「由依ってばー聞いてる?」



「えっとなんだっけ?」



「ぼーっとなに見てたの?」



「何でもないよ、ちょっと飲み物買ってくる」



「待って 私も行く!」




中学生の頃に知り合った虹花とは高校生になった今でも仲がいい。

ちょっとバカだけど、良い奴だ。



校内にある自販機で炭酸を買うと虹花のわがままが始まった



「私が飲みたいやつコンビニしかないから抜け出そうよ!」



「また?授業始まるけど」



「いいじゃん別に」



「確かに、授業なんて今更か」



一度高校を出てしまえば虹花は戻るつもりがない
いつも一緒にサボっては先生に2人で怒られていた。


どこへ行こうか話しながら靴を履き替えていると、視線の端に西野さんが映った




「あっ、西野さんだ…」



「誰それ」



虹花に指をさして教えるとヘラヘラと笑いだす




「なんで笑ってんだよ」



「だってさー さっき教室で由依、西野さんの事ぼーっと見つめてたじゃん!」



「は?そんな訳ないじゃん、あんな暗そうな子」




「とか言って本当はどストライクなくせに〜!」



肘で私の肩を突きながらニヤニヤする顔がムカつく




「うざっ、ほら早く行こうよ」



「はーい!」











その日は結局 夕方までカラオケに滞在して
みんなが帰ったであろう時間に鞄を回収しに学校に戻ってきた




「由依わたしの鞄もよろしく!」



「はあ?まあ、あんたと居ると先生に見つかりやすいからいいや」



「どういう意味だし!」




ムスッとした虹花に手を振って、私は教室へ向かった




「たくっ、虹花のやつどこにかばんやったんだよ」



机を確認しても無いし、辺りを見回しても分からなかった



「あっ待てよ、そう言えば今日の朝 虹花かばん忘れたって言ってたわ」



舌打ちを鳴らし自分の鞄だけを手に取り教室を急いで出た








ドンッ





「いってー」




小走りしながら階段に向かおうとしていた所、曲がり角で誰かとぶつかった。


私に抱きつくような形で衝撃をやわらげていたのは、なんと西野さんだった



ゆっくり私から離れて、西野さんは深く頭を下げる




「小林さんごめんなさい、ぼーっとしてて…」



「いや私こそ小走りだったから」




初めて話す内容が謝罪だなんて、なんか締まらない…




「あっ、西野さん眼鏡まがっちゃってる」



メガネに手を伸ばしてかけ直そうとすると、西野さんと目が合った


やっぱり虹花の言う通りどストライクかもしれない…




「あの、、恥ずかしいです」



「ごめん…!はい、これで大丈夫」



「ありがとうございます。じゃあ行きますね」



「待って!」



すれ違う時、私は咄嗟に西野さんの手を握って引き止めた




「何か…?」



「その、、付き合ってる人とか居るの?」



「えっ!?」



西野さんは驚き、すぐに顔を赤くした



「あっ…西野さん可愛いし彼氏いるよね、ごめんね引き止めて、それじゃ!」




私は背を向けて階段を一気に駆け下りた。


さっきの顔が忘れられない、西野さんはあんな風に顔を赤くするんだ

彼氏がいるならチャンスさえもゼロかぁ…




「由依〜!そう言えばカバンもってきてなかった!」



「ちょっと、先生に見つかるでしょ!」




「ごめんごめん!てか何かあったの?険しい顔してるけど」




馬鹿でかい声で喋る虹花はこういう事によく気づくんだよな…




「何でもないよ、ほら帰ろ」












おはようございます!
お待たせしました、今日はみーさんからのリクエストです!

長くなりましたので半分に分けました
後編は10月23日に投稿します

ラスト金曜日頑張りましょう!ウインク

HONO