子の彩花が小走りで私の元にやってきた





「京子!」



「えっと、どうしたの?河田さんは?」



「いや 京子がなんだが悲しそうに見えたから…」




椅子の横に屈んだ彩花は、私の手を取って優しく握る


どうしてそんな心配そうな顔で手を握るんだよ…

私のことより恋人の河田さんを優先して欲しかった。

じゃないと私はずっと彩花を諦められないじゃないか…





「ふぅ…なんでもお見通しだな」



「当たり前じゃん!京子の事は私がいちばん分かってるから!」






自信満々な彩花の顔が涙で歪んでいく



ならどうして私の気持ちだけは見抜けないんだよ

彩花の言葉に小さな悲しみが湧いた




「京子?どうして泣いてッ…いたっ…!」




私の頬に流れる涙を 彩花が指で拭った時
ふと私は、その手を力任せに強く握りしめ彩花の目を見つめる
そして私の口が動いた





「好きなんだ!親友じゃ、足りないんだよ…!」




「何いっ」




「教えてよ彩花…どうしたら私は彩花の1番になれるの…」




「ちょっと あっ分かった!前みたいな冗談でしょ?ドッキリだ!」




「ちがう…誰よりも彩花の事を愛してるの…」




「待ってよ京子、、本当にどうしたの?」




ここまで言って伝わらないことがあるのか

私の今までが作りあげた結果なのか
あるいは彩花にとって受け入れたくない現実なのだろう。


一度深く息を吐けば
ドアの近くに今にも泣き出しそうに震える河田さんの姿があった


彼女と目が合ったとき
自分の言動が最低だと気づき、一気に冷静になった




「ごめん彩花 やっぱり忘れて、ちょっと頭冷やしてくる」



「京子っ!」



私は呼び掛けに応えることなく、早歩きで河田さんの横も通り過ぎた。




私は学校を飛び出し外を歩く

頭がぐちゃぐちゃだ…

人生で初めてあんなに取り乱した



凍りついた教室に、困惑する彩花と河田さん

あぁ、もうあそこには戻れない…






私は親友という立場が嬉しいようで
いつの間にか、苦しく つらいだけになってしまっていたんだ。



なんて勝手で酷い人間なんだろう





「ごめんね、彩花…」






ビューーー




時期に合わない冷たい風が私の髪を揺らす


後ろを振り向いたけど、もちろん彩花の姿はなかった。











はい!ということでおはようございます!☀️
久しぶりのきょんあやでした(^ ^)

いかがだったでしょう。

また日向坂の小説が見たいと
有難いコメントをだいぶ前になってしまいますが頂いたので、ルンルンで書いてました笑

と言っても少し暗いお話でしたね笑



今度は明るいお話書きます!グッ
コメントありがとうございました!<(_ _)>



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